日曜日, 5月 29, 2022
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自宅にアート 〜お洒落な飾り方 簡単ガイド〜

アートは空間に命を吹き込む

映画館を出て現実に戻って来た時、もしくは休暇から帰ってきた時の爽快感を覚えているだろうか?自宅にオリジナルの作品を飾るのも実はそれらと同様の効果があり、つまりはマンネリ化した退屈から開放し、活気を充填してくれるのだ。

突然にウィズコロナ時代へ突入し、自宅環境が整っていなかったことに気付いた読者も多いであろう。労働に食事、またリラックスも全てこなすには未整備の、我々の「新基地」をアップグレードするのも時に適う。意外やも知れぬが、アートは持ってこいなのである。

もし印刷された複製アートを持っているなら、代わりにオリジナル、原画の力を体感する最高のタイミングであるし、所蔵歴ゼロでも問題ない。スタートするには最善の時だ。

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head hunt by Hiroki Kanayama
詳細はこちらから
小さくてカラフルな作品をデスク近くに飾れば、活気のあるワークスペースに

なぜ原画・オリジナルなのか?

オリジナル作品には、映画俳優のような其々の個性やカリスマ性がある。その細部には、アーティストの旅路が記録され、例えば油絵であれば、絵の具の層に、また色の相互作用や感情的な筆致がその物語を語ってくれる。つまり原画には今も生きたエネルギーが宿るのだ。

選ぶのが難しそう?

部屋に飾るアートの選び方は、必ずしも複雑ではない。簡単な5つのステップで見ていこう。

最初の3ステップ

先ずは、部屋の目的を考えることから始まる。例えば、筆者なら「リビングルーム・歓迎の雰囲気」「ダイニングルーム・高揚感」「ベッドルーム・落ち着き」「キッズルーム・創造性」などを想像する。この目的別の雰囲気ゴールが北極星の様にアートとインテリアとの合わせ方を道案内してくれる。

第二に、スタイルを考慮するのも不可欠だ。分かり易く言うと、いくら有名なジャン=フランソワ・ミレーの「落穂拾い」も、モダンなスタイルのコーヒーテーブルと黒革のソファが置かれたリビングルームとは、とてもスタイルが合わない。代わりに、洗練された雰囲気で統一したければ、飾る作品にもスタイリッシュなものを選ぶのは言うまでもない。

第三のステップは、カラー・コーディネーション。難しそうに聞こえるかも知れないが、気構えの必要はなく、以下の様な質問を自問すればすぐにに解きほぐせる。「お気に入りのラグやカーテンにソファの色、あるいは床の色は?」「存在感が強いのはどの色?」等。そして、答えは「一貫性」であっさり解決。色のペアリングを意識するだけで、簡単にまとまって見えるようになる。 

Kenichi AoyamaVoyage

ここで、もう一つ例を挙げておさらいしてみよう。上の写真の部屋は、①くつろいだ雰囲気のリビングルーム、②スタイルは、家具のデザインと素材から判断するに、カジュアルでナチュラル。③の色合わせは、いくつかの色が見当り複雑そうに見える。だが、淡い色調のアートと部屋は、青みがかったグレーが主体となり、クッションの黄色、木の素材の茶色と言う色の共通点で繋がっている。それ抜きでは散漫に見えかねない部屋も、この作品によってかえって調和が取れているのがよく分かる。

第四ステップ:お楽しみの役者探し

場面は整ったので、楽しいアート探しの時間である。ひとつ一つの作品は個性的であり、役者の様に、所持者のキャラクターを表現するものだ。先に挙げた例では、リビングの軽快な絵からオーナーの温厚な人柄が想像できるだろう。自分に合った作品は見れば自然とピンと来るものなので、ここでは理屈よりも、心を自由にして直感的に探してもらいたい。例えば私なら、大胆な色使いと違素材のミックスに、創造的でのびのびとした個性を感じるから子供部屋には下の作品を選ぶ、と言った具合だ

最終ステップ:空間をマスターする

仕上げは部屋の理解である。大都市では贅沢な広さは中々取れず、こう言うと信じられないかも知れないが、アートを加えることで、限られた空間を「視覚的に拡張」することができる。その理由は、目の錯覚にある。空間に平行線を加えることで、広がりを感じることができるのだ。ソファの上など、横に開いた空間には横長の長方形の作品、廊下のような狭い空間には、縦長のものを吊るしてみるのがオススメだ。この行き止まり小路の様なダイニングルームは、タペストリーが無ければ窮屈に見えてしまう所を、縦ラインの強調で奥行きを演出している。(ちなみに、これもまたカラー・コーディネーションの好例なので参考まで。)

色も空間認識に一役買い、淡い色合いや風景のアートワークは、一般的に拡張効果を後押しする。一方で、鮮やかな色合いは目の注意を集中させる。 例えば、小さな寝室にシンプルな色配分の風景画を置くと途端に、深呼吸したくなる様なスペースの広がりを感じるだろう。

どこで探すのか?

我々は実に便利な時代に生きている。アートギャラリーを訪れるのは敷居が高く感じる場合でも、オンラインのマーケットプレイスがあるので心配無用。一般的に、価格やスタイルの範囲は従来のギャラリーよりも広範囲に渡り、便利なフィルターやキーワード検索で自由に閲覧できる。探せます。TRiCERA.NETもその一つで、東京を拠点に、若手からベテランまであらゆるステージのアーティストを世界各国から紹介している。アート業界のデジタル化が進む恩恵で、新たなお気に入りのアートを発掘するのは未だかつてなく身近となった。

ArtClipでは、趣味コレクターであり、自身もアーティストであるアメリカ人顧客とのインタビュー記事も掲載の予定だ。彼女のTRiCERAでのショッピング体験や、自宅にアートを購入する理由、どうやって選ぶのか等が紹介されているので、興味のある方々はニュースレターの購読をどうぞお忘れなく。 

Isaac Ishimatsuhttps://www.tricera.net/
1988年東京生まれ田舎育ちフランス在住。勉学や仕事には秀でるも、型破りな個性派として、生真面目な教師や上司を当惑させる多彩な日本時代を過ごす。極貧の子供時代からの夢である海外生活実現のため、カナダへ渡り貿易会社等で活躍。現在は語学習得と教授、TRiCERA勤務に勤む。陶芸工房での勤務経験、カナダの大学での音楽学習に、写真や芸術等幅広い関心を持ち、時代観察と文化比較の観点から、アートと日常生活の接点を書き出す。

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Jose Cachoを知るための6つのポイント

モダンな雰囲気を感じさせる美しいアート作品を生み出すJose Cacho。作品の中で女性の立ち姿が多く描かれているが、これは演劇鑑賞のように、見ている人達が作品の中に入りやすくするための1つの手段として描いている。世界的にも有名なグスタフ・クリムトの絵画から影響を受けており、小さなモザイクが生み出す視覚的なアートの表現に力を入れている。こだわりを感じるのは、様々な種類の画材を使って、何千ものモザイク部分の素材を自分で作っているところだ。 1.経歴 メキシコを中心に活動をしている男性のアーティスト。2016年から2020年の間に制作された作品では、人間の状態に関連する問題、特に「生命」や「知識」を社会的なバランスの原因として意識しテーマにしている。また多くの作品の中で女性が描かれているが、これは知恵と愛を永遠に伝える存在として「地球上の女性の存在」を意識し、描写されている。 2.インスピレーションの昇華 Jose Cachoにとってアート作品を制作するのに大切であるインスピレーションの源は、新聞やファッション雑誌、広告などの身近なメディア。そこから得たインスピレーションを個人的なビジョンを通して作品へと変換することで、人間の本質を捉えたメッセージ性を作品の中に持たせている。メディアから「情報」として得たものを、深く考えることで新しく目に見える形としてアート作品を生み出すという、その巧みな技には驚かされる。独りよがりな作品では無く、実際に今、この瞬間を生きる人々が問題としていることを作品に取り上げたいという熱意を感じた。 3.モザイクが与える視覚的な効果 Jose Cachoの作品は非常にシンプルな構図で描かれている。モチーフの数も少ない。でもそのシンプルな構図のおかげで、何千もの種類で描かれたモザイクの部分に注目して見ることができる。モザイクの部分のディテールが細かいために、シンプルなのに飽きさせないという独特な個性を持っているアート作品だ。例えば「Turn it over」という作品では、2人の女性がシンメトリーに立っていて、2人が着ているスカートは、それぞれの正方形に一つ一つ違う模様が描かれたモザイク柄になっている。女性の顔には立体的な表現を表す影が描写されているが、体には立体感を表すような影などは描かれていない。わざと目に付くように平坦なスペースにモザイクを描くことによって、ディテールをよく鑑賞することができる。さらに体の立体感で、モザイクの印象を後ろに下げないという効果がある。 4.人間の本質を捉えたメッセージ 「Sel Love」という作品では、シンメトリーに配置された同じ顔の2人の女性が一緒に1つの薔薇の花を持っている様子が描かれている。この作品を読み解いていくと、人間の本質を捉えた面白いメッセージが伝わってくる。実はこの2人の女性は別々の存在では無く、一人の女性が自分を見つめなおしている様子を描いたものだ。ここでは「自己愛」について取り上げており、人間が抱えがちな虚無感に対して警告とアドバイスをしている。その虚無感を埋めるために、世の中では会社を探す人が多いが、「本当に大切なのは自分自身との関係だ」とJose Cachoは言う。自分を愛せない人はいつまでも幸せにはなれないし、満足感を覚えることもない。人間関係の中には、自分自身と向き合うことも含まれている。 5.モザイクの印象を操る 女性が横を向いて腕を組んでいる様子が描かれている「Impatient」という作品。ここでは今までとは違って、モザイクの一つ一つが大きく同じようなパターンの模様で描かれているのが特徴的だ。モザイクの印象を大きく変えることで表現の幅を広げており、ここではターコイズと温かみのあるゴールドから背景の質感に深みを演出している。腕を組んで穏やかな様子では無い女性からは「焦り」の大切さを伝えていて、時には自分で自分に圧力をかけることで、焦って大切な答えを見つけようとする。人生において「これは正しいのだろうか?」と疑う瞬間は誰にでもある。そんな時に焦ることは正確な決断を下すために、自分の味方になってくれるという前向きな味方が込められている。 6.Jose Cachoのメッセージ 作品に込められているメッセージは、どれも私達を激しく糾弾するようなものでは無い。人間の本質的な問題に対するアドバイスや、解決策を多く教えてくれている。そこから作品を通して、彼の優しさを感じ取れた。問題を抱えがちな人間だからこそ、Jose Cachoの作品を見るたびに、生きていくうえで大切なことを忘れないようにしたい。そしてこれから彼が見つけだす、人間の状態を掴んだ新しいメッセージにも目を止めていきたい。

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集英社によるマンガ原画をエディション作品化するプロジェクト「SHUEISHA MANGA-ART HERITAGE」。今回は集英社・デジタル事業部の岡本正史、コレクターの小池藍、アーティストの曾超を招き、それぞれの観点からみた「マンガアート」の可能性、アート業界との交流性について座談会を行った。 方法論としてのアートは漫画の継承を変えるのか - 今回は集英社さんがスタートされた越境EC事業「SHUEISHA MANGA-ART HERITAGE」についてディレクターの岡本正史さん、コレクターの小池藍さん、アーティスト曾超さんを交えてお話できればと思います。まずは岡本さんから簡単にプロジェクトの概要をご案内頂ければと思いますが、今回の事業のきっかけは漫画のアーカイブだそうですね? 岡本正史(以下、岡本) そうですね、そもそもの始まりは2007年頃に集英社が開始した、コミックスのデジタルアーカイブ「Comics Digital Archives」(略称CDA)です。当時はまだ「デジタルアーカイブ」という言葉自体が耳馴染みのない時代でした。それが時を経て、デジタルコミックスへの活用はもちろんですが、それ以外にもアウトプットのあり方、世の中に漫画を伝える方法があるんじゃないかと模索した結果の一つが今回の「SHUEISHA MANGA-ART HERITAGE」なんですね。  概要としてお話しすると、まず1つ目には単純な原画の複製ではなく、アート作品としてのクオリティを持たせるということ。2つ目にはスタートバーンのアートブロックチェーンネットワーク「Startrail」に接続して、1点1点の来歴を記録していきます、ということ。最後には漫画の原画アーカイブが文化庁を絡めた事業として始まっていて、紙の漫画をどのように後世に伝えていくのかという問題意識を背景にしていること。少し長くなりましたが、この3つを柱に立ち上げたんですね。 - 漫画の継承のあり方としての作品化と流通という側面があると思いますが、その「アート化」するにあたっては見る方も、もちろんつくる方にも違ったロジックがあると思います。 岡本 これは今日参加して頂いているお二人がどう感じているかお聞きしたいところなんですが、プロジェクト側としては「アートを漫画にする」と考えた時、漫画をファインアートの文脈の中に持ってきて流通させるのが果たして良いのかどうなのかと考えるんですね。あくまでも漫画は漫画、アートはアートという風に異なった文脈と共に発展して来た。だからこその「MANGA-ART」という、漫画とアートの間にハイフンを入れていて。漫画アートの新しいジャンルを作りますよ、という方が良いんじゃないかな、と考えたりしています。 小池藍(以下、小池) 良い考え方というか、とても柔軟な捉え方だと思います。それに今回は越境ECを選択していらっしゃるところもなお良いな、と。市場的なところで言うと、アートの市場って世界全体でも7兆円ほど。日本だともっと小さいし、こうした取り組みをするなら海外を相手にするというのはすごく良い判断だと思うんですね。 岡本 ありがとうございます。それでいうと、日本はだいたい3500億円程度ですよね。 小池 「大きく見積もって」という前置きが付きますね。純粋な売買にフォーカスすると通常では2500億円程度と言われています。 岡本 なるほど。漫画でいうと、デジタルコミックスの去年の売上が3500億円程度と蜜守られているんですね。しかも日本だけの数字です。世界を含めたり、あとは紙のコミックスを含めるともっと大きい市場になる。あえてファインアートの流儀に完璧に合わせるより、漫画は漫画として培ってきた文脈を活かす方が発展の仕方が豊なのかなと考えたりはします。もちろんファインアートの方とコラボすることはアリだと思うんですが。 小池 いや、それは本当にそうだと思います。世界規模で7兆円のアート市場にアニメや漫画の市場規模を足す。以前から、ディズニーのセル画がオークションで破格の値段がついたり、と、その世界にもコレクションという考え方はありますよね。漫画に固有のコンテクストを活かしながらアートとして広げていく、という考えはすごく面白いと思います。 岡本 その「漫画をアート作品にする」ということを考えたとき、これは特にアーティストである曾超さんに伺ってみたいのですが、純粋にどう見えるのかな、と。  曾超さんは油彩を使った、すごくテクスチャーが際立った作品を制作していますよね。作家さんの手が直に関わった、言うならば身体感覚が強く出ている作品だと思うんです。今回の漫画アートは伝統的な油彩であったり、タッチや立体感がある作品とは別物で、まさに平面性にフォーカスしているんですが、ペインターとしてどういう風に感じるのか、その点を伺ってみたくて。 曾超 そうですね、一般的にファインアートのペインティングだと確かに物質性や身体性を重視しますね。平面の像よりも物質性の感覚を大事にする傾向にあって、そこは漫画と大きく違う考え方だと思います。  ただ平面性と言った時に思い浮かぶのはやはり村上隆さんのスーパーフラットですね。中国でもアニメや漫画の文脈を持った作品はありますけど、でも批評家の反応はよくない。「日本の方がクオリティは高い」と言うんです。だから、ある意味では日本独特の考え方というか、ものの作り方のような気はします。 - 物質性という話が出ましたが、今回は印刷を特にこだわっていますよね。特別な印刷技術の使用という、テクニカルな部分がモノとしての価値を与えているのかな、と。 岡本 ありがとうございます。それはタイミングの問題もあって、本当に運が良かったと思ってます。というのも特別な印刷機、それから職人さんにお願いをしていて。  少年ジャンプは樹脂板という、凹凸のある版を毎週つくって大きな活版輪転機で印刷にかけるんですが、これは質がいいとは言えない紙に印刷している。週刊のマンガ雑誌の価格にみあった紙と印刷なんです。でも「活版印刷機で、本気で美しく刷ったらどうなるのか」と。それを行うには、高速で印刷する輪転印刷機ではなく、質の高いプリントが行える活版平台印刷機が必要です。昔は都内にたくさんあったそうですが、今はもうほとんどなくて。今回は長野の印刷会社さんにあるのを共同印刷グループに見つけていただき、印刷も熟練の職人の方にお願いしました。 小池 今の話を聞いて思ったんですが、やはりチーム力ですよね。基本的には作家が一人で仕上げていく油彩やアクリルによる作品はそれはそれで魅力があるんですけど、でも漫画は漫画家がいて、編集の方がいて、それから印刷の方がいてって総合的なクリエイションになっている。 岡本 そうですね。漫画の背景って実は意外と知られていないので。でもこの機械も技術も、このままだと失われてしまう。これが継承のきっかけになったら面白いし、すごく意義があるとは思いますね。 小池 いや、それは本当にそうだと思います。世界規模で7兆円のアート市場にアニメや漫画の市場規模を足す。以前から、ディズニーのセル画がオークションで破格の値段がついたり、と、その世界にもコレクションという考え方はありますよね。漫画に固有のコンテクストを活かしながらアートとして広げていく、という考えはすごく面白いと思います。 岡本 絶妙なバランス感覚の世界ですよね。 小池 いや、本当にそう。若手の作家なんか特に気を使いますね。というのは、今まさに国内オークションが盛り上がっていますけど、国内で極端に高くなり過ぎると海外のギャラリーは良い顔をしないというか、扱おうとしなくなるんですね。「これじゃ自分たちがやっても利益が出ないから」と。ただ逆にクオリティに対して価格が低いと「まだ伸び代があるな」となるわけですけど。 岡本 ああ、すでに価格が出来上がってしまうと…。 曾超 中国でもセカンダリーはすごく影響が強いですね。特に香港などはすごく勢いがある。そこに振り回されてしまうアーティストもいたりしますが。 小池 もちろん国内という、決まったエコノミクスの中で活動していくことも方法の一つだと思うんですが、でもアーティストのステージにもよりますけど、やはりセカンダリーの価格ばかりが伸びてしまうと世界に出ていきにくい。  そういうキメの細かいハンドリングが必要になる現代アートの世界に対して、今回のプロジェクトはもっと柔軟な発想ができるな、と。仮にセカンダリーのマーケットができたとして、それが漫画家に大きな影響を及ぼすわけではない。それにブロックチェーンでもしっかり管理されてますし。 岡本 やっぱりブロックチェーンはきっかけとして大きいですね。来歴も記録されていくし、将来的には追求権のようなことも考えられる余地がある。集英社が発表している複製原画ですらセカンダリーですごい値段がついている状況がありますが、ブロックチェーンの仕組みをつかった作家さんへの還元の仕組みも研究していければ、と思っています。 あとキャリアという話で言うと、今回は3名の先生にお願いしているんですが、いずれは新人漫画家さんにお願いしたいな、とも。 紙のマンガ雑誌の仕組みは厳しくなっているところも多いと思います。マンガ雑誌の原稿料と、コミックスの印税に加えて、漫画アートが、収入のひとつに育っていくとよいのではないか、と。デビュー当初の漫画家さんの100万円と、ベテランの100万円って重みが全然違うでしょうし…。 小池 作家にとっての新しい選択肢ですよね。LINEマンガとか、デジタルコミックスのおかげで作家になれるハードルは下がった、でもそれだけで生計を立てるのは難しいという中で今回のような選択肢があるのは良いと思いますね。…実は4月から美術大学で将来のマンガ含む作家に対してアントレプレナーシップを教えるのですけど、まさにそうした部分ですよね。 岡本 そうですね。漫画をどう継承するかという問題と向き合っていくことはもちろんなのですが、一方では変化していく漫画そのもの、漫画家さんのキャリアそのもののあり方にも関わっていける方法とも言えて。まだ始まったばかりではあるんですが、今日頂いた話も含めて、展開はどんどん柔軟に考えていきたいですね。 Profile岡本 正史 | Masashi Okamoto「SHUEISHA MANGA-ART HERITAGE」事業責任者・ディレクター。東京芸術大学美術学部卒業後、株式会社集英社入社。女性誌~女性誌ポータルサイトを 経て、マンガ制作のデジタル化に参加。集英社刊行の主要コミックスをアーカイヴしデー タベース運用する「Comics Digital Archives」を企画・実現。 小池...

QUICK INSIGHT Vol.15 無邪気さと素直さを色鮮に映し出す|あやいろ | Ayaïro

アジア圏・ヨーロッパ圏でも話題になっている注目のアーティスト、あやいろ。アメリカのポップアートの要素と日本の古きよき風景を現代アートに昇華させた彼女の作品は懐かしくもありポップで楽しい気持ちにしてくれる。 数多くの国際的な展示歴を持つ彼女の原点からアーティストになるまでの経緯、作品制作等についてお話しいただきました。 (メルヘンのさと - Print.ver, H 33.3cm x W 24.2cm x D 2cm, Painting) あやいろの新作キャンバスプリント『メルヘンのさと』 🎉15エディション限定で販売しています🎉 作品購入はこちらから アーティストになられたきっかけを教えてください。 幼い頃からとにかく絵を描くことが大好きで、紙と鉛筆さえあれば1日中静かにしていられる子供だったと聞いています。ただ美大には行かなかったので、現在のスタイルは独学で習得しました。本格的に作家活動を始めたのは2019年くらいからです。当時はまだ、ただ絵が好きで描きためていただけだったのですが、友人の勧めで都内のとあるカフェで個展を開いたところ、「見ていると元気になれる」と言って買ってくださった方々がいて、その時、自分が作るものが誰かの役に立つことがあるのだと感じ、その感覚が忘れられなくて、もっと自分以外の人に向けて描いてみようと決心したのが、作家活動を始めたきっかけでした。 作家ページへはこちらから 現在の制作のテーマについて教えてください。 主に里山の風景とそこに住む子供をモチーフに描いています。もともと大学では英語を専攻しており、カナダへも留学して、日常的に海外の文化に触れることがとても多かったんです。そんな中で徐々に自分が生まれ育った故郷を強く意識するようになっていき、またそれがいかに自分のアイデンティティを形成しているかに気付きました。そのため、作品作りを始めるにあたり、もう一度自らの生まれ育った場所である里山の土地にじっくり向き合い、自分のルーツを掘り下げてみようと決心しました。ですので、制作をするということは、私にとって自分の原点を見つめ直すことでもあるのです。 作品の中で描く子供には、里山で過ごした自分自身の幼少期を重ねているのですが、同時に子供は純粋さの象徴でもあり、描くたびに子供の頃に持っていた無邪気な心を思い出したいという気持ちでも描いています。大人になり、日々情報社会に埋もれながら生きていく中で、だんだんと薄れ忘れてしまうシンプルさ、ありのままでいる大切さを、自然や子供は必ず思い出させてくれます。よく作品には寂しい感じ、郷愁を感じると言われますが、多分それは現代社会の大人にとってそれらが失われた「過去のもの」という感覚になってしまっているからのような気がしています。 作風が出来上がる過程で、意識していることなどがあれば教えてください。 作品をシンプルに仕上げるというのは、1つ意識していることです。シンプルにすることで、どんな人にもメッセージが伝わりやすくすることを大切にしています。余計な情報を排除することで、なるべく見た人が自由に想像できる余白を残すよう心がけています。顔を描かないのも、これが理由です。よく「絵本のような絵」と言われますが、「描かない」ことで、その分そこに強いストーリー性が生まれる気がしています。一旦自分の手から作品が離れたら、自分が込めた感情や、どう描きたかったということよりも、受け手が何を感じ取ってくれるか、そのことが私にとってより重要になります。 また制作と同じくらい大切にしているのが事前のロケハンです。私が制作している作品はほぼ全て、現実に実在する風景をモデルにしています。表現方法はリアルでなくても、題材がリアルであることはとても重要です。最近ではオンラインで簡単にいろんな風景を検索することができるので、もちろんその写真を使って描くことは容易です。でもそれをしてしまうと、どうしても「体験」していない分、そこにリアルな感情が生まれません。私は作家として、自分が生きる中でいろいろな物事に触れ、見たり感じたりしたことを絵に落とし込む作業がとても大事だと考えています。ですので、いろいろな場所へいき、いろいろな風景に出会うことは、実際に筆と絵具で絵を描くのと同じくらい、自分にとって大切なプロセスです。 現在の作風の完成の経緯やかつて受けた影響などがあれば教えてください。 コンセプトという観点からは、ジブリ作品の影響はとても大きいです。特に初期の「となりのトトロ」や「天空の城ラピュタ」などで描かれている自然観は、作品を見るたびにいつも、自分が幼い頃から育んできた感覚そのものだなと感じています。それから、とにかく昭和の雰囲気が大好きで、昭和時代の少女の服装だったり、小物などはリサーチして作品に取り入れたりしています。 表現という観点からは、アメリカのポップアートから影響を受けています。Keith HaringやRoy Lichtenstein、Romero Brittoなど、大衆に開かれた親しみやすさを含みながらも、大胆でカリスマ性の強いビジュアルに強く惹かれます。現在の私の作風は、これらが全てミックスされた形になっていると思います。古き良き日本の文化と、国境や年代を超えて伝わりやすいポップカルチャーの特性を融合した、新しくも懐かしい世界観を目指しています。 作家ページへはこちらから 最後に、実現したい作品のアイディアなどありますでしょうか。 今は主に「里山」をテーマに描いていますが、海だったり街だったり、もう少し違う側面から日本を探ってみたいなと思っています。またもっと昭和にクローズアップしたシリーズも展開したいと考えています。いわゆる世界でHOTだと言われている日本の文化って、結局日本の一部でしかなくて、日本人の誇れる文化や精神というのは、普通の日常の中でもいくらでも転がっているものだと思います。別に日本人だから日本を描かなきゃいけないという意識のもとやっているわけでは全然なくて、単純に自分の日常生活の中でいいなと思うことを拾っていくと、全ては日本の美しい精神や自然観につながっていることに気づいた、というような感覚です。なので、今後も日々の実体験を大切にしながら、それを表現していくことで、少しでも自分の母国の良い側面をアートとして形に残していくことへ繋がれば嬉しいです。 作品購入はこちらから あやいろ/Ayaïro 経歴 1991年東京都生まれ。 自然豊かな里山を駆け回る子供をシンボルにした作品群を描く。 幼い頃から肌で感じてきた地元の風景をモデルに、自然と人との関わり方や生き方を模索している。 懐かしい風景をシンプルな要素とカラフルな色使いで描く、ポップでノスタルジックな世界を展開している。 <アートフェア (抜粋)>  2021 Art Taipei (台北)  2020 UNKNOWN ASIA Online   2019 Art Revolution...

Jose Cachoを知るための6つのポイント

モダンな雰囲気を感じさせる美しいアート作品を生み出すJose Cacho。作品の中で女性の立ち姿が多く描かれているが、これは演劇鑑賞のように、見ている人達が作品の中に入りやすくするための1つの手段として描いている。世界的にも有名なグスタフ・クリムトの絵画から影響を受けており、小さなモザイクが生み出す視覚的なアートの表現に力を入れている。こだわりを感じるのは、様々な種類の画材を使って、何千ものモザイク部分の素材を自分で作っているところだ。 1.経歴 メキシコを中心に活動をしている男性のアーティスト。2016年から2020年の間に制作された作品では、人間の状態に関連する問題、特に「生命」や「知識」を社会的なバランスの原因として意識しテーマにしている。また多くの作品の中で女性が描かれているが、これは知恵と愛を永遠に伝える存在として「地球上の女性の存在」を意識し、描写されている。 2.インスピレーションの昇華 Jose Cachoにとってアート作品を制作するのに大切であるインスピレーションの源は、新聞やファッション雑誌、広告などの身近なメディア。そこから得たインスピレーションを個人的なビジョンを通して作品へと変換することで、人間の本質を捉えたメッセージ性を作品の中に持たせている。メディアから「情報」として得たものを、深く考えることで新しく目に見える形としてアート作品を生み出すという、その巧みな技には驚かされる。独りよがりな作品では無く、実際に今、この瞬間を生きる人々が問題としていることを作品に取り上げたいという熱意を感じた。 3.モザイクが与える視覚的な効果 Jose Cachoの作品は非常にシンプルな構図で描かれている。モチーフの数も少ない。でもそのシンプルな構図のおかげで、何千もの種類で描かれたモザイクの部分に注目して見ることができる。モザイクの部分のディテールが細かいために、シンプルなのに飽きさせないという独特な個性を持っているアート作品だ。例えば「Turn it over」という作品では、2人の女性がシンメトリーに立っていて、2人が着ているスカートは、それぞれの正方形に一つ一つ違う模様が描かれたモザイク柄になっている。女性の顔には立体的な表現を表す影が描写されているが、体には立体感を表すような影などは描かれていない。わざと目に付くように平坦なスペースにモザイクを描くことによって、ディテールをよく鑑賞することができる。さらに体の立体感で、モザイクの印象を後ろに下げないという効果がある。 4.人間の本質を捉えたメッセージ 「Sel Love」という作品では、シンメトリーに配置された同じ顔の2人の女性が一緒に1つの薔薇の花を持っている様子が描かれている。この作品を読み解いていくと、人間の本質を捉えた面白いメッセージが伝わってくる。実はこの2人の女性は別々の存在では無く、一人の女性が自分を見つめなおしている様子を描いたものだ。ここでは「自己愛」について取り上げており、人間が抱えがちな虚無感に対して警告とアドバイスをしている。その虚無感を埋めるために、世の中では会社を探す人が多いが、「本当に大切なのは自分自身との関係だ」とJose Cachoは言う。自分を愛せない人はいつまでも幸せにはなれないし、満足感を覚えることもない。人間関係の中には、自分自身と向き合うことも含まれている。 5.モザイクの印象を操る 女性が横を向いて腕を組んでいる様子が描かれている「Impatient」という作品。ここでは今までとは違って、モザイクの一つ一つが大きく同じようなパターンの模様で描かれているのが特徴的だ。モザイクの印象を大きく変えることで表現の幅を広げており、ここではターコイズと温かみのあるゴールドから背景の質感に深みを演出している。腕を組んで穏やかな様子では無い女性からは「焦り」の大切さを伝えていて、時には自分で自分に圧力をかけることで、焦って大切な答えを見つけようとする。人生において「これは正しいのだろうか?」と疑う瞬間は誰にでもある。そんな時に焦ることは正確な決断を下すために、自分の味方になってくれるという前向きな味方が込められている。 6.Jose Cachoのメッセージ 作品に込められているメッセージは、どれも私達を激しく糾弾するようなものでは無い。人間の本質的な問題に対するアドバイスや、解決策を多く教えてくれている。そこから作品を通して、彼の優しさを感じ取れた。問題を抱えがちな人間だからこそ、Jose Cachoの作品を見るたびに、生きていくうえで大切なことを忘れないようにしたい。そしてこれから彼が見つけだす、人間の状態を掴んだ新しいメッセージにも目を止めていきたい。

「幾重にも積み重ねた時間の層と人の軌跡」START ARTIST vol.2 ~ Mariko Ohashi

TRiCERA発のオークションイベント「START」第一弾の出展作家の"なぜSTARTに出展したか"を主軸にしたインタビュー、ならびに新作の紹介を行います。 オークションイベント「START」とは 2021年2月に行われた「START」。アートに携わる様々な人たちを「セレクター」としてゲストに招き、それぞれの視点からアーティストを選び、そしてその魅力を伝える言葉と共に、その作品をオークション形式で販売いたしました。「アートをこれから始める」という方にも分かりやすい設計を行い、またオークションがはじめての方、オンラインではじめてアートを買う方など、様々なひとたちの「スタート」になるような企画となっております。 作家紹介 大橋麻里子 (Mariko Ohashi) 1991年兵庫県神戸市出身。2016年多摩美術大学大学院博士前期課程美術研究科油画専攻を修了。また2014-2016年に神山財団奨学生として採択される。 個展 「non-Fiction///」(GALLERY301,神戸,2021) 「浮遊する現在」(GALLERY301, 神戸, 2020) 「Born」(GALLERY301, 神戸, 2019) 「白昼夢」(GALLERY301, 神戸, 2018) グループ展 「time in a bottle 大橋麻里子 | 齊藤拓未」(MASATAKA CONTEMPORARY, 東京, 2020) 「komposition」(Sansiao gallery HK, 香港, 2019) 「RETUNE」(MASATAKA CONTEMPORARY, 東京,...

Feature Post

ヌードの現在系-「裸」に向き合う現代絵画-

 人間のありのままの姿を表現するヌード。遥か昔、紀元前のギリシャ美術の時代からヌード作品は制作されているばかりか、体系化されていない原始美術などでも全世界的に盛んに制作されてきた。  ミラノ勅令後、ヨーロッパはキリスト教の名の下に社会の統治が行われてきたわけだが、公序良俗を掲げる時代にあっても芸術の世界では「裸」は不可侵の領域であった。ヌードを扱うには「寓意性や神話性を持っている」というエクスキューズが必要だったとはいえ。  しかし「聖書や神話、物語のワンシーンを描いた神話画・歴史画」以外の領域で、ゴヤによって描かれた西洋美術史において最初の卑俗的で具象的な女性ヌード絵画《裸のマハ》によって新たな地平が開ける。  その後も、人々がその魅力に囚われ続けるヌードはアートの世界を超え、様々な登場人物によってドラマチックな変遷を辿った。だがしかし、このインターネット時代、いつでもどこでもスマートフォン一つで「裸」に接続できてしまう。その点、官能性で他のメディアに勝てるのかといえば疑問が残るが、それでも今日のアーティストが「裸」を扱う意義とはなにか?本記事で紹介する作品を通して、共に考えていきたい。 Fiona Maclean 作家の詳細はこちらから Andrea Vandoni 作家の詳細はこちらから Isabel Mahe 作家の詳細はこちらから Zakhar Shevchuk 作家の詳細はこちらから Badri Vaklian 作家の詳細はこちらから

”自然と生きる”という生き方を演出してくれる作品

現在、アートとエコロジーの関係性が注目されている。 世界的なパンデミックや環境問題への意識の高まりなどが背景にあり、 私たちの生活を取り巻く自然環境や私たち自身の生き方を植物や環境という観点から、 見直そうという動きが生まれているようだ。 今回はTRiCERAに掲載されている作品の中から、 動植物と自然をテーマにした作品を描く今注目の作家をPICKUPしていきます。 タケダヒロキ 花を育てる事が好きだった母の姿を見ながら育ち、 それが自身の作品制作のモチーフになっていたと語るタケダヒロキさん。 作品には必ず植物が描かれ、世界中のメディアが注目する存在になってきている。 (Cat Stretching (print ver.),Art Prints/Multiples, Takeda Hiroki, 2021) 作品詳細はこちら   Jooha Sim 作家Jooha Simはポピー(ケシの花)をモチーフに伝統的な絵画手法で花を描く作家です。 黒背景は彼女の母国韓国の夜景を象徴していると語っており、 夜景の中で輝く花々が都会的な暮らしとある種官能的に描かれたカラフルな花々が融和しているようにも伺える。 (A caress of florescence, H 80cm x W 80cm x D 2cm, Acrylic Painting, 2020) 作品詳細はこちら 大明◎(Hiroaki...

毒と浄化の物語 – 城蛍インタビュー –

城蛍は1996年愛知県出身。2019年に上京して作家活動を開始。今年3月には山下舞子キュレーションによって銀座のGallery Camelliaで初個展を開催した。曰く「瞬間的な物語を切り取る」というスタンスにおいてペインティングされたキャンバス、それから本人曰く「彫刻」と呼称する自作した額縁によって構成される作品を制作する彼女に、今回は作品と制作を中心に、その活動について話を聞いた。 作品の外形的なところから伺いたいのですが、城さんの作品は絵画と額縁に分かれているものとそうでないものがあります。ご自身では額縁の部分を「彫刻」と呼び、装飾物としての額縁と分けておられます。尋ねたいのは、城さんの作品において、この木枠の部分がどういうポジションにあるのかという点です。 一般的に額縁は装飾物の意味合いが強い。絵の飾りという立ち位置。私としては絵画と枠と、別個の存在をつくっている意識はないんですよね。絵を描いて、お手製の額をつけているわけではない。額縁として設定してしまうと、どうしても絵の飾りという聞こえ方になってしまうけれど、でも絵のためにあるわけではない。どちらかが主役で、どちらかが脇役ということはない。 いわゆる平面と立体という区分がし難い作品だと思いますが、その自覚はありますか? 平面かどうかについて言えば、限定してはいないと思う。このかたちの最初期の作品に〈老人と海Ⅲ〉というのがあるのですけど、それはストーリーの瞬間を切り取るというつくり方をして、その瞬間の保存という意味を込めて枠を使いました。そもそも、額縁は大切な写真とか記憶の保存に使うものだから。でも木枠の部分は絵の飾りではないから、平面というか、絵の部分がメインという考え方はしていない。かと言って立体でもないですけれど。だからどっちでもないし、分けるのは難しい。その必要もないと思う。 例えばリチャード・タトルや、あるいは最近の日本では安井鷹之助さんなど、平面と立体のボーダーラインに立とうとする作家さんがいます。城さんにもその意識はありますか? いえ、特に意識はしていなかったです。最初の最初で言えば、キャンバスの四角さが嫌だった。決まった形であることに嫌気が差したんですよ。そもそも絵だけだと角があったり、横があったり、紙だったら紙の厚みがあったりするけど、そういうのが気になるんです。すごく気になる。キャンバスの横に釘を打つなら、絶対にそれは隠したい。邪魔に見えて仕様が無い。そういう考えの人なんですけど、まだ東京に来ていない時、制作をしていてキャンバスの形がすごく気になった。居心地が悪かったんだと思います。それで外側にはみ出そうと思って、キャンバスの四角形から。最初は勢いというか、何か「やっちゃえ」みたいな。 「はみ出す」ための手段として額にたどり着いた。偶発的なことでしたか? いや、論理はあった。だから...偶然とは少し違うと思います。そうすればもっと広がりがあると思っていたから。 キャンバスを形態に手を加える表現方法としてはキャンバスを破いたり切ったり、燃やしたりと色々な先行例があります。中でも絵の外周に進んだ点が興味深いです。 絵の表面に暴力的なことはしたくなかったんですよ。傷をつけるのは嫌だった。 「キャンバスの外」を意識して制作された最初の作品は何でしょうか。 意識の話で言えば〈老人と海Ⅲ〉かな。あれは色々なことがはっきりした作品。でもそこで方向性が生まれたわけではなくて、それ以前にも(木枠を使う作品は)あるにはあったんです。だから...発見に近いのかな。それまでは自分でも気付いていなかった、無意識に続けていたことが自分の中で「そういうことだったのか」と思えた。今はそのやり方を整えている感じです。 例えば〈鯨と波〉は額縁がない円形の作品です。先ほど「ストーリーを切り取るつくり方」と仰っていましたが、つまり最初に作品化したいストーリーの瞬間やモチーフがあって、その実践プロセスで絵画と額縁への分化が必要な場合、そうでない場合があるということですか? そうです、その通りです。だから(額縁を使うかどうかは)場合によりけり。使っている場合にはやはり必然だと思う。だけど、そうじゃない作品もある。無いと成立しないという話ではなくて、必要な場合に採用するやり方。〈鯨と波〉では登場する必然がなかったし、逆にというか、支持体が丸くなる方に進んだ。それが作品にとっては一番自然だったから。無くても完結はするんですよ。枠があるのは、それが作品にとって自然な形だからに過ぎない。 つまり額縁は、あくまで表現の延長線上にあるんですね。ストーリーがあって、絵があって、場合によっては額縁があり変形な支持体がある。 そう、だからとにかく、私としては別々に捉える理由がない。どちらも一つの表現でつながっているから。それに枠があっても無くてもやっていることは同じ。〈鯨と波〉もそうですけど、例えば人の手によって違う姿になった生き物とか、それが生きていた風景とか場所とかを描いている作品もある。そういう作品には枠という形であるべきなのかなって。だから、それぞれですね。 形態から中身に話を移しますが、先ほどのストーリーというのは、映画や小説のように時間軸があるのですか。時間の流れが先か、映像が先かの話ですが。 モチーフが先ですね。描きたい対象があって、その周りにはどういう人がいるのか、それに関わる人物や場所が出てくる。その対象を軸に、それを見た人が目にした景色とか思い出している光景とか、その人たちの脳みその中を考える。結果的にはストーリーとか時間を切り取ってることになりますけど、でもモチーフが先。瞬間的な物語性というか。出てくる人たちの10秒とか10分とか、そういう瞬間的なストーリーです。一生分は考えていない。 登場人物の記憶にフォーカスしているように聞こえますね。 人には限りませんけど、記憶というのはそうかもしれない。だから登場する生き物の見た景色とか出会った人、昔した会話の内容、過去に存在していた場所について考えるのかもしれない。そもそもの最初に額縁を使った時も思い出や記憶に纏わっている。 記憶に焦点を置いているとして、モチーフの出所はどうですか。全くの空想か、それとも身の回りから取材しますか? モチーフが向こうから出て来る感覚に近いのですけど、どうだろう、でもメモはしています。生活する中で目に入ったもの、気になったものを書き留めておく。「あ、これ描きたいな」と思ったものをメモする。断片を集めたりしていて、その中で特に癖のある事柄があるんですけれど、例えば車のヘッドライトとか土偶とか、基本的にそれが作品のメインのモチーフとして出てきたりします。 物語の形式でも、例えば小説には一人称・二人称・三人称とありますが、城さんが制作する際の視点はどうでしょうか。 モチーフの視点かもしれない。だから三人称が近いと思います。自分の思ったことも入るけれど、でも一番近いのはモチーフ。モチーフや第三者が思ったこと、天候とか湿度も割と考えたりします。モチーフとなる存在がどういう場所にいるのか、いたのか、その周りの環境はどうなのかって。例えば土偶をモチーフにした作品なら、そもそも土偶を作った昔の人とか、長い時間をそれと一緒に過ごした持ち主のこととか。その場にいる存在の全てを考える。 メモの話で「描きたいと思うもの」を書き留めると話していましたが、そこに共通点はありますか。というのは、作品には暗色の画材が登場しません。選ばれるモチーフや画材は、目指している世界観と関わりがありますか。 基本的には描きたいものを描いていますけど、確かに共通点はある。暗いとか少し怖いとか、謎っぽいとか、毒があるとか気持ちが悪いとか。明るい部分もありますけど。でも作品にすることでそれを浄化している感覚が近いかもしれない。今は黒を使わないんですけど、それは多分バランスが悪いから。使うと、暗く描かれてしまう。それは少し違うと思うんですよ。暗さが根っこにあっても明るさはあっていい。きれいにしたい気持ちが強いのかもしれない。 負の浄化。 そうですね、それは近い。根本的には自分のだし、表層的には他人にとっての。作品を制作することそのものというか、その瞬間を残しておくことが浄化なのかな。自分であれ他人であれ、作品として、自分のフィルター越しに投影することで浄化になるのかなと。だから白い色を使うんですよ。その方が落ち着けるじゃないですか。 少しバッググラウンドに話を伸ばしたいのですが、例えば城さんが記憶に留めている作家もそういった世界観が多いですか。 どうだろう。シーレ、ボナール、デュマス、ペイトン、ワイエス、あとは村瀬恭子さんとクリス・ヒュン・シンカン、ハマスホイとか無限にいますけど、近さはどうだろう。好きだけど、でも違うと思う。私が描くべき作品でないことが多いと思います。でもハマスホイは、そうですね、違和感があるから......。予備校の先生が「ハマスホイの魅力は違和感」と仰っていて、制作でも、何か足りないと思った時にはその言葉を思い出しています。 コンテンポラリーのペインターが多いですが、元から現代アートに関心が高かった? というわけでも無くて、高校の時に油絵を専攻していたんですけど、そこで学んでいたのはいわゆる伝統的な油彩画だった。いかに描くか的な、技術的な話が多い学校だった。むしろ浪人している時ですね。今の作品がどういう風に成立しているか勉強していたら好きになりました。 少し話がそれますが、城さんは愛知から東京に出てこられて活動をスタートさせましたね。今年で2年目だと思いますが、そもそも上京したきっかけは? 単純にモチベーションの話ですね。私は美大に通っていないのですけど、2年浪人をして、でも細々と制作は続けようと。予備校を辞めてアルバイトしながら暮らしてたんですけど、その間、正直絵はほとんど描いていなかった。......年に2、3枚くらいだったかな。働いて、帰って、疲れたって、本当にその繰り返しだったんですよ。そういう時期にたまたま画家のやましたあつこさんから声をかけて頂いたんです。「続けるなら東京の方がいい。東京においで」って。それは正解だったと思う。環境が全然違うし、入ってくる情報がまるで違うから。 ある部分において、現代アートは戦略的な世界です。城さんは東京に出て来られて、その2年目に最初の個展を開催された。そしてキュレーションは山内舞子さん。非常に好調なスタートですが、自分のポジショニングは考えますか。 ポジションとかは、どうだろう、あまり考えてないです。まだはっきりとはしてないだけかもしれないですけど。でも私の好きな作品があって、それは見る場合もそうですけど、作家が心の底から楽しんでいる作品が良いと思う。そういう作品をつくっていきたい。あとは作品のことだけですね、考えるのは。でも制作は気持ちの面が大きく影響するから、この先どうなるかは分からないですよね。 作品はより変化をしていきますか。例えば、全く額縁を使わなくなるとか。あるかもしれないし、ないかもしれない。そもそも私自身ペインターという自覚もないんですよ。だから作品を絵画に限定するつもりもない。でも、だからと言って彫刻家でもない。今後は(キャンバスと額縁を分けずに)同じ支持体とか、キャンバスの厚みを増していくとか、制作の方向も色々と考えていますけれど、でも絵を描いている部分があることとか、絵を描くこと自体を止めるつもりはないです。......絵は描いていると思う。でもどういうやり方でやっているのか、それは自分でも分からないです。今のところは。 TRiCERAのページはこちらから

渡辺おさむ: 日本の菓子作家インタビュー

“...誰にでもお菓子の思い出はありますよね。” 日本のカワイイ文化の中で、現代菓子アートの先駆者ともいえるアーティストがいる。2003年に東京造形大学を卒業後、独自のレジンホイップクリームやキャンディアートを追求している。渡辺氏は、自身が育った文化に触れながら、西洋の巨匠たちの作品を再構築しながら、繊細な手とパイピングバッグだけで、世界に一つだけの作品を丁寧に制作しています。その気まぐれな彫刻作品は、中国、香港、インドネシア、トルコなどで国際展を開催し、国内外で高い評価を得ています。 今回のインタビューでは、渡辺さんに、作品の原点、渡辺さんにとっての作品とは何か、そして今後の展望についてお話を伺いました。このインタビューは長さとわかりやすさのために軽く編集されています。 目次 幼少期にインスパイアされたアート 日本の現代アートシーンに居場所を見つける 未来への展望 渡辺おさむアートを購入する場所 <a href="https://www.tricera.net/prints-multiples/id81000150003" 幼少期にインスパイアされたアート レジン菓子アートのスタイルはいつ頃から生まれたのですか? 18年前、美大に通っていた頃、自分だけのスタイルを模索していました。そんな時にお菓子の可能性を知りました。子供の頃から、お菓子の形や色が記憶に残っているのは、母が製菓学校で教えていたからです。 なぜパティシエではなく、このスタイルを目指そうと思ったのですか? 母の職業柄、お菓子はいつもたくさんありました。だから、自分で作ったり、お菓子作りを職業にしようという気にはなりませんでした。 日本の現代アートシーンに居場所を見つける “...誰も私の作品を美術品とは思っていませんでした。” <a href="https://www.tricera.net/prints-multiples/id81000150013" 自分の作品が美術品として認められないことを恐れたことはありますか? 自分の作品が受け入れられないことを恐れたことはありません。それよりも、人工的なお菓子を使った型にはまらない表現をしたことで、アート界がどう反応してくれるのかということに興味がありました。作品を作るという行為が好きなので、自分に自信が持てない時は、手を動かして作品を作るという作業に集中し続けることで、自分の道を見つけてきました。 従来のアーティストと比較して、このメディアを選択したことは、あなたのキャリアにどのような影響を与えたと思いますか? 私がこのスタイルで作品を作り始めた頃は、誰も私の作品をファインアートとは認めてくれませんでした。しかし、それにもかかわらず、私は作品を作り続け、発表し続けました。文化勲章を受章した美術評論家の高階秀爾さんの著書に私の作品が取り上げられたのをきっかけに、自分の創作を続けることの大切さを実感しました。 視聴者からの反応が一番充実しているのは? 最初の作品が売れた時はとても嬉しかったです。それと同時に、作家としての責任も感じました。自分の作品を買ってくれるコレクターがいるということは、アーティストとしての価値を保証しなければならないということでした。その時に、自分の作品に全力で取り組もうと決意しました。 最初に売った作品は何ですか? 樹脂製のホイップクリームで「枯山水」を表現した作品でした。東京都が主催するコンペに応募したのですが、当時の東京都知事に買ってもらったものです。 “...自分に自信が持てない時代に、自分の手で作品を作るという作業に集中し続けることで、自分の道を見つけました。” 作品を作る上で一番大変なことは何ですか? 最も難しいのは、樹脂製のホイップクリームでデコレーションすることです。思い通りの仕上がりにするために、2種類のパイピングバッグのチップを使い分け、グリップを調整してテクニックをコントロールしています。 有名な美術品を人工菓子で飾ることにはどんな意味があるのでしょうか? 知名度の高い作品を飾り、自分なりに表現することで、新たな物語が生まれます。 どの作品が一番好きですか? これまでに作った作品の中で一番好きなのは、日本古来の神話をモチーフにしたクニウミです。 伝統的に、お菓子は主に食べることで体験するものです。この体験だけをビジュアルアートに変えることは、あなたにとってどのような意味があるのでしょうか? 誰もが甘いものに好意的な記憶を持っていると思いますが、私は作品を通して、その好意的な連想を喚起することを目指しています。人は、お菓子の味や色、形などを大げさに想像したり、思い出したりしがちです。だからこそ、記憶の色を再構築することで、あの幸せな気持ちを呼び覚ますことができるのです。 <a href="https://www.tricera.net/prints-multiples/id81000150005" 未来への展望 “最近では、自分の作品が歴史的な文脈の中でどのような位置にあるのか、ということに興味を持つようになりました。...” アートやビジョン、方向性は、始めた頃と比べてどのように変わりましたか? 当初は「楽しいから」という理由で美術を追求していました。最近では、自分の作品が歴史的な文脈の中でどのような位置にあるのか、作品を作る意味は何なのか、ということに興味を持つようになりました。 個性的なアートを制作しているアーティストに、あなたは何を伝えますか? あなたのオリジナリティはあなただけのものですから、あきらめずにアート制作に取り組み続けることをお勧めします。作品作りは一生続けられるものです。だから、アーティストを目指す人たちには、無理をせず、これから先もずっと作り続けてほしいと思います。私もこの戒めを守るようにしています。 今後の抱負を教えてください。 今後も世界に向けて作品を発表し、私のお菓子アートの世界を発信していきたいと思っています。現在はインドネシアとフランスでの展示会を予定しています。また、今後も作品を作り続け、コレクターの方に作品の価値を高めていきたいと思っています。 <a href="https://www.tricera.net/prints-multiples/id81000150016" 渡辺おさむアートを購入する場所 TRiCERAでは、渡辺おさむの一点ものの作品を多数ご紹介しています。他の日本の若手アーティストについてもっと知りたい方は、現代美術のページをご覧ください。

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