「僕の目標は時代を超えること。歴史を超えて残ってきた、人類が築いてきた装飾文化を解釈し、アップデートして絵画に変換することで、誰もが『wow!』と言ってくれる作品を創っていきたい」と語る京森康平は「装飾」を手掛かりに、藍染など日本工芸の文脈から制作するアーティスト。今回はその考えと制作について話を聞いた。

京森さんは装飾性をコンテキストから絵画を制作していますね。まずはその辺りから伺ってもいいですか。
-私は現代装飾家という肩書きで活動していますが、歴史上に数ある装飾文化を自分なりに解釈し、アップデートすることを念頭に置いています。だから、その文脈で見れば、私の作品は絵画という形で、国や地域にかかわらず、装飾文化を新しいフォーマットで紹介しているものかもしれません。現代アート、特にコンセプチュアルな作品は、ある意味で言葉が重要です。だけど私は、少なくとも自分の作品に関していえば、目で見た時、言葉に頼らずとも感動できる仕事にしたいとは思っています。

Vajrapani – UN / Vajrapani – A-Edition2/3-, 60×115cm

京森さんは、一方でグラフィックデザインや服飾の仕事に携わっておられましたね。その点は、作品に影響していますか?
-影響しているし、大事な点でもありますね。色の組み合わせにおいてはヨーロッパで服飾を学んできたことが生かされていると思います。また僕はデジタルで制作するという事もあって、いかに平面絵画の枠にとどまらないかを大切にしていて、マテリアルや素材の選定、デジタルとアナログの融合など複数の技法や素材を組み合わせることで、作品の強度を高めたいと考えています。
また、日本のグラフィックデザインは浮世絵にルーツがあって、版画の技法や分業で制作するスタイルについては意識して作品に取り込んでいます。

Armani rear standing mirror -Edition 2/5-, 27.3×27.3cm

制作の流れについて伺ってもいいですか?
-まずはスケッチ、それからデジタルでシュミレーションします。素材をつなぎ合わせたりして、偶然的に生まれて来る想定外の要素は重要ですね。それからCGで作品を描き、マテリアルに応じたプリント技法で出力し、染色したり岩絵の具やU Vレジンで立体的に加工するというのが、大まかな流れです。

作品にはいくつかシリーズがあるようですが、今現在、特に重要なものはありますか?
-今は大体5つくらいのシリーズがあって、例えば『A-UN』と言うシリーズは、民族間の差別や偏見を超えることへの願いをメッセージとして込めています。もう一つ重要なのは、「JAPAN BLUE」という、藍染を使ったシリーズ。話は少し飛びますが、僕は社会不適合とか、全部個性だと思っていて。多様性な社会とは、そもそも、そうした既成の枠組みに合わない性質を取り入れたものだと思うし。だから、このシリーズでは不完全性の肯定がテーマにあって、自分では非常に日本人的だと思っていますね。

aruma side – UN col2 / Daruma side – A col2 -Edition 1/3-, 33.3 × 33.3cm

メッセージ性の強い作品が多いですね。
-そうかもしれない。でも、僕の目標というか、制作をする上で一番重要なのは、時代を超えること。最近は普遍性についてよく考えるのですが、それは何かというと、例えば装飾で言えば「目で見て感動できる」ということ。装飾性は、それに携わる人の技術や時間の密度、エネルギーがたくさん詰め込まれていて、それは誰が見ても、多分「ワンダフル!」と思えると思う。僕は説明しなくても感動できるものが好きだし、素敵だと思う。現代アートという世界で、デュシャン以降続いてきたコンセプチュアル・アートの流れの中で、日本人の僕が、しかもグラフィックデザインや服飾をバックグラウンドにしている自分が出来ることを探っていきたいですね。世界のどこにいるか、どういう仕事か民族かなどは関係なく、誰が見ても「Wow!」と言って貰える作品をつくることが時代を超えることだと思っています。
今後の展望としては、日本の伝統工芸を現代装飾という観点からアートに昇華したいなと。具体的には、有田焼や徳島の藍染めなど歴史と伝統が育んできた、技術を日本の強みと捉え、自らが描く装飾的な絵画と融合させることによって作品(モノ)としての価値、強度、エネルギーをより高められるのではないかと考えています。
それぞれの地域と共創していくことで日本の未来に残せる技術や伝統を守り、進化した伝統が継承されていくことで時代を超えて次の未来に繋がれれば良いなと思いますね。

作品はこちらから:https://www.tricera.net/artist/8100161

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