月曜日, 3月 1, 2021
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星へ旅する時代のアートとは

星座の歴史は今から約5,000年前にまで遡るという。

メソポタミアの羊飼が星空を見上げながら、星々を結び作られたというそれは、古くから我々人類が宇宙に漠然と惹かれてきたことの良い証拠だろう。

アートにおいても星空や星座を題材としたものは散見されたが、今やアポロ11号の月面着陸から50年以上。サイエンスの力によって、宇宙の秘密が徐々に解き明かされつつある今、宇宙を題材にした作品もまた変化したのか?

内藤博信/Hironobu Naito

日本人に限らず、また人間の今昔に関わらず、ひとは月に心奪われてきた。内藤は月に憧憬する人間の心情を、岩絵具で叙情性たっぷりに描く。

導(しるべ)
76 x 57.7 cm

彼は、ふと見上げた空に月が輝くのを見たときに、自分の生きてきた時を振り返り、心の「静寂」を感じるという。粗めの絵具を用いて描かれる青い月は鑑賞者に穏やかな静寂が訪れるだろう。

Blue moon
116.7 x 91 cm

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椛田ちひろ/Chihiro Kabata

黒色ボールペンでインクジェット紙などの上に不定形なかたちを描くことで知られる椛田。ボールペンの動きは繊細かつ力強く様々な対象を描く。

見知らぬ惑星,オーロラ
90 x 90 cm

宇宙に点在する惑星は、観察されるものから人間のイマジネーションの加工を施すことによってアウトプットされてきた。しかし、椛田の「惑星」はとても存在し得ないと思われるような抽象的な形状をしている。しかしその観念的とも言える表現には「見知らぬ」こその未知の魔力潜んでいる。

見知らぬ惑星,トランタ
90 x 90 cm

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前川奈緒美/Maegawa Naomi

前川は星の性質、自分の創作を同一化させる。

まだ見ぬ宇宙のその先は、人の心に似ている気がする。
100 x 40 cm

「星は自身の最期を迎える時に、自身で自分の中枢に向かって物質を破壊し、爆発し、元素を撒き散らし、その存在が消えるらしい。私自身、自分の中枢、わたしを知りたいと想い続け絵画を描いている。」「すべては繋がっている。」と語る前川の作品はエネルギーに満ち満ちているようだ。

オイルバー(油絵の具と蜜蝋で固めた物)や時に自身の手指も筆の代わりに使用し、身体とキャンバスの一体化を図る。

この広場に居る。宇宙という無限の。物語は始まっている。
53 x 53 cm

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宇宙は言うまでもなく広い。広さが分からないくらいに。科学がいくら育とうと、少なくとも今現在、その全てなど知り得ないかもしれない。しかし、だからこそ、今後も人類最大の浪漫であり続ける宇宙に想いを馳せずにはいられない。

Shinzo Okuokahttps://www.tricera.net/
1992年東京都出身。大学でインド哲学を学んだ後出版社に勤務し、アート雑誌と神社専門誌の副編集長として雑誌及び書籍の企画・編集に携わる。2019年にスタートアップ企業である株式会社TRiCERAに参加、日本初の現代アート専門の越境ECの開発及びアーティストのマネジメント、自社オウンドメディアの立ち上げを担当する。特技は速筆で、雑誌時代には1ヶ月で約150ページを1人で取材・執筆した。

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崩れていく造形の先にある美しさを描く – さめほしインタビュー –

さめほしは1997年東京都出身、2020年に武蔵野美術大学油絵学科油絵専攻卒のペインター。2016年頃からアクリルとペンを使い、デフォルメされた少女の顔や体を破裂・溶解させ、その崩壊と形成を繰り返す姿を描いてきた。「可愛いものは崩されても可愛さを保ち続ける」というさめほしに、今回は作品の背景やこれまでの歩みについて話を聞いた。 さめほしさんは生成と崩壊をテーマにした女の子の顔をメインに描かれていますね。顔や目の大きさをデフォルメした顔もそうですが、加えてそれを意図的に崩している。その点にからお話を伺えますか?  感覚的な話になってしまい恐縮なのですが、モチーフについて言えば、一番の理由としては可愛さ。小さい頃からプリンセスのような女の子を描いていることが好きだったんですけれど、両親の影響から90年代頃のアニメを見たりゲームをすることが多くて、その中でデフォルメされたキャラクターを好きになっていったんです。 作品の傾向のせいか、よく「アニメが好きなの?」と言われるのですけれど、実際にはそこまでアニメや漫画というジャンル自体に強い思い入れはなくて、むしろ頭身の低い、デフォルメされた女の子の可愛らしさ自体が好きなんです。 一方では可愛いさだけじゃなく、その可愛らしさが崩れている状態にも関心が強くて。可愛いのに、その可愛らしさが溶けるように崩れていっている状態。その「もう元には戻らない」ということが余計にその美徳を強めるというか、これは感覚的なことなのですけれど、その様子にすごく惹かれるんです。 加虐的な趣味というわけではなく、バラバラになったり破裂していたり、崩壊した可愛らしさにも別の可愛らしさがあると思っていて、むしろ「可愛い」というものを単純化されないカタチで表現できるのではないかな、とは考えています。 クリスマスケーキ 2020年 29.7 × 42cm Giclee Printing on paper edition:50 さめほしによる限定エディションプリントはこちら 顔だけでなく、身体そのものの形状も崩れている絵画もありますね。「可愛いらしさの崩壊」以外にも変形する身体にも関心がありますか?  おっしゃる通り、キャラクター化された女の子以外やその崩壊以外に、そもそも顔がぐちゃぐちゃしていたり体がバラバラになっていたり、あとは硬いものが柔らかいものに衝突して弾け飛んでいる様子とか、グロテスクなものが好きというわけではないのですけれど、そういう様相が綺麗だなとは思っていて。 AKIRAという作品に登場人物の1人の体が変形していくシーンがあるのですけれど、特にそこが好きで。むしろそこしか見てないくらい(笑)。きっと途中経過というか、例えば魔法少女の変身シーンのように動いている状態が好きなのかもしれません。 そういうわけで形が変わっていく身体については昔から「いつか描いてみたい」程度には思っていたんですが、実際のきっかけとしては愛☆まどんなさんの作品に出会ってからですね。  愛☆まどんなも融解的な色使いをされますけど、崩壊性はそこから。 ええ、そうですね。「ああ、これだ」と氷塊することが多くて、これも発見というか、何かが揃った感覚が自分の中にあったのですけれど、そこからは女の子の顔とか体を崩壊させた絵に取り組むようになりました。 United 2015年 116.7×91cm キャンバスにトレーシングペーパー・油絵具・ペン 現在の絵画を形成するうえで参照した作家さんは他にもいますか? あとは大槻香奈さんですね。最近の作家さんから影響を受けることが多いのですが、大槻さんはデフォルメされた女の子の顔のパーツの配置がすごく卓越していると思うし、縦長の目の描き方はとても参考になります。 どちらも影響力が強い作家さんですけど、その影響下から自由であることは大変ではなかったですか? いや、それが本当にそうで。ただでさえ影響されやすいというか、流されやすいというか、自分自身の性格的にも模倣に走って行きがちなところがあるので悩みました。 でもお二人とも特徴的ではあるので、例えば愛☆まどんなさんの異色肌の女の子、影の色に蛍光色を使うこと、あとは目の中に文字を入れるなど視覚的に独特な部分について自分の中で使用を禁じたり、「これはしない」などルールを設けることで追従をしないように心がけましたね。 デフォルメされた女の子、身体や顔の崩壊性以外にも、さめほしさんの作品は線描や絵具の質感も特徴の一つだと思うんですが、こちらも他にルーツがありますか?  その二点については自分の好みかもしれません。もともと線をひくという行為自体がすごく好きで、細い線を描いていたくて今の絵を描き始めたようなものかもしれないです。何も考えずとも引いていると自然と作品が出来上がってくる線の不思議さも好きだし、無意識で線を引いている時間なんかすごく好き。 絵具についても、やはり物質としての安心感は好みです。昔は絵具をもりもりにして画面をボコボコさせていたんですけど、でも私の作品は近くで見ると荒っぽさが目立っていて、そこは少し気にしていて。よく「デジタルの方がいいよ」とか「写真の方がいい」とは言われるし、今は表面の仕上げにやすりを使ったりしています。 でも物質感は大事? ...

ルーヴル美術館が7月6日に再開。現状と取り組み、そして課題とは?

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ジンジャーブレッドの家に住みたいと思ったことはありますか?

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 8月を過ぎればいよいよ我々を苛んできた暑さも和らぎ、いよいよ秋めいた季節になってくる。  そんな秋はスポーツの秋、読書の秋、食欲の秋、、、といった具合に色々と捗る季節というのが昔からの認識らしい。ただアートファンにとっては、秋といえばやはり芸術ではなかろうか。ちなみに芸術の秋という言葉自体は他国には存在せず、日本固有のものだという。  背景として、まず一つに、二科展や日展、院展など日本を代表する展覧会が開催されること。また過ごしやすい秋の陽気は心に芸術を楽しむ余裕を生むことなどがあるとされる。  秋は月や紅葉が綺麗な季節だ。そんな季節にわざわざ絵で鑑賞することのなんと雅やかなことだろうか。さて本記事では、秋の月と紅葉を題材に描かれた日本人の原風景的作品を数点紹介しよう。 大地義彦/Yoshihiko Daichi 作家の詳細はこちらから Keiko Kobayashi 作家の詳細はこちらから Sai Seinan 作家の詳細はこちらから Edi Matsumoto 作家の詳細はこちらから 大泉沙知/Sachi Oizumi 作家の詳細はこちらから 藤川妃都美/Hitomi Fujikawa 作家の詳細はこちらから 刀根千賀子/Chikako Tone 作品の詳細はこちらから aki 作品の詳細はこちらから

この国でしか出来ない造形を | 野田怜眞インタビュー

1995年愛知県一宮市出身、現在は東京藝術大学 大学院工芸科の漆芸専攻修士課程に在籍中の野田怜眞。昆虫や果実など自然物の造形性を実験的に、工芸の技術やコンテキストを駆使して作品化し、「この国で表現をすること」へ向き合う野田の制作と作品について話を聞いた。 昆虫とバナナをモチーフにした作品が多い印象ですが、まずはその辺りから話していただけますか。-僕の作品はカブトムシなど昆虫、あと最近はバナナをモチーフに漆を使って表現しています。表現したいのは、自然のそれぞれのストーリー。内容としてはごくごくシンプル。というのは基本的なスタンスとして自然を表現のターゲットにしているのと、あとは昆虫や自然を見ていて思うのんですけど、やっぱり人間の作り出す形では敵わないなと。圧倒的にすごいんですよ。自然が生み出した姿形、色の偉大さは僕らじゃ太刀打ちできない。だったら人間の自分には何が出来るだろうと考えた時、その自然の姿形を含め、その背景にあるストーリーを表現し、伝えることだと思って今の表現に至りました。 漆の使用もですが、技法的には工芸に負うところが多いですか。-僕自身が工芸の領域を学んでいるせいもありますけど、でもこの国で造形表現をしようと思った時には重要な素材だなと。気候にせよ、文化にせよ、漆が持っている特性や文脈はとても大きいと思います。あとは工芸自体もそうですね。このジャンルは良くも悪くも素材の制約が強い。マイナスもあるかもしれないけど、でも素材を突き詰めることが出来るし、それに表面処理の技術は卓越していると思う。手を掛ける部分が多いこともあって(工芸は)作品一つ一つへの責任感が強い気がするんですね。そこも好きなところです。 でもプレゼンスする先は現代アートにしている?-そうですね、あくまでもコンテンポラリーアートとして見せたいとは思ってはいます。現代アートを意識したのは、多分、学部4年くらいかな。もともとはジャンル云々ではなくて造形が好きだったんです。違う言い方をすると「目で完結できるもの」。言葉がなくても完結している傾向は、特に工芸の世界に強く見えたんですよ。 コンテンポラリーの作家で注目している人はいますか?-新しいことをやっている意味で感動したのは、やっぱりデミアン・ハーストとか。流行りとかはどうでも良いんですけど、ものとしての価値観が変えられる作品には影響されていると思う。ハーストの作品もそうだし、あとは《泉》とか。 それでいくと彫刻を学ぶ道もあったと思うんですが、それはさっきの素材の問題もありますか?-そうですね、それはある。正直、彫刻でもいいかなとは考えました。だけど、やはり工芸よりも素材的な束縛が少ないせいもあって(彫刻は)ジャンルとして広過ぎるなと。最初に身に着けるべき方法としては工芸が合っていると思ったんです。表現するにあたって手段として考えた時に工芸がよく見えた。今も現代アートを自分の畑にはしたいけど、でも工芸の文脈を捨てるつもりはないですね。 表現の方に話を戻しますけど、最近はバナナのシリーズを始めましたね。興味深いのは、どうしてこの果物がモチーフに選ばれたのかなと。-最初にやろうと思ったのは卒制ですね。きっかけは正直大したことはなくて、金色の大きいバナナがあったら面白いなと。だったら現物を見ようと思って、千葉の農園に。そこがけっこう転機なんですけど、というのは実物がすごくカッコ良かった。太腿くらいの幹に2〜300本ほどが重力に逆らうみたいに生えてて、本当に感動した。それで「これは自分で勝手にデフォルメしちゃ駄目だな」と。まだ自分には早いと思って持ち帰ったんです。最近になって着手してるって感じですね。 基準は自分が感動するかどうか?-もちろんそれもありますけど、でも…、そうですね、何というか少し飛躍するかもですが、美術にとって一番大事なことを考えた時に、それってポジティブさなんじゃないかと。格好いい文脈とかじゃなくてアレなんですけど(笑)。でも見ていてポジティブになれるものを創ることが一番のポイントなのかなと思っていて。マイナスな気持ちにさせるものじゃなくて、見る人にとっていい思い出とか勝利とか高揚感とか、前向きな気持ちを起させるものが大事なんじゃないかと。僕自身、そういう精神性を造形にしたいし。 そのスタンスのバックグラウンドが気になりますね。-多分、学部3年生の頃のカンボジア旅行がきっかけですね。漆のある地域へ行ける奨学金をもらったんですけど、やっぱり現地は日本と比べると貧富の差が激しい反面、でも寺院はめちゃくちゃ派手につくられていて、そこにかける彼らの宗教的な感覚に感動したんですよ。幸福の感じ方って人それぞれだと思うんですけど、お祈りをすることで何か物をもらえるわけじゃないし、物理的な変化はないかもしれない。それでも、少なくとも僕には彼らがそれによって自分の生活をポジティブにしているように見えて。自分の作品もそうありたいなと。 その考えが直に影響した作品は何でしょう。-《尋常に》というカブトムシの作品ですね。とにかく人間の等身大サイズがやりたかった。祈るべき存在としてイメージしたので、そのサイズ感が必要でした。でもこれは自分の化身というか、理想の存在を造形化したかった。それからこの国で表現するなら何が適切かと考えた時、日本には特有のカブトムシがいるし、それにしようと。金箔を使ったのは寺院とかの影響もありますね。やっぱり、金は人を魅了する色だし。 話を聞いていると、作品は象徴的な方向に進むように聞こえますね。-そうですね。例えばカブトムシだったら、ある種の強さの象徴。戦国武将の兜もそうですけど、威厳や強さを表象するものをモチーフには選んでますね。その意味ではバナナも同じ。「Vananaシリーズ」と呼んでいるのですけど、頭文字の「V」は「Victory」と同じでもあるし、あとはさっきの話の続きになりますけど、バナナの持っている力強い生命感はそのシンボルになると思う。 コンセプトがはっきりしている反面、表現に対してミニマルな考え方があると思うのですけど、それは自然の造形に対する気持ちが影響していますか?-どうでしょう…、でも確かに敬意はある。話は逸れるかもしれませんけど…、個人的にどの生物も生まれて来た意味を同じだと思っていて、それでバナナも昆虫も同等の生物として見たときにそれを人間独特の価値観で判断したり、人間と同じ時間感覚で捉えることに違和感があるんですよ、すごく。表現するにも、このままで、つまり人間サイドの尺度でやってしまって良いのかなと。 さっき話していた「人間としてできる表現とは」の話にも繋がりますね。-そう、そうですね。バナナについても、僕は本物から型取りするんですけど、それはバナナが生きたり成長した証をそのまま表現にしてあげたいから。あとは見たときに感じたエネルギーとかを汲み取って、それを色と形ですよね、あとは素材とか技法、そういうものに制約されながらどう表現していくかを考える。人によって見方は色々あると思いますけど、昆虫の姿形って、僕はカッコいいし綺麗だと思っていて。だから変に僕が茶々入れたりするべきじゃない。 今話していたような言葉と作品の距離が近いように思うのですけど、それは意識している?-しているし、そう思って頂けるのは嬉しい。モチーフへに対する気持ちもそうだけど、あとは今言って頂いたみたいにやっぱり目で完結したいし、だとしたら最初に見た時から僕の伝えたいことまでの距離は短くて良いと思っていて。…僕の苦手な作品というか、個人的に抽象画とか読み取るのがすごい苦手で(苦笑)。少しストレスなんですよね。全般的に見ることが好きなんですけど、見る方としても目で完結していたい。そういう意味で造形物とか、あとは虫ですね。虫は一番ストレスが少ない、鑑賞してて。 制作ではビジュアルが先行しますか。-しますね、断然。形自体も、最初にエスキースでやるんですけど、三次元に起こす時—つまり造形化する時に形としてないと把握できない。あとは僕自身、制作自体はぼんやりした言葉の元でしていて、終わった後でコンセプトをしっかり固めるタイプ。手で考えていくタイプですね。その逆はあまり得意じゃないかな。細かく設定するとズレてくるし「文章で良くない?」と思ってしまう。 ジャンルに話を戻しますけど、現代アートのフィールドでやろうとする時、工芸のバックグラウンドは邪魔になりますか?-邪魔にはならないですね。でも表現上、工芸の観点からいうと僕はけっこう無茶をしている。ハンダ付をしたり、技術的なところですね、主に。でも工芸の魅力は落としたくないし、その可能性は絶対あると思ってるので。…とはいえ、確かに(工芸は)良くも悪くも技法や素材に対して意識が傾きがちではあるとは思う。講評でも使用した技法のレベルを美術館にあるような伝統工芸品と比較されたりとか。「いや、もっとバナナのオーラ見てよ!」って感じなんですけど(笑)。でもそれはそれで良い。考え方の違いだし。違う考え方の人がいるのは、むしろ良いことだと思っていて。自分の表現したいことを語り合って、ぶつけ合うのってすごく大事だし。閉じ籠もっちゃダメだなって思いますね。 その姿勢が面白いですね。最後に、今後に挑戦したいことや計画していることはありますか?-今はブラッシュアップですね。新しいものというより、今やっているバナナとか今の表現を掘り下げたい。ちょうど修了制作の時期でもあるし、なので自分の言いたいことをより伝わりやすいように進化させるにはどうすればいいか、今はそこに磨きをかける時期かなと。出来るだけ多くの人に共有してもらいたいと思っているので、そうですね、より伝わるようにはしていきたい。今は「ここがなあ」とか思う点もあるので。あとは、そうだな…、カブトムシみたいに華美でやり過ぎなものは目指したいです(笑) 野田怜眞 / Ryoma Noda1995年愛知県一宮市出身。2014年に愛知県立起工業高等学校デザイン科を卒業し、2015年東京藝術大学工芸科に入学。昨年は東京藝術大学卒業展示にて取手市長賞を受賞。現在は同大学大学院工芸科の漆芸専攻修士課程に在籍中。作品ページ:https://www.tricera.net/artist/8100422Instagram:https://www.instagram.com/ryoma_noda/?hl=ja

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絵画とは違い、実際にあるモノ・コトに準拠する写真の表現は、被写体の制限を少なからず受けるところが特徴であり、かつその作家のイメジネーションだけでは完結しないからこその面白味がある。被写体に当たる光の量、空気の状態、被写体に向き合うアングルや距離、もしくは被写体それ自体など、写真を自らのメディアにする作家が、現象世界を前提しながら、その作品のどこに工夫を凝らしたのか、どこに自らの精神を反映させたのかについて思いを馳せながら鑑賞することも一興だ。   福嶋幸平 / Kohei Fukushima  作家の詳細はこちらから KEISUKE UCHDA 作家の詳細はこちらから ATZSHI HIRATZKA 作家の詳細はこちらから 梅川良満 / Yoshimitsu Umekawa 作家の詳細についてはこちらから 松元康明 / Yasuaki Matsumoto 作家の詳細はこちらから 加藤友美子 / Yumiko Kamoto 作家の詳細はこちらから 良知慎也 / Shinya Rachi 作家の詳細はこちらから JG ヘッケルマン/ JG. Heckelmann 作家の詳細はこちらから

コンセプチュアルアートの次の時代へ。

Kohei Kyomoriは、「モダンデコレーター」として主に平面作品を制作しているアーティストです。人間の視覚に訴えかけるような力強い作品を作り、次の世代に伝えていくことを目標としている。"私の目標は時代を超えること。歴史の中で人類が築いてきた装飾文化を絵画に解釈し、更新していくことで、誰もが感動するような作品を作りたいと思っています。" 「装飾文化をアートに応用する」というあなたのスタイルについて教えてください。装飾文化の歴史を解釈し、それを更新していきたいと思っています。私の作品は、国や地域を問わず、新しい装飾文化のスタイルを紹介する絵画かもしれません。みんなに「すごい!」と思ってもらえるような作品を作りたいと思っています。   グラフィックデザインやファッションにも携わっていますよね。その経験はあなたの仕事に何か影響を与えていますか?私のルーツはグラフィックデザインとファッションなので、特に構図を考えている時には、その技術が非常に役立っています。また、日本のグラフィックデザインのルーツは版画にあり、ジクレーなどの版画技法も使っているので、それも作品に影響を与えています。  どのように作品を作っているのですか?まずスケッチから始めて、デジタルでシミュレーションします。素材をつなぎ合わせるときなど、思いがけないところから生まれる要素が重要です。デジタルシミュレーションが終わったら、ジクレープリントで出力して、UV加工で仕上げています。私の作品は繊細で凝っているようには見えないかもしれませんが、実は繊細なんです。  作品にはいくつかのシリーズがありますが、今一番重要なシリーズはどれでしょうか?その中の一つに「あはれび」というシリーズがあります。このシリーズはオリンピックのために作り始めたのですが、文化や背景が違う人たちの差別や偏見を乗り越えたいというメッセージが込められています。 もう一つの重要なシリーズは「JAPAN BLUE」という藍染を使ったシリーズです。社会不適合者であっても、すべては個性だと思っています。多様性のある社会というのは、そもそも既成の枠に収まらないものだと思っています。だから、このシリーズのテーマは「不完全性の肯定」で、とても日本的だと思います。  メッセージ性の強い作品が多いですね。-そうですね 自分の作品を作る上で一番大切なのは、時代を超えていくこと。最近よく考えるのは、「目で見て感動する」というような普遍性ですね。飾り付けには技術と時間をかけていますが、一つ一つの作品が持っているエネルギーに、きっと誰もが感動してくれると思います。説明しなくても感動できるものが好きで、それが素晴らしいと思います。現代美術の世界でも、デュシャン以降のコンセプチュアルアートの世界でも、グラフィックデザインやファッションのバックグラウンドを活かして、自分に何ができるのかを探っていきたいと思っています。世界のどこにいても、職種や民族に関係なく、誰もが「すごい!」と言ってくれるような作品を作っていきたいですね。 

Feature Post

工芸と装飾の文脈は絵画に何をもたらすか?京森康平インタビュー。

「僕の目標は時代を超えること。歴史を超えて残ってきた、人類が築いてきた装飾文化を解釈し、アップデートして絵画に変換することで、誰もが『wow!』と言ってくれる作品を創っていきたい」と語る京森康平は「装飾」を手掛かりに、藍染など日本工芸の文脈から制作するアーティスト。今回はその考えと制作について話を聞いた。 アーティストの詳細はこちらから 京森さんは装飾性をコンテキストから絵画を制作していますね。まずはその辺りから伺ってもいいですか。-私は現代装飾家という肩書きで活動していますが、歴史上に数ある装飾文化を自分なりに解釈し、アップデートすることを念頭に置いています。だから、その文脈で見れば、私の作品は絵画という形で、国や地域にかかわらず、装飾文化を新しいフォーマットで紹介しているものかもしれません。現代アート、特にコンセプチュアルな作品は、ある意味で言葉が重要です。だけど私は、少なくとも自分の作品に関していえば、目で見た時、言葉に頼らずとも感動できる仕事にしたいとは思っています。 作品の詳細はこちらから 京森さんは、一方でグラフィックデザインや服飾の仕事に携わっておられましたね。その点は、作品に影響していますか?-影響しているし、大事な点でもありますね。色の組み合わせにおいてはヨーロッパで服飾を学んできたことが生かされていると思います。また僕はデジタルで制作するという事もあって、いかに平面絵画の枠にとどまらないかを大切にしていて、マテリアルや素材の選定、デジタルとアナログの融合など複数の技法や素材を組み合わせることで、作品の強度を高めたいと考えています。 また、日本のグラフィックデザインは浮世絵にルーツがあって、版画の技法や分業で制作するスタイルについては意識して作品に取り込んでいます。 作品の詳細はこちらから 制作の流れについて伺ってもいいですか?-まずはスケッチ、それからデジタルでシュミレーションします。素材をつなぎ合わせたりして、偶然的に生まれて来る想定外の要素は重要ですね。それからCGで作品を描き、マテリアルに応じたプリント技法で出力し、染色したり岩絵の具やU Vレジンで立体的に加工するというのが、大まかな流れです。 作品にはいくつかシリーズがあるようですが、今現在、特に重要なものはありますか?-今は大体5つくらいのシリーズがあって、例えば『A-UN』と言うシリーズは、民族間の差別や偏見を超えることへの願いをメッセージとして込めています。もう一つ重要なのは、「JAPAN BLUE」という、藍染を使ったシリーズ。話は少し飛びますが、僕は社会不適合とか、全部個性だと思っていて。多様性な社会とは、そもそも、そうした既成の枠組みに合わない性質を取り入れたものだと思うし。だから、このシリーズでは不完全性の肯定がテーマにあって、自分では非常に日本人的だと思っていますね。 作品の詳細はこちらから 「視覚的な感動」が言葉と時代を超える力になる、ということですか?-現代アートという世界は、今までずっとコンセプチュアル・アートという、コンセプトや言葉を重視する流れが強い。しかも、欧米中心の。それを日本人の僕が、しかもグラフィックデザインや服飾をバックグラウンドにしている僕が出来ることを探っていきたいと思います。世界のどこにいるか、どういう仕事か、どういう民族かなどは関係なく、誰が見ても「Wow!」と言って貰える作品をつくることが時代を超えることだと思っています。 今後の展望があれば教えてください。-今後の展望としては、日本の伝統工芸の文脈を、装飾という観点からアートに活かしたいなと考えています。具体的には、有田焼や徳島の藍染めなど歴史と伝統が育んできた技術を日本の強みと捉え、自らが描く装飾的な絵画と融合させる。それによって作品/モノとしての価値、強度、エネルギーをより高められるのではないかと考えています。また、それぞれの地域と共創していくことで日本の未来に残せる技術や伝統を守り、さらに進化した伝統が継承されていくことで時代を超えて次の未来に繋がれれば良いなと考えています。 京森康平の作品はこちらから

著名な公募による展示会「TOKAS-Emerging 2019」

TOKAS-Emerging 2019 part 2 at TOKAS Hongo 東京芸術劇場 東京の現代アートの創造と振興を目的としたアートセンターです。トーカスは2001年にトーキョーワンダーサイトという名称で設立されました。トーキョーワンダーサイトは2017年にトーキョーアーツアンドスペースに改称しました。2001年より、新進気鋭のアーティストや実験的なアートプロジェクトを支援するための様々なプログラムを実施してきました。 TOKAS-Emergingでは、35歳以下の日本人アーティストを対象に公募を行っており、今回は6名のアーティストが選出されました。今回は6名のアーティストが選ばれました。TOKAS-Emergingの第1部は7月20日から8月18日まで、第2部は8月31日から9月29日まで開催されています。 パート2をくわしく見る – Ashikawa Mizuki, Miyasaka Naoki, Hojo Tomoko TOKASには、アートプロジェクトや展覧会を中心としたTOKAS本郷と、アーティストのためのレジデンス「TOKAS Residency」の2つの会場があります。 TOKAS本郷の建物は3階建てで、3人のアーティストがそれぞれ独立したスペースを確保していました。作家は個展として作品を発表することができます。 1階は芦川瑞季の作品で、リトグラフを中心とした版画を中心とした作品を展示しています。今回の展示の特徴は、構成の整った展示でした。大きなサイズの作品から80x50mmなどの小さな作品まで、リズミカルな流れの中に設置されている。 近所を歩いていて出会った風景をモチーフにしています。特に今回は、TOKAS本郷を訪れたことからインスピレーションを得て制作した作品を展示しています。 彼女の作品が展示された理由は、空間を理解した上で空間のリズムに合わせて展示されていたからです。 2階では、Miyasaka Naokiによる「三つの空間」の展示が行われています。人間の知覚によって変化しうる空間の概念を研究している作家であるMiyasakaは、展示空間全体を作品にしています。本展では、人間の知覚の変化によって生じる様々な空間の概念を捉えるための3つの空間を展示します。 サウンドアーティストのHojo Tomokoは3階を拠点に活動しています。主にインスタレーションや音の作品を制作しています。今回の個展「Sotto Voce」では、歴史やマスメディアに取り上げられてきたオノ・ヨーコに対する様々な認識に焦点を当てています。アーティスト、ジョン・レノンの妻、スキャンダラスな女など、オノ・ヨーコに関する記述が多い中、北條はこれらの記録された認識を可視化し、個人がどのように主観化されるかを提示します。 宇宙と番組について-TOKAS-Emerging 3階建ての面白い建物の中で、作家が個展をしているような展示をしているのが印象的だった。グループ展をサポートするアーティストの公募が多い中、TOKAS-Emergingは個展の機会を与えているという形が面白かった。若いアーティストにはなかなか個展の機会がないので、TOKASの支援の仕方は彼らの助けになっていると思います。アワード自体の評価だけでなく、現実的な面でもアーティストを大きくサポートしているように感じました。 TOKAS-Emerging 2019 part...

ヌードの現在系-「裸」に向き合う現代絵画-

 人間のありのままの姿を表現するヌード。遥か昔、紀元前のギリシャ美術の時代からヌード作品は制作されているばかりか、体系化されていない原始美術などでも全世界的に盛んに制作されてきた。  ミラノ勅令後、ヨーロッパはキリスト教の名の下に社会の統治が行われてきたわけだが、公序良俗を掲げる時代にあっても芸術の世界では「裸」は不可侵の領域であった。ヌードを扱うには「寓意性や神話性を持っている」というエクスキューズが必要だったとはいえ。  しかし「聖書や神話、物語のワンシーンを描いた神話画・歴史画」以外の領域で、ゴヤによって描かれた西洋美術史において最初の卑俗的で具象的な女性ヌード絵画《裸のマハ》によって新たな地平が開ける。  その後も、人々がその魅力に囚われ続けるヌードはアートの世界を超え、様々な登場人物によってドラマチックな変遷を辿った。だがしかし、このインターネット時代、いつでもどこでもスマートフォン一つで「裸」に接続できてしまう。その点、官能性で他のメディアに勝てるのかといえば疑問が残るが、それでも今日のアーティストが「裸」を扱う意義とはなにか?本記事で紹介する作品を通して、共に考えていきたい。 Fiona Maclean 作家の詳細はこちらから Andrea Vandoni 作家の詳細はこちらから Isabel Mahe 作家の詳細はこちらから Zakhar Shevchuk 作家の詳細はこちらから Badri Vaklian 作家の詳細はこちらから

ルーヴル美術館が7月6日に再開。現状と取り組み、そして課題とは?

 コロナウイルスの流行によって世界中で大きな変革が起こった。アートワールドも例外に漏れず、大きな経済的打撃を受けているようだ。ではフランス・パリに位置する美の殿堂、ルーブル美術館にはどのような影響があったのか。  フランスの美術館は数ヶ月にわたる閉鎖の後、ようやく再開し始めた。しかし、そこに祝賀ムードはない。来場者はマスクを着用し、オンライン予約システムを通じてチケットを購入し、体温検査の結果を提出するという。アートを見る上で、奇妙で新しいガイドラインによって運営されているためだ。  パリのルーブル美術館は政府のガイドラインが変更されない限り、7月6日に再び来場者の受け入れを開始する予定だ。それでも、コロナウイルス前のようにはいかないだろう。フランスのアートマガジン、ル・フィガロとのインタビューで、ルーヴル美術館のディレクターであるジャン=リュック・マルティネスは、旅行の制限により来場者数に深刻な影響があると述べている。  マルティネスは、ルーブル美術館の来場者数が70%低下すると見込み、また来場者の属性も大きく変化するとの予想だ。マルティネスは、以前はチケット販売の75%が外国人によるものだったが、政府による出入国規制により大きなマイナスを来たすと述べた。ただフランスでは夏の間、長い休暇を取るので来場者数の割合としては少ないが自国民の取り込みに期待している。世間がアート業界に暗い予想をする中、マルティネスは楽観的だ。  通常、ルーブル美術館は1日あたり10,000~15,000人の来場者を迎え、世界で最も多くの人々が訪問する観光スポットの1つとなっている。以前は訪問者は複数の場所から入場できたが、現状はイオ・ミン・ペイが設計したピラミッドを介してのみの入場に限っている。また博物館の約30%は完全に閉鎖するなどの措置を取っている。  彼の予測では、今後数年間は美術館の展示方法など変わらないとする一方、2023年には通常形態に戻るだろうと明かした。マルティネスは現況を911直後の美術館の来場者が減少した状況になぞらえ、この打開には想像力が必要であり、またルーブル美術館にはそれをするだけの力があると説いた。 copyright by https://www.artnews.com/art-news/news/louvre-coronavirus-reopening-attendance-drop-1202689059/