水曜日, 10月 20, 2021
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アートの外、そして中。アウトサイダー・アートの作家たち

アウトサイダー・アートとは1972年に美術評論家のロジャー・カーディナルによって提唱されたこの概念。言い換えるならば、正規の美術教育を受けていないアーティストによって制作されたアートを指すテクニカルタームと言える。

 型破りで自由なスタイルのアウトサイダー・アートについて、本記事ではACMギャラリーが取り扱う作家を紹介していく。

藤橋貴之/Takayuki Fujihashi

1963年生まれ。20歳になって、新明塾の仲間と出会い絵を描く楽しさを知りながら、自分の世界を広げる。 20代、30代は染色、クリーニング屋さんなどで実社会経験も積み、真面目で着実な仕事ぶりは評価される。その後、一時期工房ソラに入所、さおり織や陶芸の絵付けなどでその造形感覚を発揮する。現在は自立を目指して一人暮らしをしている。

エトナ山をのぞむ
41.3 x 53.4 cm 
ハルシュタット
41.3 x 53.4 cm

作家の詳細はこちら

神楽谷/Kaguratani

1971年生まれ 岡山県津山市在住。常に自分の興味のあるものにアンテナを張っており、興味あることを形にしたいという思いは強く、油絵、水彩画、デザイン、オブジェなど、興味の赴くままに作品を作っていく。いくつもの作品が同時進行で制作されており、アトリエには制作途中の作品が多くある。

ミクロコスモス
110 x 80 cm
ねこ
27 x 22 cm

作家の詳細はこちらから

XL

1967年生まれ。2006年より「NPO法人スウィング」に所属。中学卒業後、左官屋に就職するも激しい「いじめ」にあい速攻で退職、推定15年に及ぶ引きこもり生活を経験する。芸術創作活動「オレたちひょうげん族」、京都人力交通案内「アナタの行き先、教えます。」等、多方面に渡ってスウィングの「仕事」を中心的に牽引中。

ピカソの哀しみ
54 x 39 cm
くつろぎの夜
54 x 39 cm

作家の詳細はこちらから

寺井良介/Terai Ryosuke

1985年生まれ。野球への情熱は、動物や身の回りにあるものを次々と野球の世界に引き込んでいく。一見すると無関係に思えるものも、元をたどると実は野球を発端に飛躍している。

グルメの町
45.5 x 53 cm
チーズベースボール
45.5 x 53 cm

作家の詳細はこちらから

松本寛庸/Hironobu Matsumoto

1991年生まれ。2〜3歳の頃から絵を描き始め、3歳で高機能自閉症と診断された。彼の作品は、その時の興味や関心を反映したものが多く、自分の考えるイメージに変えて描く。色鉛筆も300本、水性ペンも100本ほどの中から迷うことなく色を選ぶ。定規や消しゴムや修正液などは一切使わず、緻密で繊細で色彩豊かな作品が多い。

UFO
76.2 x 108 cm
夜空から見た大都会
76.7 x 108.4 cm

作家の詳細はこちらから

世界で評価の兆しが見える日本初アウトサイダー・アート。奇妙にも思える作品は、しかしその内面性故にボーダレスなパワーを持つのだろう。

Shinzo Okuokahttps://www.tricera.net/
1992年東京都出身。大学でインド哲学を学んだ後出版社に勤務し、アート雑誌と神社専門誌の副編集長として雑誌及び書籍の企画・編集に携わる。2019年にスタートアップ企業である株式会社TRiCERAに参加、日本初の現代アート専門の越境ECの開発及びアーティストのマネジメント、自社オウンドメディアの立ち上げを担当する。特技は速筆で、雑誌時代には1ヶ月で約150ページを1人で取材・執筆した。

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キャラクターのようなシンプルなデザインで、可愛らしい女の子の絵を描くdeityparty。しかしそんな絵柄とは真逆に、人間の仄暗い闇の部分をテーマとした作品が多い。水彩や色鉛筆などの淡い色彩で表現しているが、伝えているメッセージはどこか共感できるような部分が多く誰もが抱えがちなものだ。 1.deitypartyの背景 台北在住のアーティスト。2012年に台北国立芸術大学で絵画のBFA(美術学の学士号)を修了し、2016年に国立台湾大学で言語学のMA(学芸修士)を修了。2019年には絵画の研究に関して、学術出版社であるWalter de Gruyterの書籍シリーズに掲載された。現在日中はプロダクトデザイナーとして働き、夜はアーティストとして活動中。絵の制作以外にも執筆活動もしており、いくつかの文学賞を受賞している。2019年の台北イラストレーションフェアでは、Selected Awardを受賞した。Instagramでは名前と同じ「deityparty」というIDで日々の制作を世界に発信している。 2.文学的な感性 人間の感情的な部分への目の付け方や、キャプションに付けられた短い言葉など、文学的な感性が発揮されたアート作品が多い。「Dancing In The Dark」という作品の中では、悩みもがき苦しんでいる様子がまるで、暗闇の中でダンスを踊っているかのように見えるというdeitypartyの考え方が添えられていた。筆のタッチもダンスの動きの激しさを示すような荒い動きで、顔のパーツや体の輪郭をはっきりと描いていない。色も赤と青をメインに使われていて、暗闇の中で苦しんだり怒ったりという感情の起伏の激しい波も感じ取れる。 (Dancing In The Dark/17cm×23.2cm/ミックスドメディア) 作品詳細はこちらから 3.現代的な闇を持つ人間の描写 現代の私達が抱えがちな仄暗い部分を持った人間の様子を多く表現している。「In My Sleep」という作品では、不眠症について表現されている。夜に眠ることができず、架空の睡眠を繰り返す様子を「明るい闇の中に居るようだ」と考えていて、女性が眠っている部屋の背景はあえて白いままで残されている。直接的に不眠症に苦しんでいる表情や様子は描かれていないがその女性の手を「ナイフを握った手」という説明をしていることから一見、明るい部屋でただ横になっているだけのように思えても、実はかなり苦しんでいて追い詰められている状態なのだとわかる。 (In My Sleep/21cm×30cm/水彩画) 作品詳細はこちらから 悲しげな様子の頭部とティーカップがぽつんと描かれた、不思議な印象が漂う「Blue Still Life」という作品。休憩中に疲れた頭をデスクに置いて休んでいる様子が描かれており、現代の私達の多忙さがよく表現されている。日々色々なことに追われていて頭を取り外したくなるぐらい疲れるが、ただお茶を飲んで休憩しても満足に休むことができない。思考を取り外して静物として頭を無にする必要がある程、忙しい毎日を送っている。 (Blue Still Life/10cm×14.9cm/ミックスドメディア) 作品詳細はこちらから 4.共感性の高いメッセージ 人間の身近なところにある仄暗い部分を描いた作品からは、共感できる部分が皆何かしらあるかもしれない。現代に生きている私達にとっては不眠も、多忙による疲れも非常に身近な悩みで、ぱっと見ただけでは人から理解してもらえないことが多い苦しみだ。deitypartyの作品から共感することで、気持ちが楽になったり理解して貰えたという喜びを感じることができる。 5.物語性の高さ 執筆活動もしているdeitypartyらしく、小説の一節のようなキャプションを添えたシーンが描かれた作品が存在している。例えば「Swimmers」では、「二人は泳ぎに行った。その日に何かが起こり、2人を永遠に変えてしまった。」というキャプションがあり、友達のように見える2人の水着の女の子に何があったのかが気になる。視線がそれぞれ別の方向を向いている様子からただ喧嘩をしたのか、それとも全体的に不穏な暗い色調から察すると何か重大な事件が起きたのか…。深くは描かれていないからこそ、自由に物語を想像させる仕組みになっている。 (Swimmers/21cm×30cm/水彩画) 作品詳細はこちらから 頭部が飛んでいってしまっているような残酷な描写がされているが「The Kiss」という作品も、まるで映画のポスターのような物語性が付け加えられている。「死の前で、二人はキスをする。」というキャプションが付けられているが、キスをしている様子からして愛し合っている2人は何故このような状態になってしまったのか。何もわからないが、物語を色々と推測させる興味深い作品だ。 (The Kiss/10cm×14.9cm/ミックスドメディア) 作品詳細はこちらから 6.キャッチーな絵柄に仄暗さを混ぜ込む魅力 キャッチーで可愛い絵柄に、仄暗さというスパイスを効かせることでアンバランスな新しい魅力が生まれている。その強烈なギャップは私達の脳に色濃く刻まれていく。同じ作品からどんな物語を連想したか皆で話し合うのも面白そうだ。deitypartyにしか出せない作品に惹き付ける力を、これからも追っていきたい。 今回ご紹介の作品はTRiCERAで取り扱っております

毒と浄化の物語 – 城蛍インタビュー –

城蛍は1996年愛知県出身。2019年に上京して作家活動を開始。今年3月には山下舞子キュレーションによって銀座のGallery Camelliaで初個展を開催した。曰く「瞬間的な物語を切り取る」というスタンスにおいてペインティングされたキャンバス、それから本人曰く「彫刻」と呼称する自作した額縁によって構成される作品を制作する彼女に、今回は作品と制作を中心に、その活動について話を聞いた。 作品の外形的なところから伺いたいのですが、城さんの作品は絵画と額縁に分かれているものとそうでないものがあります。ご自身では額縁の部分を「彫刻」と呼び、装飾物としての額縁と分けておられます。尋ねたいのは、城さんの作品において、この木枠の部分がどういうポジションにあるのかという点です。 一般的に額縁は装飾物の意味合いが強い。絵の飾りという立ち位置。私としては絵画と枠と、別個の存在をつくっている意識はないんですよね。絵を描いて、お手製の額をつけているわけではない。額縁として設定してしまうと、どうしても絵の飾りという聞こえ方になってしまうけれど、でも絵のためにあるわけではない。どちらかが主役で、どちらかが脇役ということはない。 いわゆる平面と立体という区分がし難い作品だと思いますが、その自覚はありますか? 平面かどうかについて言えば、限定してはいないと思う。このかたちの最初期の作品に〈老人と海Ⅲ〉というのがあるのですけど、それはストーリーの瞬間を切り取るというつくり方をして、その瞬間の保存という意味を込めて枠を使いました。そもそも、額縁は大切な写真とか記憶の保存に使うものだから。でも木枠の部分は絵の飾りではないから、平面というか、絵の部分がメインという考え方はしていない。かと言って立体でもないですけれど。だからどっちでもないし、分けるのは難しい。その必要もないと思う。 例えばリチャード・タトルや、あるいは最近の日本では安井鷹之助さんなど、平面と立体のボーダーラインに立とうとする作家さんがいます。城さんにもその意識はありますか? いえ、特に意識はしていなかったです。最初の最初で言えば、キャンバスの四角さが嫌だった。決まった形であることに嫌気が差したんですよ。そもそも絵だけだと角があったり、横があったり、紙だったら紙の厚みがあったりするけど、そういうのが気になるんです。すごく気になる。キャンバスの横に釘を打つなら、絶対にそれは隠したい。邪魔に見えて仕様が無い。そういう考えの人なんですけど、まだ東京に来ていない時、制作をしていてキャンバスの形がすごく気になった。居心地が悪かったんだと思います。それで外側にはみ出そうと思って、キャンバスの四角形から。最初は勢いというか、何か「やっちゃえ」みたいな。 「はみ出す」ための手段として額にたどり着いた。偶発的なことでしたか? いや、論理はあった。だから...偶然とは少し違うと思います。そうすればもっと広がりがあると思っていたから。 キャンバスを形態に手を加える表現方法としてはキャンバスを破いたり切ったり、燃やしたりと色々な先行例があります。中でも絵の外周に進んだ点が興味深いです。 絵の表面に暴力的なことはしたくなかったんですよ。傷をつけるのは嫌だった。 「キャンバスの外」を意識して制作された最初の作品は何でしょうか。 意識の話で言えば〈老人と海Ⅲ〉かな。あれは色々なことがはっきりした作品。でもそこで方向性が生まれたわけではなくて、それ以前にも(木枠を使う作品は)あるにはあったんです。だから...発見に近いのかな。それまでは自分でも気付いていなかった、無意識に続けていたことが自分の中で「そういうことだったのか」と思えた。今はそのやり方を整えている感じです。 例えば〈鯨と波〉は額縁がない円形の作品です。先ほど「ストーリーを切り取るつくり方」と仰っていましたが、つまり最初に作品化したいストーリーの瞬間やモチーフがあって、その実践プロセスで絵画と額縁への分化が必要な場合、そうでない場合があるということですか? そうです、その通りです。だから(額縁を使うかどうかは)場合によりけり。使っている場合にはやはり必然だと思う。だけど、そうじゃない作品もある。無いと成立しないという話ではなくて、必要な場合に採用するやり方。〈鯨と波〉では登場する必然がなかったし、逆にというか、支持体が丸くなる方に進んだ。それが作品にとっては一番自然だったから。無くても完結はするんですよ。枠があるのは、それが作品にとって自然な形だからに過ぎない。 つまり額縁は、あくまで表現の延長線上にあるんですね。ストーリーがあって、絵があって、場合によっては額縁があり変形な支持体がある。 そう、だからとにかく、私としては別々に捉える理由がない。どちらも一つの表現でつながっているから。それに枠があっても無くてもやっていることは同じ。〈鯨と波〉もそうですけど、例えば人の手によって違う姿になった生き物とか、それが生きていた風景とか場所とかを描いている作品もある。そういう作品には枠という形であるべきなのかなって。だから、それぞれですね。 形態から中身に話を移しますが、先ほどのストーリーというのは、映画や小説のように時間軸があるのですか。時間の流れが先か、映像が先かの話ですが。 モチーフが先ですね。描きたい対象があって、その周りにはどういう人がいるのか、それに関わる人物や場所が出てくる。その対象を軸に、それを見た人が目にした景色とか思い出している光景とか、その人たちの脳みその中を考える。結果的にはストーリーとか時間を切り取ってることになりますけど、でもモチーフが先。瞬間的な物語性というか。出てくる人たちの10秒とか10分とか、そういう瞬間的なストーリーです。一生分は考えていない。 登場人物の記憶にフォーカスしているように聞こえますね。 人には限りませんけど、記憶というのはそうかもしれない。だから登場する生き物の見た景色とか出会った人、昔した会話の内容、過去に存在していた場所について考えるのかもしれない。そもそもの最初に額縁を使った時も思い出や記憶に纏わっている。 記憶に焦点を置いているとして、モチーフの出所はどうですか。全くの空想か、それとも身の回りから取材しますか? モチーフが向こうから出て来る感覚に近いのですけど、どうだろう、でもメモはしています。生活する中で目に入ったもの、気になったものを書き留めておく。「あ、これ描きたいな」と思ったものをメモする。断片を集めたりしていて、その中で特に癖のある事柄があるんですけれど、例えば車のヘッドライトとか土偶とか、基本的にそれが作品のメインのモチーフとして出てきたりします。 物語の形式でも、例えば小説には一人称・二人称・三人称とありますが、城さんが制作する際の視点はどうでしょうか。 モチーフの視点かもしれない。だから三人称が近いと思います。自分の思ったことも入るけれど、でも一番近いのはモチーフ。モチーフや第三者が思ったこと、天候とか湿度も割と考えたりします。モチーフとなる存在がどういう場所にいるのか、いたのか、その周りの環境はどうなのかって。例えば土偶をモチーフにした作品なら、そもそも土偶を作った昔の人とか、長い時間をそれと一緒に過ごした持ち主のこととか。その場にいる存在の全てを考える。 メモの話で「描きたいと思うもの」を書き留めると話していましたが、そこに共通点はありますか。というのは、作品には暗色の画材が登場しません。選ばれるモチーフや画材は、目指している世界観と関わりがありますか。 基本的には描きたいものを描いていますけど、確かに共通点はある。暗いとか少し怖いとか、謎っぽいとか、毒があるとか気持ちが悪いとか。明るい部分もありますけど。でも作品にすることでそれを浄化している感覚が近いかもしれない。今は黒を使わないんですけど、それは多分バランスが悪いから。使うと、暗く描かれてしまう。それは少し違うと思うんですよ。暗さが根っこにあっても明るさはあっていい。きれいにしたい気持ちが強いのかもしれない。 負の浄化。 そうですね、それは近い。根本的には自分のだし、表層的には他人にとっての。作品を制作することそのものというか、その瞬間を残しておくことが浄化なのかな。自分であれ他人であれ、作品として、自分のフィルター越しに投影することで浄化になるのかなと。だから白い色を使うんですよ。その方が落ち着けるじゃないですか。 少しバッググラウンドに話を伸ばしたいのですが、例えば城さんが記憶に留めている作家もそういった世界観が多いですか。 どうだろう。シーレ、ボナール、デュマス、ペイトン、ワイエス、あとは村瀬恭子さんとクリス・ヒュン・シンカン、ハマスホイとか無限にいますけど、近さはどうだろう。好きだけど、でも違うと思う。私が描くべき作品でないことが多いと思います。でもハマスホイは、そうですね、違和感があるから......。予備校の先生が「ハマスホイの魅力は違和感」と仰っていて、制作でも、何か足りないと思った時にはその言葉を思い出しています。 コンテンポラリーのペインターが多いですが、元から現代アートに関心が高かった? というわけでも無くて、高校の時に油絵を専攻していたんですけど、そこで学んでいたのはいわゆる伝統的な油彩画だった。いかに描くか的な、技術的な話が多い学校だった。むしろ浪人している時ですね。今の作品がどういう風に成立しているか勉強していたら好きになりました。 少し話がそれますが、城さんは愛知から東京に出てこられて活動をスタートさせましたね。今年で2年目だと思いますが、そもそも上京したきっかけは? 単純にモチベーションの話ですね。私は美大に通っていないのですけど、2年浪人をして、でも細々と制作は続けようと。予備校を辞めてアルバイトしながら暮らしてたんですけど、その間、正直絵はほとんど描いていなかった。......年に2、3枚くらいだったかな。働いて、帰って、疲れたって、本当にその繰り返しだったんですよ。そういう時期にたまたま画家のやましたあつこさんから声をかけて頂いたんです。「続けるなら東京の方がいい。東京においで」って。それは正解だったと思う。環境が全然違うし、入ってくる情報がまるで違うから。 ある部分において、現代アートは戦略的な世界です。城さんは東京に出て来られて、その2年目に最初の個展を開催された。そしてキュレーションは山内舞子さん。非常に好調なスタートですが、自分のポジショニングは考えますか。 ポジションとかは、どうだろう、あまり考えてないです。まだはっきりとはしてないだけかもしれないですけど。でも私の好きな作品があって、それは見る場合もそうですけど、作家が心の底から楽しんでいる作品が良いと思う。そういう作品をつくっていきたい。あとは作品のことだけですね、考えるのは。でも制作は気持ちの面が大きく影響するから、この先どうなるかは分からないですよね。 作品はより変化をしていきますか。例えば、全く額縁を使わなくなるとか。あるかもしれないし、ないかもしれない。そもそも私自身ペインターという自覚もないんですよ。だから作品を絵画に限定するつもりもない。でも、だからと言って彫刻家でもない。今後は(キャンバスと額縁を分けずに)同じ支持体とか、キャンバスの厚みを増していくとか、制作の方向も色々と考えていますけれど、でも絵を描いている部分があることとか、絵を描くこと自体を止めるつもりはないです。......絵は描いていると思う。でもどういうやり方でやっているのか、それは自分でも分からないです。今のところは。 TRiCERAのページはこちらから

アートにおける「青」の物語

私たちの目にうつる生活は、とてつもなく鮮やかだ。 ただ、普段の生活の中、色彩に意識的であるのはアーティストやデザイナーくらいではないか。 ここで一旦、色が我々に与える影響を考えてみよう。 例えば赤はアドレナリンの分泌を促進し、黄色はリンパ機能に影響を与えるという。真偽のほどはともかく、色彩がもたらす生理的もしくは心理的機能への影響は、例えば広告などで積極的に応用されている。広告の用途にしたがって、つまりその狙いの違いによって色を使い分けるのだ。 ではアートの世界ではどうだろう? 中でも青は特別と言われ、心理学的には「鎮静」を促すとされるこの色は、例えば印象派の作品では青がよく使われていたし、中世では王族を表す色でもあった。かのイブ・クラインも青に魅せられ、自分だけの色「インターナショナル・クライン・ブルー(IKB)」をも作りだした。青は落ち着きの色であり、高貴の色であるのだ。 もちろんアートにとって色彩は無くてはならないガジェットの一つ。明るさや暗さ、豪華さや清らかさ、特定の色はそれぞれに暗喩するイメージがあり、画家が思い描く世界をアプトプットする重要な手段だ。 日南田の作品もまさにそうだろう。クレヨンとアクリル絵の具、ジェッソをベースに塗り重ねる彼女の作品は、壮大なスケールであることが多く、使用される色は青系統が多い。 作品の詳細はこちらから  ロサンゼルス、トリノ、マイアミ、モンテカルロ、パリなど世界を旅しながら作品を発表してきたアーティストユニット Delta N.Aの作品は、現代人が抱える二項対立がメインのテーマだ。明度の低い青の利用は、うっすらと幻想的な色調、そして思考を促すようなゆったりとした時間へ誘ってくれる。 作品の詳細はこちらから  高橋浩規は日本のデリケートな四季を細やかに描き出すアーティストだ。岩絵具の素材としての美しさを出来るだけ活かすように、色彩の透明感や鮮度を保つことに細心の注意を払っている。岩絵具由来の色彩から紡がれる情緒溢れる画面は、どっしりとした深みのある、けれども決して野暮ったくない仕上がりである。  深みのある青で描かれるもっとも日本的なモチーフの一つ、富士山、そして天の川を自宅の椅子に腰をかけてゆっくりじっくりと、時間をかけて眺めてみるのもいいだろう。 作品の詳細はこちらから アートはモチーフや素材、筆致やコンテクストなど無数の構成要素から成る。しかし、生活と密接な作品を選ぶ際には、色を意識してみることだ。

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