金曜日, 1月 28, 2022
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Jose Cachoを知るための6つのポイント

モダンな雰囲気を感じさせる美しいアート作品を生み出すJose Cacho。作品の中で女性の立ち姿が多く描かれているが、これは演劇鑑賞のように、見ている人達が作品の中に入りやすくするための1つの手段として描いている。世界的にも有名なグスタフ・クリムトの絵画から影響を受けており、小さなモザイクが生み出す視覚的なアートの表現に力を入れている。こだわりを感じるのは、様々な種類の画材を使って、何千ものモザイク部分の素材を自分で作っているところだ。

Jose CachoのThe day I wrove my first song - TRiCERA(トライセラ)
(The day I wrove my first song/80cm×120cm/顔料)

1.経歴

メキシコを中心に活動をしている男性のアーティスト。2016年から2020年の間に制作された作品では、人間の状態に関連する問題、特に「生命」や「知識」を社会的なバランスの原因として意識しテーマにしている。また多くの作品の中で女性が描かれているが、これは知恵と愛を永遠に伝える存在として「地球上の女性の存在」を意識し、描写されている。

2.インスピレーションの昇華

Jose Cachoにとってアート作品を制作するのに大切であるインスピレーションの源は、新聞やファッション雑誌、広告などの身近なメディア。そこから得たインスピレーションを個人的なビジョンを通して作品へと変換することで、人間の本質を捉えたメッセージ性を作品の中に持たせている。メディアから「情報」として得たものを、深く考えることで新しく目に見える形としてアート作品を生み出すという、その巧みな技には驚かされる。独りよがりな作品では無く、実際に今、この瞬間を生きる人々が問題としていることを作品に取り上げたいという熱意を感じた。

3.モザイクが与える視覚的な効果

Jose Cachoの作品は非常にシンプルな構図で描かれている。モチーフの数も少ない。でもそのシンプルな構図のおかげで、何千もの種類で描かれたモザイクの部分に注目して見ることができる。モザイクの部分のディテールが細かいために、シンプルなのに飽きさせないという独特な個性を持っているアート作品だ。例えば「Turn it over」という作品では、2人の女性がシンメトリーに立っていて、2人が着ているスカートは、それぞれの正方形に一つ一つ違う模様が描かれたモザイク柄になっている。女性の顔には立体的な表現を表す影が描写されているが、体には立体感を表すような影などは描かれていない。わざと目に付くように平坦なスペースにモザイクを描くことによって、ディテールをよく鑑賞することができる。さらに体の立体感で、モザイクの印象を後ろに下げないという効果がある。

Jose CachoのTurn it over - TRiCERA(トライセラ)
(Turn it over/50cm×50cm/顔料)

4.人間の本質を捉えたメッセージ

「Sel Love」という作品では、シンメトリーに配置された同じ顔の2人の女性が一緒に1つの薔薇の花を持っている様子が描かれている。この作品を読み解いていくと、人間の本質を捉えた面白いメッセージが伝わってくる。実はこの2人の女性は別々の存在では無く、一人の女性が自分を見つめなおしている様子を描いたものだ。ここでは「自己愛」について取り上げており、人間が抱えがちな虚無感に対して警告とアドバイスをしている。その虚無感を埋めるために、世の中では会社を探す人が多いが、「本当に大切なのは自分自身との関係だ」とJose Cachoは言う。自分を愛せない人はいつまでも幸せにはなれないし、満足感を覚えることもない。人間関係の中には、自分自身と向き合うことも含まれている。

Jose CachoのSel Love - TRiCERA(トライセラ)
(Sel Love/80cm×80cm/顔料)

5.モザイクの印象を操る

女性が横を向いて腕を組んでいる様子が描かれている「Impatient」という作品。ここでは今までとは違って、モザイクの一つ一つが大きく同じようなパターンの模様で描かれているのが特徴的だ。モザイクの印象を大きく変えることで表現の幅を広げており、ここではターコイズと温かみのあるゴールドから背景の質感に深みを演出している。腕を組んで穏やかな様子では無い女性からは「焦り」の大切さを伝えていて、時には自分で自分に圧力をかけることで、焦って大切な答えを見つけようとする。人生において「これは正しいのだろうか?」と疑う瞬間は誰にでもある。そんな時に焦ることは正確な決断を下すために、自分の味方になってくれるという前向きな味方が込められている。

(Impatient/80cm×120cm/ミクストメディア)
(Impatient/80cm×120cm/ミクストメディア)

6.Jose Cachoのメッセージ

作品に込められているメッセージは、どれも私達を激しく糾弾するようなものでは無い。人間の本質的な問題に対するアドバイスや、解決策を多く教えてくれている。そこから作品を通して、彼の優しさを感じ取れた。問題を抱えがちな人間だからこそ、Jose Cachoの作品を見るたびに、生きていくうえで大切なことを忘れないようにしたい。そしてこれから彼が見つけだす、人間の状態を掴んだ新しいメッセージにも目を止めていきたい。

Manami Yonedahttps://www.tricera.net/
高校で3年間美術コースを受講、その後2年制の専門学校を卒業し、社会人経験を経てフリーランスのライター兼デザイナーとして、各種メディアにてアートや生活に役立つ情報を発信。 アート、健康、福祉、ライフハック、インテリア、の記事を得意領域としている。

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TRiCERA発のオークションイベント「START」第一弾の出展作家の"なぜSTARTに出展したか"を主軸にしたインタビュー、ならびに新作の紹介を行います。 オークションイベント「START」とは 2021年2月に行われた「START」。アートに携わる様々な人たちを「セレクター」としてゲストに招き、それぞれの視点からアーティストを選び、そしてその魅力を伝える言葉と共に、その作品をオークション形式で販売いたしました。「アートをこれから始める」という方にも分かりやすい設計を行い、またオークションがはじめての方、オンラインではじめてアートを買う方など、様々なひとたちの「スタート」になるような企画となっております。 作家紹介 大橋麻里子 (Mariko Ohashi) 1991年兵庫県神戸市出身。2016年多摩美術大学大学院博士前期課程美術研究科油画専攻を修了。また2014-2016年に神山財団奨学生として採択される。 個展 「non-Fiction///」(GALLERY301,神戸,2021) 「浮遊する現在」(GALLERY301, 神戸, 2020) 「Born」(GALLERY301, 神戸, 2019) 「白昼夢」(GALLERY301, 神戸, 2018) グループ展 「time in a bottle 大橋麻里子 | 齊藤拓未」(MASATAKA CONTEMPORARY, 東京, 2020) 「komposition」(Sansiao gallery HK, 香港, 2019) 「RETUNE」(MASATAKA CONTEMPORARY, 東京,...

Go Ogawa: 現実から幻想を作り出す

"私の作品には色がなく、あなたが見ているものはプリズム効果に過ぎないので、すべてが単なる錯覚に過ぎません。" <a href="https://www.tricera.net/en/id81000200015" Go Ogawaは2011年に日本のアート集団C-DEPOTに参加。ハッブル宇宙望遠鏡が撮影した銀河系の映像をホログラフィック・プラスチックフィルムを用いて立体的なインスタレーションを制作したことで知られる。 今回のインタビューでは、彼の芸術の原点、彼の作品が彼自身にとって何を意味するのか、そして色という媒体で実験を続けてきた彼に話を聞いてみました。このインタビューは長さとわかりやすさのために軽く編集されています。 伝統的な彫刻のルールからの脱却 ホログラフィックフィルムアート。カラフルなイリュージョンを作成する透明なアート 未来への大胆な一歩 Go Ogawaのアートを購入する場所 伝統的な彫刻のルールからの脱却 "「私の銅像は、単にルールを破っただけでは、大学には受け入れられませんでした。」” どのようにして今のアーティストに成長したのでしょうか? 東京藝術大学に入学した時は、今の仕事に関連した考えはありませんでした。妹が他大学で美術を学んでいたので、私もアーティストになりたいと思っていました。人の形を彫ることは、アーティストになるために必要なことだと思っていたので、その時に力を入れていました。 しかし、私はすぐに彫刻の伝統的なルールに縛られたくないと感じました。例えば、女性の彫刻を作るときには、像は自立していなければならないのですが、私はそれに挑戦して、壁にもたれかかるように彫刻しました。この「立つ」ということは、ルールを破っただけでは大学に認められないということで、私には違和感がありました。それ以来、自分の作りたいものを自由に作れるように努力しています。 影響を受けたアーティストは? 学生の頃は好きなアーティストがいなかったのですが、東京の原美術館での個展を見て感動して以来、今は特にオラフール・エリアソンが好きになりました。彼はとても賢いアーティストで、自然の構造や成り立ちを研究して、その構造を作品に再構成しています。彼のアプローチは、私自身のアプローチとどこか似ている気がします。私は彼に大きな影響を受けています。 また、頂点に燃え続ける炎が噴出する噴水Waterflameや、白い立方体のアート空間の中で金属製の大きな球体を転がして壁を破壊するインスタレーション360° Presenceなどの作品を制作してきたイェッペ・ハインの影響を受けています。私はこういう作品に大きな影響を受けています。表現の形ではあまり影響を受けていませんが、私たちの作品で見る人の心を動かし、注目を集めることを目的としている点では共通しています。 影響を受けた日本のアーティストを挙げるとすれば、吉岡徳仁の作品に通じるものを感じます。特に、日常生活の中で起こる些細な思いやインスピレーションを深く掘り下げて作品にしていく吉岡徳仁の姿勢には、とても共感しました。 “...根底にあるテーマは「幻想と現実」” <a href="https://www.tricera.net/en/id81000200015" 作品を通して表現したいテーマは何ですか? 私の作品が視覚的に魅力的であると多くの人に感じてもらえるのは嬉しいことですが、根底にあるテーマは "幻想と現実 "です。私の作品の最大の特徴は、錯覚を表す色と、現実を表す複雑なベースの色です。 ホログラフィックフィルムアート。カラフルなイリュージョンを作成する透明なアート "存在していても認識しにくい形という考えは、自分の作品にはとても合っていると感じました。" 現在のホログラフィックフィルムのアートスタイルをどのように発展させたのか教えてください。 ハッブル宇宙望遠鏡で撮影された写真を見るのが大好きで、プラネタリウムとは違う新しいアプローチで宇宙を表現する方法を探していました。その中で、自分に合った素材を探し続け、大学院を卒業する頃に特殊なフィルムを見つけました。それからは、そのフィルムをどうやって作品に使うかを実験しました。フィルムは薄いシールのようなものなので、透明なアクリル樹脂の表面にしか貼れません。 それから表面のデザインを始めました。最初の段階では、ガラスの球体を下地にしてフィルムを貼り付けたり、試行錯誤を重ねて、今のスタイルにたどり着きました。 この透明素材とホログラムフィルムの組み合わせはどのように選ばれたのでしょうか? 大学で彫刻を勉強していて気づいたことです。彫刻家は常に彫像の細部を深く気にしていますが、表面が透明であればその細部は見えません。ディテールの高い透明な彫像の矛盾は、大学院で研究していたテーマの一つでした。存在しているのに気づきにくい形という考え方は、自分の作品にとても合っていると感じました。 また、私の作品は色がついているように見えますが、実際には色がついていません。私の作品に見える色は、アクリルの下地の屈折と光が一定の角度で反射してできた光の反射に過ぎません。表面の複雑なディテールは透明なので、形がはっきりとはわからないのですが、私の作品には色がありません。私の作品には色がなく、プリズム効果にすぎないので、すべてが錯覚にすぎません。 <a href="https://www.tricera.net/en/id81000200017" フィルム自体には色はありませんが、蒸着法で作られた金属粉の薄い層が青や赤など様々な色の光を反射しています。私の作品は、月明かりで見ると完全に透明になります。太陽の光の下では、色のスペクトルが見えます。黄色の光では暖色系の色が見えますが、蛍光灯では波長が足りず、作品の色が出ません。太陽光の下では一番良いのですが、室内の照明であればLEDが一番色が出やすいですね。 光源の多い場所では、光の影響をあまり受けず、色が拡散してしまいます。暗い背景にスポットライトを当てて見るのがベストです。 <a href="https://www.tricera.net/en/id81000200017" 光源はともかく、設置環境によって色が異なります。例えば、白を背景にした場合は柔らかい淡い色調ですが、黒を背景にした場合は濃い色調になります。 1枚のフィルムは、光が反射したり、フィルムを通過したりすることで、2種類の色を作り出します。フィルムを透過した光の色は、表面の形状が落ち着いている時や平らな時を除いて、多くの種類の表面形状ではっきりとした明るい色になります。そのため、エッジや起伏を多く入れて、よりはっきりとした色を出すようにしています。 私の作品は、フィルムの種類、透明な基材、表面のディテールや形、という3つの要素の組み合わせによる無数の実験に基づいています。3つの要素のうち2つの要素の組み合わせをたくさん試し、その結果を見て、組み合わせて作品を制作しています。 アクリル樹脂のベースはどのように成形するのですか? ハンドグラインダーで大まかに形を切り出していきます。ほんの少しの微妙なうねりでも色が変わってしまうので、最終的な研磨はサンドペーパーの粒度100~2000と研磨用のコンパウンドを使って手で行います。 普段は実物を題材にすることはありませんが、具体的な依頼があった場合はそうします。一度、鹿を作ってほしいと言われたので、鹿の形をした作品を作りました。茶道のアイテムを作ってほしいと依頼されたことがあったので、小さな砂糖菓子の入れ物を作りました。 フィルムとアクリル樹脂の形状の組み合わせで無限のアイデアを表現できるのが面白い。 作品は見る角度によってどのように色が変わるのでしょうか? まるで光の芸術作品のように色が完全に変化します。しかし、光を科学的なアプローチで研究していることから、私が追求していることは、印象派の巨匠が追求していることに近いのではないかと思います。 上の写真がその良い例です。同じプリズム状の柱を並べて配置したものですが、角度によって全く違う色が見えます。 このアクリル素材は経年劣化しますか? 私は建材で一般的に使われているアクリル樹脂と同じものを使用していますので、よほど過酷な環境に放置しない限りは問題ないはずです。 未来への大胆な一歩 “...宇宙空間での展示会を開催したいと思っています。” 作品を制作する際に、今は何を重視しているのか、これから挑戦してみたいことは何ですか? 現在は、アクリルベースのうねりによって色がどのように変化するかを研究しています。最初はガラスの球体を使っていたのですが、ガラスの球体は屈折が一定なので、アクリル樹脂を彫刻して面白くしています。私にとって展覧会というのは、実験の結果の集合体のような気がします。また、複数の作品を並べるとどうなるかという実験もしています。 今後は、飛び石などの日本庭園に自分の作品を取り入れてみたいと思っています。また、テーブルなどの家具も作ってみたいと思っています。同じようなカテゴリーでは、シャンデリアを作ってみたいと思っていますし、ステンドグラスも興味があります。 作品の展示については、宇宙空間で展覧会をしたいと思っています。あと、いつか万里の長城のような規模の大規模な展覧会をやりたいですね。宇宙から見えるような大きなインスタレーションを。 特に宇宙展に興味があります。他の作家はまだ宇宙で作品を展示したことがないので、ぜひやってみたいと思っています。 Go Ogawaのアートを購入する場所 TRiCERAでは、Go Ogawaの作品を多数ご紹介しております。他のC-DEPOTのアーティストもご紹介しています。

遠くにある景色、近くにある心

風景画に関する見解は、それぞれの立場の違いはあれ、一般的には「風景を写しとった絵画」というところに落ち着くでしょう。 今回の記事で紹介する桜井旭、只野彩佳、ニールの作品は物理的な意味では現実の風景とは距離を置き、その画面で広がるイメージは彼らの感情を伴い、全く新しい形象を獲得しています。 アーティストが風景に息づく感情や記憶、ものの気配や痕跡を繊細に読み取り、それらが彼らの心の動きや内実性と混合し、現実の複写ではない、作家のまなざしが絡み合った新しい風景が生まれるまでの歩みに、ぜひ思いを馳せてみて下さい。 桜井旭 / Asahi Sakurai(1996〜, JAPAN) 移り変わる時間(noon)19 x 33.3cm, Acrylic on canvas25,000 JPY 作品はこちらから 移り変わる時間(night)19 x 33.3cm, Acrylic on canvas25,000 JPY 作品はこちらから 海岸(wide)22 x 54.6cm, Acrylic on canvas45,000 JPY 作品はこちらから ニール・トムキンズ /...

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