火曜日, 9月 28, 2021
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deitypartyを知るための6つのポイント

キャラクターのようなシンプルなデザインで、可愛らしい女の子の絵を描くdeityparty。しかしそんな絵柄とは真逆に、人間の仄暗い闇の部分をテーマとした作品が多い。水彩や色鉛筆などの淡い色彩で表現しているが、伝えているメッセージはどこか共感できるような部分が多く誰もが抱えがちなものだ。

1.deitypartyの背景
台北在住のアーティスト。2012年に台北国立芸術大学で絵画のBFA(美術学の学士号)を修了し、2016年に国立台湾大学で言語学のMA(学芸修士)を修了。2019年には絵画の研究に関して、学術出版社であるWalter de Gruyterの書籍シリーズに掲載された。現在日中はプロダクトデザイナーとして働き、夜はアーティストとして活動中。絵の制作以外にも執筆活動もしており、いくつかの文学賞を受賞している。2019年の台北イラストレーションフェアでは、Selected Awardを受賞した。Instagramでは名前と同じ「deityparty」というIDで日々の制作を世界に発信している。

2.文学的な感性
人間の感情的な部分への目の付け方や、キャプションに付けられた短い言葉など、文学的な感性が発揮されたアート作品が多い。「Dancing In The Dark」という作品の中では、悩みもがき苦しんでいる様子がまるで、暗闇の中でダンスを踊っているかのように見えるというdeitypartyの考え方が添えられていた。筆のタッチもダンスの動きの激しさを示すような荒い動きで、顔のパーツや体の輪郭をはっきりと描いていない。色も赤と青をメインに使われていて、暗闇の中で苦しんだり怒ったりという感情の起伏の激しい波も感じ取れる。

(Dancing In The Dark/17cm×23.2cm/ミックスドメディア)

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3.現代的な闇を持つ人間の描写
現代の私達が抱えがちな仄暗い部分を持った人間の様子を多く表現している。「In My Sleep」という作品では、不眠症について表現されている。夜に眠ることができず、架空の睡眠を繰り返す様子を「明るい闇の中に居るようだ」と考えていて、女性が眠っている部屋の背景はあえて白いままで残されている。直接的に不眠症に苦しんでいる表情や様子は描かれていないがその女性の手を「ナイフを握った手」という説明をしていることから一見、明るい部屋でただ横になっているだけのように思えても、実はかなり苦しんでいて追い詰められている状態なのだとわかる。

(In My Sleep/21cm×30cm/水彩画)

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悲しげな様子の頭部とティーカップがぽつんと描かれた、不思議な印象が漂う「Blue Still Life」という作品。休憩中に疲れた頭をデスクに置いて休んでいる様子が描かれており、現代の私達の多忙さがよく表現されている。日々色々なことに追われていて頭を取り外したくなるぐらい疲れるが、ただお茶を飲んで休憩しても満足に休むことができない。思考を取り外して静物として頭を無にする必要がある程、忙しい毎日を送っている。

(Blue Still Life/10cm×14.9cm/ミックスドメディア)

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4.共感性の高いメッセージ
人間の身近なところにある仄暗い部分を描いた作品からは、共感できる部分が皆何かしらあるかもしれない。現代に生きている私達にとっては不眠も、多忙による疲れも非常に身近な悩みで、ぱっと見ただけでは人から理解してもらえないことが多い苦しみだ。deitypartyの作品から共感することで、気持ちが楽になったり理解して貰えたという喜びを感じることができる。

5.物語性の高さ
執筆活動もしているdeitypartyらしく、小説の一節のようなキャプションを添えたシーンが描かれた作品が存在している。例えば「Swimmers」では、「二人は泳ぎに行った。その日に何かが起こり、2人を永遠に変えてしまった。」というキャプションがあり、友達のように見える2人の水着の女の子に何があったのかが気になる。視線がそれぞれ別の方向を向いている様子からただ喧嘩をしたのか、それとも全体的に不穏な暗い色調から察すると何か重大な事件が起きたのか…。深くは描かれていないからこそ、自由に物語を想像させる仕組みになっている。

(Swimmers/21cm×30cm/水彩画)

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頭部が飛んでいってしまっているような残酷な描写がされているが「The Kiss」という作品も、まるで映画のポスターのような物語性が付け加えられている。「死の前で、二人はキスをする。」というキャプションが付けられているが、キスをしている様子からして愛し合っている2人は何故このような状態になってしまったのか。何もわからないが、物語を色々と推測させる興味深い作品だ。
(The Kiss/10cm×14.9cm/ミックスドメディア)

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6.キャッチーな絵柄に仄暗さを混ぜ込む魅力
キャッチーで可愛い絵柄に、仄暗さというスパイスを効かせることでアンバランスな新しい魅力が生まれている。その強烈なギャップは私達の脳に色濃く刻まれていく。同じ作品からどんな物語を連想したか皆で話し合うのも面白そうだ。deitypartyにしか出せない作品に惹き付ける力を、これからも追っていきたい。

今回ご紹介の作品はTRiCERAで取り扱っております

Manami Yonedahttps://www.tricera.net/
高校で3年間美術コースを受講、その後2年制の専門学校を卒業し、社会人経験を経てフリーランスのライター兼デザイナーとして、各種メディアにてアートや生活に役立つ情報を発信。 アート、健康、福祉、ライフハック、インテリア、の記事を得意領域としている。

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それぞれ異なる距離からの異なる視線

“Gaze and Distance” at KOTARO NUKAGA The Installation View of “Gaze and Distance” (2019) ©KOTARO NUKAGA, Courtesy of KOTARO NUKAGA パブロ・ピカソやポール・セザンヌなどの歴史的なアーティストと現代のアーティストの展覧会を見たことがあるだろうか。東京のギャラリー「KOTARO NUKAGA」では今月、そのような展覧会を開催したばかりだ。同ギャラリーでは、20世紀初頭から現在までのヌード絵画を中心としたグループ展「Gaze and Distance」を開催した。テーマが面白かっただけに、参加作家のリストも面白かった。 ポール・セザンヌ、パブロ・ピカソ、エゴン・シーレなどおなじみの作家をはじめ、トム・ヴェッセルマン、キース・ヘリング、マレーヌ・デュマなど20世紀を代表する作家が参加していた。また、日本のアーティストでは、藤田嗣治、斎藤誠、井田幸昌の3人がリストアップされていました。日本の新鋭作家の一人である井田幸正がまだ29歳であることを知れば、この展覧会のリストがいかに新鮮なものであったかがわかるだろう。今回の展覧会では、「裸体絵画」をテーマに、現代美術と歴史的な作品の両方を美術史の文脈で楽しむことができた。 ギャラリーによれば、ヌード絵画の歴史を辿ることは、美術の進化である美術史を振り返ることと同じだという。多様な身体描写は、20世紀のアカデミズムの終焉を経て、現代美術の始まりとして発展してきました。それはセザンヌから始まる。セザンヌのヌード画の作風は、当時の他の画家とは一線を画していた。彼は作品全体の構成のために、意図的に身体を絵画的要素の一つとして使用していた。三角形の構造を利用して構図を安定させ、人物と風景を調和させた「水浴客」シリーズは有名であり、現代美術の父と呼ばれるようになった。 身体描写の幅を広げた後、フォービズム、キュビスム、未来派、ダダなど様々な芸術運動が生まれました。例えば、パブロ・ピカソがセザンヌの浴場のシリーズに触発されて『アヴィニョンの若い女性たち』を制作したことは広く知られていますが、この作品では、セザンヌが描いた浴場のシリーズに触発されて『アヴィニョンの若い女性たち』を制作しました。 The...

「幾重にも積み重ねた時間の層と人の軌跡」START ARTIST vol.2 ~ Mariko Ohashi

TRiCERA発のオークションイベント「START」第一弾の出展作家の"なぜSTARTに出展したか"を主軸にしたインタビュー、ならびに新作の紹介を行います。 オークションイベント「START」とは 2021年2月に行われた「START」。アートに携わる様々な人たちを「セレクター」としてゲストに招き、それぞれの視点からアーティストを選び、そしてその魅力を伝える言葉と共に、その作品をオークション形式で販売いたしました。「アートをこれから始める」という方にも分かりやすい設計を行い、またオークションがはじめての方、オンラインではじめてアートを買う方など、様々なひとたちの「スタート」になるような企画となっております。 作家紹介 大橋麻里子 (Mariko Ohashi) 1991年兵庫県神戸市出身。2016年多摩美術大学大学院博士前期課程美術研究科油画専攻を修了。また2014-2016年に神山財団奨学生として採択される。 個展 「non-Fiction///」(GALLERY301,神戸,2021) 「浮遊する現在」(GALLERY301, 神戸, 2020) 「Born」(GALLERY301, 神戸, 2019) 「白昼夢」(GALLERY301, 神戸, 2018) グループ展 「time in a bottle 大橋麻里子 | 齊藤拓未」(MASATAKA CONTEMPORARY, 東京, 2020) 「komposition」(Sansiao gallery HK, 香港, 2019) 「RETUNE」(MASATAKA CONTEMPORARY, 東京,...

日本のアートを買うべき理由」を他のアジアのアートマーケットの統計と比較してみる

世界の美術市場における統計の比較から見た日本美術の大きな価値 世界第3位のGDPを誇る日本のアート市場は、その規模が小さく、アートシーンでは意外と知られていない事実です。そのため、日本のアート市場は過小評価されています。しかし、株式市場と同じように、日本のアート市場に投資することには大きな価値があるということになります。 アート東京協会が発表したデータによると、2016年の日本からの美術品輸出額は約350億円で、世界の美術品市場に占めるシェアは米国が40%、中国が20%であるのに対し、日本は3.1%となっています。このことから、日本のアート市場の上昇の可能性が見えてきました。 では、どのような芸術、どのアーティストに投資すべきなのか、と悩むかもしれません。一般的には、リスクが低いという理由から、有名なアーティストだけに注目しがちです。しかし、有名な作品への投資は、若くてあまり知られていないアーティストの作品を購入するよりも、はるかにリスクが高くなります。例えば、アジアで最も人気のあるアートジャンルの一つである韓国式モノクロームムーブメント「淡彩華」については、以下の統計によると、最近の世界のアート市場での変動率を示しています。 上のデータチャートは、「淡彩華」を代表する6組のアーティスト、キム・ファンキ、イ・ウファン、チョン・サンファ、パク・ソボ、ユン・ヒョングン、ハ・チョンヒョンのデータを基にしています。 アート投資家が有名ジャンル・有名アーティストに投資する理由:トレード性 有名アーティストに「イズム」で投資する人が多い傾向の理由は、トレード性をベースにした安全性が一番の理由です。しかし、上記のチャートを見てもわかるように、有名なジャンルやアーティストに投資しても安全性が高いとは言えません。最近では、「流行」だけに注目しないように、美術史的価値をもっと掘り下げようとする試みが前面に出てきています。そのため、「この『イズム』は、私たちの社会やアイデンティティ、時代を本気で表しているのか」という声が高まっています。このような流れは、主流の作品の中にある「信頼に値する価値」が不安、無担保の資産に変わることを意味している。 しかし、比較的知名度の低いアーティストの作品は、アーティストとしてのキャリアを辞めない限り、価格が大幅に上昇する可能性が高く、芸術的価値が発掘される可能性があります。また、日本の美術市場が過小評価されていたことを考えれば、日本の若手アーティストや知名度の低いアーティストであっても、芸術的価値を持ったアイデンティティーを求めて活動しているアーティストに投資することは、楽観的に評価されてもおかしくない。 世界のアート市場で20%のシェアを占めていた中国のバブルは、韓国の「淡彩華」のようにゆっくりと崩壊していくだろう。すでに成長してきた他のアジア市場と比較して、日本の美術市場は成長の可能性があり、安全であることが示されています。 TRiCERA.netは、展覧会やアワードを通じ、日本から世界に名を馳せている新進気鋭の才能と世界をつなぐことを目的に設立されました。あなたのポートフォリオのために一点もののアートを手に入れたいとお考えの方は、100名を超えるアーティストの中から、将来的に大きなリターンをもたらす可能性のある作品を探してみてはいかがでしょうか。 記事を書いた人:Jeongeun Jo韓国出身、日本在住。東京藝術大学大学院美術研究科を卒業したTRiCERAのメンバーの一人。アーティストとしても活動しています。

Quick Insight Vol.8 日本画の繊細さで瞬間の情動を描く作家、丁子紅子の秘密

髪の毛の1本1本までこだわりぬいて描かれた作品を描く丁子紅子。 数多くの個展や受賞歴を持つ彼女を、見かける方も多いのではないだろうか。 作家、丁子紅子の魅力の秘密はどこにあるのか。 洗練され削ぎ落とされた線の中で表現されるディテールの密度とは裏腹に、空間と余白が重要だと彼女は語る。今回は彼女が作品制作を通じて描かれようとしているテーマをインタビューしました。 アーティストになられたきっかけを教えてください。 私は大学生の頃はアーティストになろうとは全く考えていませんでした。 学生時代に特に芽が出ることもなかったですし、 ちょっと作家活動ができればいいなという程度に考えジュエリーのオーダーメイドの会社へ就職をしました。 しかしわたしは高校生の頃から美術科へ進学していた為、 高校、大学の毎日に当たり前にあった"絵を描く時間"を取ることが難しくなり 初めて自分の心を保つためには絵を描くという時間が必要不可欠だということに気が付きました。 それから真剣に向き合い、アーティストとして独り立ちをしようと決意をしました。 女性をモチーフにした作品が多いと感じますが、女性を選ばれたきっかけはあったのでしょうか。 私は“美人画“にこだわっているわけではなく、 絵画として一番表現したいと考えているのが“心”です。 心を複雑にもちあわせているものはやはり人で、私自信が女性ということもあり、 心=人物が女性像として表現するのが自分の中で自然に感じたからです。 その中で大切にしている女性のやわらかな存在感やライン、 表情は私の表現したい心の表情の儚さにも通じているような気がしています。 (A Story, H 50cm x W 38cm x D 4cm, Painting) 作品詳細はこちらから 作風が出来上がる過程で、かつて受けた影響や作風の完成の経緯があれば教えてください。 2013年に大学を卒業するまで、自分の心をそのまま絵に投影させぶつけるような絵画を描いていました。 強く、激しくぶつけるという表現の方が近いことも多かったように感じます。自分の心を浄化させるための絵画でした。 大学卒業後は就職をし、 ジュエリー会社では接客をしながらお客様のジュエリーの修理を承ったり リフォームのデザインをご提案するような仕事をさせていただきました。 いままで自分のために絵を描いていたのに、幸せな気持ちで手に取ってもらうために考え、 デザインをしたり、絵を描いたりと、何かを提供する側になりました。 そこでふと我にかえり、絵も同じでなくてはいけないんだと気がつくことが出来たのが私の今の原点です。 そこからは手の向かい側には必ず見てくださる方がいるということ意識しはじめました。 そこから私はすべて削ぎ落とした“無”というところへ辿り着き、今の作風が完成しました。 丁子紅子さんがもっとも重視しているテーマをお伺いしたいです。 私が一番大切にしているテーマは"移り変わりの時間の切り取り"です。 1から2に移る、目には見えないその間の時間はとても尊いものだと思っています。 そこには必ず空間があり、ひとが普段感じ取れない空気があるように感じていて、 実はとても大切な移り変わりの表情や心の色の変化がそこにある気がするのです。 無の時間であると思うのですが時が止まる絵だからこそ表現ができるものだと考えています。 (An offering, H 91cm x W 65cm x D 2cm, Painting) 作品詳細はこちらから 最後に、TRiCERAでは世界中に作品を届けていく支援をしております。丁子紅子さんにとって海外に作品が広がっていくことはどんな意味があるでしょうか。 わたしは日本画というジャンルのなかで作家をしていくにあたり、天然の岩絵具や筆、 素材をとても大切にして制作をしています。 日本画だから出来ること。日本人だからこその余白の感性。 その部分を大切にしているからこそ、古来からの日本画の画風とは違うかもしれませんが 素材の素晴らしさや美しさを伝えていけると考えています。 もっともっと世界を超えて日本画画材の素晴らしさに触れていただきたいと願っています。 (Everything is one, H...

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