土曜日, 5月 28, 2022
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光をカタチに落とし込む-藤野真司 インタビュー-

光の標本

 国内での数々の展覧会を行い、2019年にはスロベニアにて行われたアーティスト・イン・レジデンスに参加。ヨーロッパ圏のアーティストと共に制作と展示を行うなど、精力的な活動を行う藤野真司。アーティストになるに至った経緯、光を扱う作品をめぐる思索までインタビューを行った。

 ガラスやアクリルに透明な筆跡を施し、作品が置かれた場所の光によって視覚化される《光の標本》シリーズ。藤野の代表的シリーズである当シリーズは「光が我々に何を見せてくれるか」をテーマに制作が行われている。光に対し特別の関心を抱く藤野であるが、はたして彼にとって光とはどのような存在なのだろうか。次のように語った。

「光は場所に関係なくどこにも存在し、鑑賞者の内面的な在り様によって様々なとらえ方ができます。」

 人間にとって、切っても切り離せない普遍的な存在でありながら、捉えどころない光。藤野はジェームス・タレルのように光をマテリアルの一つとして取り扱うアーティストに影響を受けたという。そもそも藤野がプロとして創作の世界に足を踏み出したキッカケも光に関連するものだった。

 「美術系高校と美大でアートを学び、卒業後はキュレーターとして活動していましたが自分自身が『理屈で考えること』に囚われてしまい、とても窮屈な状態を過ごしていました。そんな中、旅行をした先で室内に射し込む美しい自然光を見てぼんやりと眺めているうちに『理屈で考えること』から離れ開放的な気持ちになることができました。」

 藤野によってターニングポイントとなったこの原体験。ある種の天啓を受け取った存在が光であったのだ。また作品性に反映されている藤野のバックグラウンドとして、もう一つ興味深いエピソードを語った。

 「私の実家は小さな宿屋を営んでいました。幼少期から絶えず外から人が訪れ、また送り出すという循環の中に身を置いたことで『人は多様だ』という事を感じ取りました。」

 作品単体だけでなく、設置された環境と鑑賞者の目線によって作品体験が成立する《光の標本》シリーズ。藤野が掲げるテーマにも通底する。

「心を忙しくしている方に、作品を手に取って頂きたいです。自分が身を置く場所の光が、充分に美しいと感じて頂くきっかけになれば、とても嬉しいです。」

 人の多様性を前提とした《光の標本》シリーズ。その包み込むような優しさはまさしく陽光のようである。

アーティストの詳細はこちらから

empty cube #1
5 x 5 cm
empty cube #2
5 x 5 cm

作品の詳細はこちらから

empty cube #3
5 x 5 cm
specimen of light #9
32 x 32 cm
specimen of light #7
32 x 32 cm

作品の詳細はこちらから

specimen of light #8
32 x 32 cm

藤野真司の作品はこちらから

Shinzo Okuokahttps://www.tricera.net/
1992年東京都出身。大学でインド哲学を学んだ後出版社に勤務し、アート雑誌と神社専門誌の副編集長として雑誌及び書籍の企画・編集に携わる。2019年にスタートアップ企業である株式会社TRiCERAに参加、日本初の現代アート専門の越境ECの開発及びアーティストのマネジメント、自社オウンドメディアの立ち上げを担当する。特技は速筆で、雑誌時代には1ヶ月で約150ページを1人で取材・執筆した。

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"私の作品には色がなく、あなたが見ているものはプリズム効果に過ぎないので、すべてが単なる錯覚に過ぎません。" <a href="https://www.tricera.net/en/id81000200015" Go Ogawaは2011年に日本のアート集団C-DEPOTに参加。ハッブル宇宙望遠鏡が撮影した銀河系の映像をホログラフィック・プラスチックフィルムを用いて立体的なインスタレーションを制作したことで知られる。 今回のインタビューでは、彼の芸術の原点、彼の作品が彼自身にとって何を意味するのか、そして色という媒体で実験を続けてきた彼に話を聞いてみました。このインタビューは長さとわかりやすさのために軽く編集されています。 伝統的な彫刻のルールからの脱却 ホログラフィックフィルムアート。カラフルなイリュージョンを作成する透明なアート 未来への大胆な一歩 Go Ogawaのアートを購入する場所 伝統的な彫刻のルールからの脱却 "「私の銅像は、単にルールを破っただけでは、大学には受け入れられませんでした。」” どのようにして今のアーティストに成長したのでしょうか? 東京藝術大学に入学した時は、今の仕事に関連した考えはありませんでした。妹が他大学で美術を学んでいたので、私もアーティストになりたいと思っていました。人の形を彫ることは、アーティストになるために必要なことだと思っていたので、その時に力を入れていました。 しかし、私はすぐに彫刻の伝統的なルールに縛られたくないと感じました。例えば、女性の彫刻を作るときには、像は自立していなければならないのですが、私はそれに挑戦して、壁にもたれかかるように彫刻しました。この「立つ」ということは、ルールを破っただけでは大学に認められないということで、私には違和感がありました。それ以来、自分の作りたいものを自由に作れるように努力しています。 影響を受けたアーティストは? 学生の頃は好きなアーティストがいなかったのですが、東京の原美術館での個展を見て感動して以来、今は特にオラフール・エリアソンが好きになりました。彼はとても賢いアーティストで、自然の構造や成り立ちを研究して、その構造を作品に再構成しています。彼のアプローチは、私自身のアプローチとどこか似ている気がします。私は彼に大きな影響を受けています。 また、頂点に燃え続ける炎が噴出する噴水Waterflameや、白い立方体のアート空間の中で金属製の大きな球体を転がして壁を破壊するインスタレーション360° Presenceなどの作品を制作してきたイェッペ・ハインの影響を受けています。私はこういう作品に大きな影響を受けています。表現の形ではあまり影響を受けていませんが、私たちの作品で見る人の心を動かし、注目を集めることを目的としている点では共通しています。 影響を受けた日本のアーティストを挙げるとすれば、吉岡徳仁の作品に通じるものを感じます。特に、日常生活の中で起こる些細な思いやインスピレーションを深く掘り下げて作品にしていく吉岡徳仁の姿勢には、とても共感しました。 “...根底にあるテーマは「幻想と現実」” <a href="https://www.tricera.net/en/id81000200015" 作品を通して表現したいテーマは何ですか? 私の作品が視覚的に魅力的であると多くの人に感じてもらえるのは嬉しいことですが、根底にあるテーマは "幻想と現実 "です。私の作品の最大の特徴は、錯覚を表す色と、現実を表す複雑なベースの色です。 ホログラフィックフィルムアート。カラフルなイリュージョンを作成する透明なアート "存在していても認識しにくい形という考えは、自分の作品にはとても合っていると感じました。" 現在のホログラフィックフィルムのアートスタイルをどのように発展させたのか教えてください。 ハッブル宇宙望遠鏡で撮影された写真を見るのが大好きで、プラネタリウムとは違う新しいアプローチで宇宙を表現する方法を探していました。その中で、自分に合った素材を探し続け、大学院を卒業する頃に特殊なフィルムを見つけました。それからは、そのフィルムをどうやって作品に使うかを実験しました。フィルムは薄いシールのようなものなので、透明なアクリル樹脂の表面にしか貼れません。 それから表面のデザインを始めました。最初の段階では、ガラスの球体を下地にしてフィルムを貼り付けたり、試行錯誤を重ねて、今のスタイルにたどり着きました。 この透明素材とホログラムフィルムの組み合わせはどのように選ばれたのでしょうか? 大学で彫刻を勉強していて気づいたことです。彫刻家は常に彫像の細部を深く気にしていますが、表面が透明であればその細部は見えません。ディテールの高い透明な彫像の矛盾は、大学院で研究していたテーマの一つでした。存在しているのに気づきにくい形という考え方は、自分の作品にとても合っていると感じました。 また、私の作品は色がついているように見えますが、実際には色がついていません。私の作品に見える色は、アクリルの下地の屈折と光が一定の角度で反射してできた光の反射に過ぎません。表面の複雑なディテールは透明なので、形がはっきりとはわからないのですが、私の作品には色がありません。私の作品には色がなく、プリズム効果にすぎないので、すべてが錯覚にすぎません。 <a href="https://www.tricera.net/en/id81000200017" フィルム自体には色はありませんが、蒸着法で作られた金属粉の薄い層が青や赤など様々な色の光を反射しています。私の作品は、月明かりで見ると完全に透明になります。太陽の光の下では、色のスペクトルが見えます。黄色の光では暖色系の色が見えますが、蛍光灯では波長が足りず、作品の色が出ません。太陽光の下では一番良いのですが、室内の照明であればLEDが一番色が出やすいですね。 光源の多い場所では、光の影響をあまり受けず、色が拡散してしまいます。暗い背景にスポットライトを当てて見るのがベストです。 <a href="https://www.tricera.net/en/id81000200017" 光源はともかく、設置環境によって色が異なります。例えば、白を背景にした場合は柔らかい淡い色調ですが、黒を背景にした場合は濃い色調になります。 1枚のフィルムは、光が反射したり、フィルムを通過したりすることで、2種類の色を作り出します。フィルムを透過した光の色は、表面の形状が落ち着いている時や平らな時を除いて、多くの種類の表面形状ではっきりとした明るい色になります。そのため、エッジや起伏を多く入れて、よりはっきりとした色を出すようにしています。 私の作品は、フィルムの種類、透明な基材、表面のディテールや形、という3つの要素の組み合わせによる無数の実験に基づいています。3つの要素のうち2つの要素の組み合わせをたくさん試し、その結果を見て、組み合わせて作品を制作しています。 アクリル樹脂のベースはどのように成形するのですか? ハンドグラインダーで大まかに形を切り出していきます。ほんの少しの微妙なうねりでも色が変わってしまうので、最終的な研磨はサンドペーパーの粒度100~2000と研磨用のコンパウンドを使って手で行います。 普段は実物を題材にすることはありませんが、具体的な依頼があった場合はそうします。一度、鹿を作ってほしいと言われたので、鹿の形をした作品を作りました。茶道のアイテムを作ってほしいと依頼されたことがあったので、小さな砂糖菓子の入れ物を作りました。 フィルムとアクリル樹脂の形状の組み合わせで無限のアイデアを表現できるのが面白い。 作品は見る角度によってどのように色が変わるのでしょうか? まるで光の芸術作品のように色が完全に変化します。しかし、光を科学的なアプローチで研究していることから、私が追求していることは、印象派の巨匠が追求していることに近いのではないかと思います。 上の写真がその良い例です。同じプリズム状の柱を並べて配置したものですが、角度によって全く違う色が見えます。 このアクリル素材は経年劣化しますか? 私は建材で一般的に使われているアクリル樹脂と同じものを使用していますので、よほど過酷な環境に放置しない限りは問題ないはずです。 未来への大胆な一歩 “...宇宙空間での展示会を開催したいと思っています。” 作品を制作する際に、今は何を重視しているのか、これから挑戦してみたいことは何ですか? 現在は、アクリルベースのうねりによって色がどのように変化するかを研究しています。最初はガラスの球体を使っていたのですが、ガラスの球体は屈折が一定なので、アクリル樹脂を彫刻して面白くしています。私にとって展覧会というのは、実験の結果の集合体のような気がします。また、複数の作品を並べるとどうなるかという実験もしています。 今後は、飛び石などの日本庭園に自分の作品を取り入れてみたいと思っています。また、テーブルなどの家具も作ってみたいと思っています。同じようなカテゴリーでは、シャンデリアを作ってみたいと思っていますし、ステンドグラスも興味があります。 作品の展示については、宇宙空間で展覧会をしたいと思っています。あと、いつか万里の長城のような規模の大規模な展覧会をやりたいですね。宇宙から見えるような大きなインスタレーションを。 特に宇宙展に興味があります。他の作家はまだ宇宙で作品を展示したことがないので、ぜひやってみたいと思っています。 Go Ogawaのアートを購入する場所 TRiCERAでは、Go Ogawaの作品を多数ご紹介しております。他のC-DEPOTのアーティストもご紹介しています。

この国でしか出来ない造形を | 野田怜眞インタビュー

1995年愛知県一宮市出身、現在は東京藝術大学 大学院工芸科の漆芸専攻修士課程に在籍中の野田怜眞。昆虫や果実など自然物の造形性を実験的に、工芸の技術やコンテキストを駆使して作品化し、「この国で表現をすること」へ向き合う野田の制作と作品について話を聞いた。 昆虫とバナナをモチーフにした作品が多い印象ですが、まずはその辺りから話していただけますか。-僕の作品はカブトムシなど昆虫、あと最近はバナナをモチーフに漆を使って表現しています。表現したいのは、自然のそれぞれのストーリー。内容としてはごくごくシンプル。というのは基本的なスタンスとして自然を表現のターゲットにしているのと、あとは昆虫や自然を見ていて思うのんですけど、やっぱり人間の作り出す形では敵わないなと。圧倒的にすごいんですよ。自然が生み出した姿形、色の偉大さは僕らじゃ太刀打ちできない。だったら人間の自分には何が出来るだろうと考えた時、その自然の姿形を含め、その背景にあるストーリーを表現し、伝えることだと思って今の表現に至りました。 漆の使用もですが、技法的には工芸に負うところが多いですか。-僕自身が工芸の領域を学んでいるせいもありますけど、でもこの国で造形表現をしようと思った時には重要な素材だなと。気候にせよ、文化にせよ、漆が持っている特性や文脈はとても大きいと思います。あとは工芸自体もそうですね。このジャンルは良くも悪くも素材の制約が強い。マイナスもあるかもしれないけど、でも素材を突き詰めることが出来るし、それに表面処理の技術は卓越していると思う。手を掛ける部分が多いこともあって(工芸は)作品一つ一つへの責任感が強い気がするんですね。そこも好きなところです。 でもプレゼンスする先は現代アートにしている?-そうですね、あくまでもコンテンポラリーアートとして見せたいとは思ってはいます。現代アートを意識したのは、多分、学部4年くらいかな。もともとはジャンル云々ではなくて造形が好きだったんです。違う言い方をすると「目で完結できるもの」。言葉がなくても完結している傾向は、特に工芸の世界に強く見えたんですよ。 コンテンポラリーの作家で注目している人はいますか?-新しいことをやっている意味で感動したのは、やっぱりデミアン・ハーストとか。流行りとかはどうでも良いんですけど、ものとしての価値観が変えられる作品には影響されていると思う。ハーストの作品もそうだし、あとは《泉》とか。 それでいくと彫刻を学ぶ道もあったと思うんですが、それはさっきの素材の問題もありますか?-そうですね、それはある。正直、彫刻でもいいかなとは考えました。だけど、やはり工芸よりも素材的な束縛が少ないせいもあって(彫刻は)ジャンルとして広過ぎるなと。最初に身に着けるべき方法としては工芸が合っていると思ったんです。表現するにあたって手段として考えた時に工芸がよく見えた。今も現代アートを自分の畑にはしたいけど、でも工芸の文脈を捨てるつもりはないですね。 表現の方に話を戻しますけど、最近はバナナのシリーズを始めましたね。興味深いのは、どうしてこの果物がモチーフに選ばれたのかなと。-最初にやろうと思ったのは卒制ですね。きっかけは正直大したことはなくて、金色の大きいバナナがあったら面白いなと。だったら現物を見ようと思って、千葉の農園に。そこがけっこう転機なんですけど、というのは実物がすごくカッコ良かった。太腿くらいの幹に2〜300本ほどが重力に逆らうみたいに生えてて、本当に感動した。それで「これは自分で勝手にデフォルメしちゃ駄目だな」と。まだ自分には早いと思って持ち帰ったんです。最近になって着手してるって感じですね。 基準は自分が感動するかどうか?-もちろんそれもありますけど、でも…、そうですね、何というか少し飛躍するかもですが、美術にとって一番大事なことを考えた時に、それってポジティブさなんじゃないかと。格好いい文脈とかじゃなくてアレなんですけど(笑)。でも見ていてポジティブになれるものを創ることが一番のポイントなのかなと思っていて。マイナスな気持ちにさせるものじゃなくて、見る人にとっていい思い出とか勝利とか高揚感とか、前向きな気持ちを起させるものが大事なんじゃないかと。僕自身、そういう精神性を造形にしたいし。 そのスタンスのバックグラウンドが気になりますね。-多分、学部3年生の頃のカンボジア旅行がきっかけですね。漆のある地域へ行ける奨学金をもらったんですけど、やっぱり現地は日本と比べると貧富の差が激しい反面、でも寺院はめちゃくちゃ派手につくられていて、そこにかける彼らの宗教的な感覚に感動したんですよ。幸福の感じ方って人それぞれだと思うんですけど、お祈りをすることで何か物をもらえるわけじゃないし、物理的な変化はないかもしれない。それでも、少なくとも僕には彼らがそれによって自分の生活をポジティブにしているように見えて。自分の作品もそうありたいなと。 その考えが直に影響した作品は何でしょう。-《尋常に》というカブトムシの作品ですね。とにかく人間の等身大サイズがやりたかった。祈るべき存在としてイメージしたので、そのサイズ感が必要でした。でもこれは自分の化身というか、理想の存在を造形化したかった。それからこの国で表現するなら何が適切かと考えた時、日本には特有のカブトムシがいるし、それにしようと。金箔を使ったのは寺院とかの影響もありますね。やっぱり、金は人を魅了する色だし。 話を聞いていると、作品は象徴的な方向に進むように聞こえますね。-そうですね。例えばカブトムシだったら、ある種の強さの象徴。戦国武将の兜もそうですけど、威厳や強さを表象するものをモチーフには選んでますね。その意味ではバナナも同じ。「Vananaシリーズ」と呼んでいるのですけど、頭文字の「V」は「Victory」と同じでもあるし、あとはさっきの話の続きになりますけど、バナナの持っている力強い生命感はそのシンボルになると思う。 コンセプトがはっきりしている反面、表現に対してミニマルな考え方があると思うのですけど、それは自然の造形に対する気持ちが影響していますか?-どうでしょう…、でも確かに敬意はある。話は逸れるかもしれませんけど…、個人的にどの生物も生まれて来た意味を同じだと思っていて、それでバナナも昆虫も同等の生物として見たときにそれを人間独特の価値観で判断したり、人間と同じ時間感覚で捉えることに違和感があるんですよ、すごく。表現するにも、このままで、つまり人間サイドの尺度でやってしまって良いのかなと。 さっき話していた「人間としてできる表現とは」の話にも繋がりますね。-そう、そうですね。バナナについても、僕は本物から型取りするんですけど、それはバナナが生きたり成長した証をそのまま表現にしてあげたいから。あとは見たときに感じたエネルギーとかを汲み取って、それを色と形ですよね、あとは素材とか技法、そういうものに制約されながらどう表現していくかを考える。人によって見方は色々あると思いますけど、昆虫の姿形って、僕はカッコいいし綺麗だと思っていて。だから変に僕が茶々入れたりするべきじゃない。 今話していたような言葉と作品の距離が近いように思うのですけど、それは意識している?-しているし、そう思って頂けるのは嬉しい。モチーフへに対する気持ちもそうだけど、あとは今言って頂いたみたいにやっぱり目で完結したいし、だとしたら最初に見た時から僕の伝えたいことまでの距離は短くて良いと思っていて。…僕の苦手な作品というか、個人的に抽象画とか読み取るのがすごい苦手で(苦笑)。少しストレスなんですよね。全般的に見ることが好きなんですけど、見る方としても目で完結していたい。そういう意味で造形物とか、あとは虫ですね。虫は一番ストレスが少ない、鑑賞してて。 制作ではビジュアルが先行しますか。-しますね、断然。形自体も、最初にエスキースでやるんですけど、三次元に起こす時—つまり造形化する時に形としてないと把握できない。あとは僕自身、制作自体はぼんやりした言葉の元でしていて、終わった後でコンセプトをしっかり固めるタイプ。手で考えていくタイプですね。その逆はあまり得意じゃないかな。細かく設定するとズレてくるし「文章で良くない?」と思ってしまう。 ジャンルに話を戻しますけど、現代アートのフィールドでやろうとする時、工芸のバックグラウンドは邪魔になりますか?-邪魔にはならないですね。でも表現上、工芸の観点からいうと僕はけっこう無茶をしている。ハンダ付をしたり、技術的なところですね、主に。でも工芸の魅力は落としたくないし、その可能性は絶対あると思ってるので。…とはいえ、確かに(工芸は)良くも悪くも技法や素材に対して意識が傾きがちではあるとは思う。講評でも使用した技法のレベルを美術館にあるような伝統工芸品と比較されたりとか。「いや、もっとバナナのオーラ見てよ!」って感じなんですけど(笑)。でもそれはそれで良い。考え方の違いだし。違う考え方の人がいるのは、むしろ良いことだと思っていて。自分の表現したいことを語り合って、ぶつけ合うのってすごく大事だし。閉じ籠もっちゃダメだなって思いますね。 その姿勢が面白いですね。最後に、今後に挑戦したいことや計画していることはありますか?-今はブラッシュアップですね。新しいものというより、今やっているバナナとか今の表現を掘り下げたい。ちょうど修了制作の時期でもあるし、なので自分の言いたいことをより伝わりやすいように進化させるにはどうすればいいか、今はそこに磨きをかける時期かなと。出来るだけ多くの人に共有してもらいたいと思っているので、そうですね、より伝わるようにはしていきたい。今は「ここがなあ」とか思う点もあるので。あとは、そうだな…、カブトムシみたいに華美でやり過ぎなものは目指したいです(笑) 野田怜眞 / Ryoma Noda1995年愛知県一宮市出身。2014年に愛知県立起工業高等学校デザイン科を卒業し、2015年東京藝術大学工芸科に入学。昨年は東京藝術大学卒業展示にて取手市長賞を受賞。現在は同大学大学院工芸科の漆芸専攻修士課程に在籍中。作品ページ:https://www.tricera.net/artist/8100422Instagram:https://www.instagram.com/ryoma_noda/?hl=ja

QUICK INSIGHT Vol.15 無邪気さと素直さを色鮮に映し出す|あやいろ | Ayaïro

アジア圏・ヨーロッパ圏でも話題になっている注目のアーティスト、あやいろ。アメリカのポップアートの要素と日本の古きよき風景を現代アートに昇華させた彼女の作品は懐かしくもありポップで楽しい気持ちにしてくれる。 数多くの国際的な展示歴を持つ彼女の原点からアーティストになるまでの経緯、作品制作等についてお話しいただきました。 (メルヘンのさと - Print.ver, H 33.3cm x W 24.2cm x D 2cm, Painting) あやいろの新作キャンバスプリント『メルヘンのさと』 🎉15エディション限定で販売しています🎉 作品購入はこちらから アーティストになられたきっかけを教えてください。 幼い頃からとにかく絵を描くことが大好きで、紙と鉛筆さえあれば1日中静かにしていられる子供だったと聞いています。ただ美大には行かなかったので、現在のスタイルは独学で習得しました。本格的に作家活動を始めたのは2019年くらいからです。当時はまだ、ただ絵が好きで描きためていただけだったのですが、友人の勧めで都内のとあるカフェで個展を開いたところ、「見ていると元気になれる」と言って買ってくださった方々がいて、その時、自分が作るものが誰かの役に立つことがあるのだと感じ、その感覚が忘れられなくて、もっと自分以外の人に向けて描いてみようと決心したのが、作家活動を始めたきっかけでした。 作家ページへはこちらから 現在の制作のテーマについて教えてください。 主に里山の風景とそこに住む子供をモチーフに描いています。もともと大学では英語を専攻しており、カナダへも留学して、日常的に海外の文化に触れることがとても多かったんです。そんな中で徐々に自分が生まれ育った故郷を強く意識するようになっていき、またそれがいかに自分のアイデンティティを形成しているかに気付きました。そのため、作品作りを始めるにあたり、もう一度自らの生まれ育った場所である里山の土地にじっくり向き合い、自分のルーツを掘り下げてみようと決心しました。ですので、制作をするということは、私にとって自分の原点を見つめ直すことでもあるのです。 作品の中で描く子供には、里山で過ごした自分自身の幼少期を重ねているのですが、同時に子供は純粋さの象徴でもあり、描くたびに子供の頃に持っていた無邪気な心を思い出したいという気持ちでも描いています。大人になり、日々情報社会に埋もれながら生きていく中で、だんだんと薄れ忘れてしまうシンプルさ、ありのままでいる大切さを、自然や子供は必ず思い出させてくれます。よく作品には寂しい感じ、郷愁を感じると言われますが、多分それは現代社会の大人にとってそれらが失われた「過去のもの」という感覚になってしまっているからのような気がしています。 作風が出来上がる過程で、意識していることなどがあれば教えてください。 作品をシンプルに仕上げるというのは、1つ意識していることです。シンプルにすることで、どんな人にもメッセージが伝わりやすくすることを大切にしています。余計な情報を排除することで、なるべく見た人が自由に想像できる余白を残すよう心がけています。顔を描かないのも、これが理由です。よく「絵本のような絵」と言われますが、「描かない」ことで、その分そこに強いストーリー性が生まれる気がしています。一旦自分の手から作品が離れたら、自分が込めた感情や、どう描きたかったということよりも、受け手が何を感じ取ってくれるか、そのことが私にとってより重要になります。 また制作と同じくらい大切にしているのが事前のロケハンです。私が制作している作品はほぼ全て、現実に実在する風景をモデルにしています。表現方法はリアルでなくても、題材がリアルであることはとても重要です。最近ではオンラインで簡単にいろんな風景を検索することができるので、もちろんその写真を使って描くことは容易です。でもそれをしてしまうと、どうしても「体験」していない分、そこにリアルな感情が生まれません。私は作家として、自分が生きる中でいろいろな物事に触れ、見たり感じたりしたことを絵に落とし込む作業がとても大事だと考えています。ですので、いろいろな場所へいき、いろいろな風景に出会うことは、実際に筆と絵具で絵を描くのと同じくらい、自分にとって大切なプロセスです。 現在の作風の完成の経緯やかつて受けた影響などがあれば教えてください。 コンセプトという観点からは、ジブリ作品の影響はとても大きいです。特に初期の「となりのトトロ」や「天空の城ラピュタ」などで描かれている自然観は、作品を見るたびにいつも、自分が幼い頃から育んできた感覚そのものだなと感じています。それから、とにかく昭和の雰囲気が大好きで、昭和時代の少女の服装だったり、小物などはリサーチして作品に取り入れたりしています。 表現という観点からは、アメリカのポップアートから影響を受けています。Keith HaringやRoy Lichtenstein、Romero Brittoなど、大衆に開かれた親しみやすさを含みながらも、大胆でカリスマ性の強いビジュアルに強く惹かれます。現在の私の作風は、これらが全てミックスされた形になっていると思います。古き良き日本の文化と、国境や年代を超えて伝わりやすいポップカルチャーの特性を融合した、新しくも懐かしい世界観を目指しています。 作家ページへはこちらから 最後に、実現したい作品のアイディアなどありますでしょうか。 今は主に「里山」をテーマに描いていますが、海だったり街だったり、もう少し違う側面から日本を探ってみたいなと思っています。またもっと昭和にクローズアップしたシリーズも展開したいと考えています。いわゆる世界でHOTだと言われている日本の文化って、結局日本の一部でしかなくて、日本人の誇れる文化や精神というのは、普通の日常の中でもいくらでも転がっているものだと思います。別に日本人だから日本を描かなきゃいけないという意識のもとやっているわけでは全然なくて、単純に自分の日常生活の中でいいなと思うことを拾っていくと、全ては日本の美しい精神や自然観につながっていることに気づいた、というような感覚です。なので、今後も日々の実体験を大切にしながら、それを表現していくことで、少しでも自分の母国の良い側面をアートとして形に残していくことへ繋がれば嬉しいです。 作品購入はこちらから あやいろ/Ayaïro 経歴 1991年東京都生まれ。 自然豊かな里山を駆け回る子供をシンボルにした作品群を描く。 幼い頃から肌で感じてきた地元の風景をモデルに、自然と人との関わり方や生き方を模索している。 懐かしい風景をシンプルな要素とカラフルな色使いで描く、ポップでノスタルジックな世界を展開している。 <アートフェア (抜粋)>  2021 Art Taipei (台北)  2020 UNKNOWN ASIA Online   2019 Art Revolution...

スペシャルイベント「さめほし クリスマス会」開催のご案内

スペシャルイベント|さめほし クリスマス会 開催   この度、TRiCERA MUSEUM では、12/18(土) – 12/24(金)の会期にて、 スペシャルイベント「さめほし クリスマス会」を開催致します。 さめほしは1997年京都府出身、2020年武蔵野美術大学油絵学科油絵専攻卒し、現在は東京を拠点に活動。 これまでは「One Scene」(新宿眼科画廊/2018/東京)、「ショートケーキのうみで目が覚めたら」(新宿眼科画廊/2019/東京)といった個展、さらに今年度のアートフェア東京2021に参加するなど活動を行なってきました。 今回の展示では、新作ペインティングに加え、今夏の個展「Entropy(エントロピー)」(TRiCERA MUSEUM/2021/東京)で発表した、さめほし初の立体作品を再構成し、特別な仕様を加えた刺繍作品や、エディションワークを会場にて公開いたします。 「かわいいものは元の形を失っても尚かわいい」 崩壊と生成をキーワードにペインティングを発表するさめほし本年の活動のハイライトを、 クリスマスの装いとともにご堪能ください。 ————————– 🎄クリスマスプレゼントキャンペーン スペシャルイベント「さめほしクリスマス会」の開催を記念し、本イベントにて クリスマスプレゼントが当たる!キャンペーンを開催します!🎂🎄 【クリスマスプレゼントキャンペーン第1弾】 🌟抽選で10名様にプレゼント🌟 TRiCERA 公式アカウント フォロー+DMで応募 上記ご対象者の方から抽選で10名様に【さめほしオリジナル冊子】プレゼント 応募期間:12/13(月)〜12/23(木)まで 12/24当選発表 【クリスマスプレゼントキャンペーン第2弾】 🌟抽選3名様にプレゼント🌟 対象作品購入者のなから抽選で1名様にさめほしオリジナルドローイングプレゼント 12/19(日)15:00〜よりライブイベントにて描き下ろされたオリジナルドローイングが抽選で3名様に当たります。 - 対象作品 - Entropy  - collected edition Entropy - embroidery edition 流星群 ほしの体温 肉 【クリスマスプレゼントキャンペーン第3弾】 🌟抽選5名様にプレゼント🌟 対象作品購入者のなから抽選で5名様に 版画作品「クリスマスケーキ」(フレーム付)をプレゼント。 - 対象作品 - Entropy  -...

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