土曜日, 5月 28, 2022
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Michael Toenges, “Paintings on Paper 1995-2019”

8月24日から10月12日までタグチファインアート主催

The Installation view of “Paintings on Paper 1995-2019” (2019) by Michael Toenges
at Taguchi Fine Art
Courtesy of the artist and Taguchi Fine Art

タグチファインアートでは、この夏から秋にかけて、ドイツ人画家ミヒャエル・テンゲスの個展を開催いたします。テンゲスはレヴァークーゼンを拠点に活動する1952年ドイツ生まれの画家です。作品の一部はケルンのコロンバ美術館やスイスのアーラウ美術館に収蔵されています。ヨーロッパを中心に活動している彼の作品をアジアで見ることができるのは、今回の個展「紙に描かれた絵画 1995-2019」がきっかけです。本展の特徴は、展示されている作品がすべてダンボールに描かれた小品であること。ギャラリーによれば、これらの小さな作品は、他の大きなスケールの作品やキャンバスに描かれた絵画に比べて、あまり注目されていないとのことです。段ボールに描かれた小品は、これまで準備的で断片的な作品とされてきましたが、その小品は、彼の色との実験と葛藤の証拠ともいえるものであり、注目に値するものです。今回の展示では、1995年に制作された旧作から今回の展覧会のために準備された最新作までを紹介します。

The Installation view of “Paintings on Paper 1995-2019” (2019) by Michael Toenges
at Taguchi Fine Art
Courtesy of the artist and Taguchi Fine Art
The Installation view of “Paintings on Paper 1995-2019” (2019) by Michael Toenges
at Taguchi Fine Art
Courtesy of the artist and Taguchi Fine Art

テンゲスは、木の板やキャンバスに油絵の具を重ねることで、色の多様性を追求しています。テンゲスは、イメージや形にとらわれることなく、色の配置、コントラスト、構築に主眼を置いていると言います。絵画の基本的な要素とされる色彩や絵の具の物質性の探求に力を注いでいます。

テンゲスは通常、事前にスケッチを用意することはなく、参考となるイメージや計画を持たずに絵を描いています。テンゲスは、ある特定のイメージを持たずに自発的に絵を描きますが、同時にジョット、フラ・アンジェリコ、ボッティチェリ、ゴヤなど、歴史上の他の画家たちが使った色の構成を研究しています。絶え間ない研究から得た知識の蓄積が、躊躇することなく絵を描くことを可能にしているようです。

実際、彼の作品は無計画に作られているというだけで、一気に作られているように見えますが、技術的には、板に色をつけて、乾燥させて、それを何度も繰り返すというプロセスを経ています。このように、彼の絵は美術史における色の使い方の研究としても長い時間をかけて描かれていると考えられます。

彼の作品は高速と低速の両方の特徴を持っているので、私たちはまた、2種類の魅力を感じることができます。第一に、テンゲが躊躇なく絵を描く瞬間のように、私たちの注意を一気に惹きつける。二つ目は、その努力の過程と同じように、私たちを作品の前に長く滞在させてくれること。10月12日までタグチファインアートにて、ゆっくりと作品を楽しむことができます。

Michael Toenges, “Paintings on Paper 1995-2019”

  • 開催日:2019年8月24日(土)~10月12日(土) 2019年8月24日(土)~10月12日(土)
  • 営業時間。午後1時~7時
  • 日曜・月曜・祝日は休館
  • >

記事を書いた人:Jeongeun Jo
韓国出身、日本在住。東京藝術大学大学院美術研究科を卒業したTRiCERAのメンバーの一人。彼女自身もアーティストとして活動している。 

Shinzo Okuokahttps://www.tricera.net/
1992年東京都出身。大学でインド哲学を学んだ後出版社に勤務し、アート雑誌と神社専門誌の副編集長として雑誌及び書籍の企画・編集に携わる。2019年にスタートアップ企業である株式会社TRiCERAに参加、日本初の現代アート専門の越境ECの開発及びアーティストのマネジメント、自社オウンドメディアの立ち上げを担当する。特技は速筆で、雑誌時代には1ヶ月で約150ページを1人で取材・執筆した。

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現在に生きる人間の複雑な内面を表象するような抽象的なポートレートを描くNorris Yim。現代社会のディストピア的な側面に寄り添いながら制作を続ける作家が見つめる現代を生きる人々の苦悩と美しさとは。  制作を始めたきっかけはなんでしょうか。 自己忍耐のための修練の一つとして、大学の環境・インテリアデザインコースの1年に在籍していた時に絵を描き始めました。在学中に学習と研究を通して、視野が広がっていくことで、いろんな絵画を描き、自身のスタイルを研究しました。そして、何かが人生よりも長く残るようにと、残りの人生でも絵を描き続けることを決意しました。 現在の制作のテーマについて教えてください。 資本主義と偽善的な生活に迎合する上で、人々は生きていくための本来の外見を捨て、新しい顔が古い顔に取って代わるようになったような状態だと思います。たとえ厚化粧をしても、偽善と生への恐れから、そうした新しい自分でさえも、さらに新しい自分になるために忘れてしまうのです、こうした感覚をもとに、社会の哀れさや悲しさを表現する抽象的なポートレートのシリーズを生み出しました。 それらの抽象的な顔料は、作品の基礎を形成する私のダークサイドな部分と気分を表しています。 《Destruction of Dark Chaotic》2021 W 60 x H 60 x D 1.6 cm 作品販売ページはこちら 3. 影響を受けたもの、自身にとってターニングポイントになっていると思うものはなんでしょうか。 私のターニングポイントはウィレム・デ・クーニングの作品や技法に出会ったことです。 巨匠のドキュメンタリーを研究しているうちに、ウィレム・デ・クーニングの作品に出会いました。彼の絵画技術から「力強さ」「軽率さ」「自由」を学びました。 私は、それらを意図的にやるのではなく、自由な方法で抽象的なことをしてみたいと思っています。その結果として、絵を描く過程で私は下書きなしで絵を描くようにしていますし、描くことができます。 《Nameless 3321》(2021) W 70 x H 90 x D 1.8 cm 作品販売ページはこちら 人物の抽象化にはどういった意味があるのでしょうか。またどういったプロセスで抽象化を行いますか? カラーパレットは、美しさと痛みの間のアイロニーを示しています。つまり、私たちが抱える痛みとストレスを意味します。 記憶喪失、混乱、アンバランスな生活。見ているのに見えないとき。想像力のない思考、魂のない生活。マルチタスクになればなるほど、特に顔や内面の記憶においては、輪郭がはっきりしていても、細部がはっきりしなくなります。この絵は、忘れていく過程や手の届かないところにある思考を表しています。 "目の前に顔があるのに、それが何なのかピンとこない" そう言った感覚を表現しています。 抽象化のプロセスについて、最初は、その場で選んだ色を流し込み、パレットナイフでテクスチャーを作るのが好きです。この工程における、遊び心や自由さは私に満足感をもたらします。その後は、ミキシングパレットを使ってテクスチャーを重ね、ポートレートの奥深さを表現していきます。 最終的にケーキチューブを使って独特のテクスチャーを作り、耳や首などの細部のシャープさを強調していきます。 《Nameless -...

上床加奈による限定エディションプリントを販売致します。

この度、TRiCERAでは上床加奈による限定エディションプリントを販売致します。   ■ 受付期間2021年1月25日(月) 13:00 〜 2021年2月14日(月) 23:59■ 当選通知2021年2月15日(月)までに当選者のみメール通知■ 応募方法応募フォームに必要項目を記載の上、注意事項を必ずお読み頂きお申し込み下さい。 【販売に関する諸注意(※1)】(1) 作品にアーティスト直筆サイン、エディションナンバー入り。(2) 本作品は抽選となっており、ご希望の作品が手に入らない場合がございます。(3) エディションナンバーは選択出来ません。(4) 作品発送は本発売(2021年2月15日予定)より約1ヶ月のお時間を頂きます(※2)。(5) 下記の作品の仕様は制作前のものであり変更が生じる場合がございます。(6) お一人様2点までお申込頂けます。(7) 当選確定後のお客様都合によるキャンセルは承っておりません。 ※1 お申し込みを頂いた時点で、諸注意に記載された事項に同意したものとみなします。※2 新型コロナウイルスの感染拡大に伴う緊急事態宣言の発令の影響により配送が遅れる場合がございます。   | 上床加奈 《狐憑き 陸》 ©️ Kana Uwatoko / TRiCERA,...

「家族の愛」START ARTIST vol.8 ~ Yuu Minamimura

TRiCERA発のオークションイベント「START」第一弾の出展作家の"なぜSTARTに出展したか"を主軸にしたインタビュー、ならびに新作の紹介を行います。 オークションイベント「START」とは 2021年2月に行われた「START」。アートに携わる様々な人たちを「セレクター」としてゲストに招き、それぞれの視点からアーティストを選び、そしてその魅力を伝える言葉と共に、その作品をオークション形式で販売いたしました。「アートをこれから始める」という方にも分かりやすい設計を行い、またオークションがはじめての方、オンラインではじめてアートを買う方など、様々なひとたちの「スタート」になるような企画となっております。 作家紹介 南村 遊 (Yuu Minamimura) 「人は何に向かっているのか」をベースコンセプトに、石や金属、粘土などを素材にして立体作品を制作している。 主なグループ展には「ART FORMOSA」(Songshan Cultural and Creative Park (Art Ile), 台北, グループ展, 2017)、 「ART CANTON」( Guangzhou Liuhua Exhibition & Trade Center (Art...

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