火曜日, 4月 13, 2021
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Artist’s Insight:ファビアン・フレッセを知るための6つのポイント

モノを見るうえで《色》は絶大なキープレイヤーだ。その日に着る服も、髪の毛も、料理だって色が担当する役割は大きい(カラーセラピーという色による心理療法だって存在するほどだ)
ファビアン・フレッセの作品はまさしく色を効果的に使ったアートだ。四角いキャンバスの画面に美しいグラデーションだけを描いたスプレーアートは、見ている人のキモチの状態によって捉え方が大きく変わる。

1.幼少期から影響を受けた「大自然のなかの美学」

ファビアン・フレッセが1982年9月8日にドイツのヴッパータールで生まれた。
幼少期から大自然に囲まれて育ったファビアン。自然がつくり出すカラフルな創造物は彼の美意識に大きな影響を与えた。例えば、彼が描いた空を連想させる作品がそうだ。本や映像では捉えきれない程の鮮やかで豊かな色彩が自然界には多く存在しているため、まだ色彩感覚の固定概念が定まっていない幼少期のうちにこのような環境で過ごせたことは、アーティストとして恵まれていたと言える。

Faded Blue to Black with Yellow on the Edges/30cm×30cm/スプレー

作品はこちら

2.経歴

2006年から2011年まで、フレッセはエッセン自由美術学校で「ビジュアルアート」を学ぶ。ビジュアルアートとは「視覚芸術」の事であり、主には視覚で認識できる芸術表現のことを指す。幼少期の頃から大自然の美しさを「視覚」から取り入れてきた彼にとって「見ること」「どう見えるか」は重要なポイントだ。在学中には芸術賞「Essener Forderpreis 2010」にもノミネートされた。

Faded Yellow to Pink with faded Pink to Yellow on the Edges/30cm×30cm/スプレー

作品はこちら

3.極めてシンプルなスプレーアート

スプレーアートといえば街中にポップな絵柄で壁に描かれているようなストリート・カルチャーをイメージするかもしれない。でも彼の作品からはスプレーアートにありがちな「やんちゃな感じ」はしない。誰から見てもわかりやすい、心が落ち着く、実にシンプルな構図になっているのだ。

4.アイディアを形と色だけで表現

フレッセは細かいモチーフが一切描かず、少数の色のグラデーションだけで勝負した作品ばかりを描いている。作品のタイトルも使用した色について説明する言葉が並んでいるだけだ。このシンプルな構成によって色彩のみに集中させる、彼の狙いがある。彼の幼少期に影響を与えた木々や川の美しさがそうであるように、余計なものは一切入れない。ストイックだからこそ生まれる美的感覚は、もはや強さともいえるくらいに徹底されている。

5.光と色の美しい調和

もう一つ、彼が作品に仕込んだアイディアがある。
作品をじっくりと鑑賞しているわかるのだが、キャンバスの側面にも色が塗ってある。《White Square with Rainbow on the Edges》は表面の情報を極限まで減らし、側面に重点を置いたユニークな構成だ。ただ画材で色彩を表現するのみでは無く、光による色彩の表現も組み込むことで、余すことなく作品全体を用いて表現している。

White Square with Rainbow on the Edges/30cm×30cm/スプレー

作品はこちら

6.現代美術の様々な要素を組み合わせ「先進的なアート」を表現していくファビアン・フレッセの前向きな精神

彼は色彩の他にも「光」に神経をそそいでおり、長時間露光を使用した夜景の写真が多く存在する。そのまま写真として作品を制作しているわけでは無く、そこに複数の色からなる垂直なストライプが上から描かれることで、作品に抽象的な独自性が与えている。彼は伝統的な考えに囚われず、現代美術の異なる要素を組み合わせて新しいアートを生み出したい、という前向きな精神を持っており、これから彼が生み出していく先進的なアートに私達は期待したい。

Faded Blue with Rainbow on the Edges/30cm×30cm/スプレー

作品はこちら

Shinzo Okuokahttps://www.tricera.net/
1992年東京都出身。大学でインド哲学を学んだ後出版社に勤務し、アート雑誌と神社専門誌の副編集長として雑誌及び書籍の企画・編集に携わる。2019年にスタートアップ企業である株式会社TRiCERAに参加、日本初の現代アート専門の越境ECの開発及びアーティストのマネジメント、自社オウンドメディアの立ち上げを担当する。特技は速筆で、雑誌時代には1ヶ月で約150ページを1人で取材・執筆した。

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日本や台湾などアジアのアートシーンを舞台に活動しているyuta okudaは、生き物や花を通し、自然の摂理にある美しさの描き出し、その姿を肯定しようと試みる。『TAKEO KIKUCHI』のファッションデザイナーからアーティストへ転身した彼の活動とその背景について話を聞いた。 まずは作品について簡単にご説明願えますか?作品は無意識の自己投影と自己解釈がベースになっています。無意識のレベルで生き物たちを思い浮かべ、それを意識レベルで般若やマリリンや狛犬などにしていきます。 無意識で描きたい題材は、常に花や生きもので、そこから美と醜、愛と嫉妬、生と死など相反する二つのテーマを1枚の中に表現しています。モチーフは常に生き物なんですが、食物連鎖をコンセプトに、自然の摂理の美しさを描いています。 wisdom 743×607, 2019, pigment ink /Kent Paper 作品はこちらから もともとはファッションデザイナーだったそうですが、アーティストになったきっかけは?きっとアーティストになりたい気持ちが強かったからだと思います。デザイナーとアーティストとでは、全く性質が違いますから。商業デザイナーに個性は求められない。決まったデザインを、決まった通りに、決まったスケジュールでこなしていくことが必要なんです。でも、それがストレスだった。だからスタートは「ただ自分の描きたい絵を描きたい」という、本当にそれだけだったと思います。 そうして、すぐに絵を描き始めたのですか?いいえ、最初は自宅でひたすら描いているだけでした。今見返すと、その頃の絵は、すごく密度が高く見える。負の感情を吐き出している感じでしたね。人に見せることなんか考えても見ませんでしたね。全く、これっぽちも。言わば毒素ですから、自分の(笑)。 Purple Rose (Pink x Purple) 33.3×24.2cm, アクリル・顔料インク・キャンバス 作品はこちら プロとしてスタートしたきっかけは何でしたか?認めてくれた人たちがいたんです、私の絵を。自分のネガティブが丸出しになった絵を「いいね」と言ってくれる人たちがいた。驚きだったし、有り体に言えば、気持ちが良かった。商業デザイナーではそんなこと絶対に有り得ない。ファッションでは取り繕いをしていたけど、絵画は裸です。その部分を見せて、評価してもらえたことが嬉しかった。そんな時期に友人のアーティストを見たりして、その姿に嫉妬し、「自分も」と考えました。でもやるならプロとして、趣味ではなく、生半可な気持ちは捨てようと思っていました。やるなら、徹底的にやろうと。 作品は自己投影的と仰っていましたね。当初から同じスタンスですか?最初の頃は「ひたすら描く」に尽きますね。平均したら1日15時間くらいかな。3日間描いて半日寝るとか、とにかく吐き出そうと思って。溜まっていたもの、湧いてくるものを全部吐き出したら、ようやくコンセプトが見えてきた。それが「自己投影」。 ファッションとは正反対です。そっちではコンセプトメークが先にあって、そこから組み立てていましたけど、私がアートでやっているのは自分自身を発見していくこと、つまり一番正直な自分を出すこと。どれだけ裸になれるか、どうやってその部分を引き出すかが重要になってくる。自分の経験がどういった形でアウトプットされるか、それを見てみたいんです。 Abstract Bouquet (Navy x Purple) 33.3×24.2cm, アクリル・顔料インク・キャンバス 作品はこちら ご自身の経験をベースにしているとインプットが大変じゃありませんか?最初の3年で尽きましたね(笑)。30年の人生が、3年で底を突いた。でも、それは上澄の30年だと思っています。もっと掘り下げられると思うんです。自分の本質が何か、自分のベースが何か、この3年で自分の30年を振り返ることが出来た。3年かけて、ようやく自分が分かってきた気がするんです。だから、これから色んなものを取り入れ、新しくつくっていく。 最近では墨を使用した作品も増えました。その変化は意図的なものですか?私の作品は、やはり、私自身と連動しているから変わりはするんです。物質的にも精神的にも、昔と全く同じような絵を描けと言われても、それはすごく難しい。変わりはするけど、でも言えることは、今自分がやっていることに嘘がないということ。本当に疑問が湧かないんですね。さっきも話に出ましたけど、私の絵はいかに裸になれるか、自分に正直になれるかが重要。だから、それを基準に考えるのであれば、今やっていることに間違いがないことは断言できると思います。一方で素材については常にアップデートを心がけていますね。水彩も試したし、銅版も油彩も、日本画も、あとは粘土など色々と試した。その結果、自分の性質に合うのが墨だなと。 Abstract Single Flower (Sax x...

作品とアーティストの心の距離-ドローイングの魅力をめぐって

 美術にまつわる言葉は膨大な上に、定義の境界が不明瞭である。  ドローイングやその周辺の言葉は特にその傾向を如実に表しているのではなかろうか。  ドローイングは「線画」と訳される。つまり、単色の鉛筆やペン、木炭などで線を引くという行為に重きをおいて描かれた絵を指す。フランス語ではデッサンに当たるドローイングであるが、異なる点を挙げるならばドローイング作品は歴とした作品でも捉えられるということだ。デッサンが対象を正確に描き写すことに念頭が置かれ、絵の練習的側面が前面に押し出されるのに対し、ドローイングは表現の要素が強い。  美術館でもアーティストの技術的・観念的創造プロセスの一旦が垣間見えることから展示されているドローイング。本記事ではドローイング作品10点を紹介し、是非アーティストの本性を探ってほしい。 MATSUMOTO SAYAKA 作家の詳細はこちら 沼田愛実/Aimi Numata 作家の詳細はこちら ボウル太郎/Bowl Taro 作家の詳細はこちら Takashi Fujita 作家の詳細はこちら マーティン・ゼイナー/Martin Zeihner 作家の詳細はこちら

「食べる」を見る。アートにおける食事の話。

「パンさえあれば、ほとんど悲しみは耐えられる」スペインの小説家で『ドン・キホーテ』の著者であるセルバンデスはこう語ったが、パンや白米にそれほどまでに万能薬と言えるかどうかは別にして、確かに食事は、言うまでもなく人間にとってなくてはならない存在だろう。 作品の詳細はこちらから 一食欠けばイライラが募り、一週間も飲まず食わずを続ければ死に至る。一方で「食事」という行為は、人間社会における重要な役割も果たしてきた。 例えば古代ギリシャ最強の軍事国家と目されたスパルタは「共同で食事すること」に重きを置いていた。食事を共にすることが団結力を高めると信じていたからだ。 他にも「食のルール」もある。もちろん個人の好み(例えば「夜は炭水化物を食べない」など)に限らず、例えばイスラーム教では豚肉が、ヒンドゥー教では牛肉を食べることが禁じられているし、あるいは仏教では午前中の食事だけが許された派閥もあるし、宗教によっては食事に厳密なルールを課すこともある。 果たして人間にとって重要であるように見える食物や食事だが、アートの世界ではどうだろうか?人間は、自分たちにとってウェイトの重いこの事柄を、いったいどのように造形化して来ただろうか? 例として絵画で見てみよう。絵画には具象画と抽象画、そしてその中間という、ざっくりしたタイプがある。Airaの場合はその最後の分類になるだろうが、ポップアート的な画面世界のこの作品は、多様な色彩を用いて葡萄をイメージ化し、その果物が元々備えていたフォルムから自由な形状になっている。 作品の詳細はこちらから 「美味しそうな作品」という意味ではどうだろうか。中島健太の描いている寿司は、エロティックに食欲を刺激するリアリズムの手法が使われている。18世紀の文筆家レッシングは『ラオコーン』で「絵画は、適切な瞬間を捉えるべき」と言った。中島の寿司は、まさに職人が握り、客に差し出された瞬間の、つまり、もっとも美味な瞬間を捉えているというべきだろうか。 作品の詳細はこちらから 弁当という食事の形態も興味深い。一般的に、食事とは自宅もしくはレストランで腰を下ろして実地される行為を指す。だが出先で食料調達が困難な場合などは弁当という、ポータブル式の料理形態を用いることが日本や台湾では古くからあった。733カロリーと20gのタンパク質が含有が示されている、Shintakuのペインティングがまさにそうだ。戯れにこれを「誰かが、誰かのために作った弁当」と解釈してみようするとストーリーが見えて来るだろう。こんな風に、喧嘩の翌朝は米だけが箱に詰められているかもしれないし、その反対であればこの作品のように時間と具材がふんだんに使われた弁当に巡り合えるかもしれない。ある意味で弁当は、無言の、食物を介したコミニケーションとも言える。 作品の詳細はこちらから そもそも「食事をする」とはどういうことか。極端なミニマリストと動物は別にして、人間にとっては「食事」と「栄養摂取」は別だ。好きなものを、好きな時に、好きな場所で、好きな方法で食べる。人間固有の快楽。もしくは、人間固有の遊戯かもしれない。 作品の詳細はこちらから 極端に個人の好みやこだわりが反映される「食事」という行為は、ある意味、その人となりを表現する方法だ。一方、アートを買うことは、アーティストの才能やアイディアの買うことでもある。食物や食事を描いている作品を買うことは、それに加えて、そのアーティストの生活を覗き見ることでもあるかもしれない。

Feature Post

スカルにみる現代の「死」

 ”メメント・モリ”。ラテン語で「死を思え」「自分が死ぬということを忘れるな」を意味する警句である。  時勢によってあらゆる解釈がなされてきたものの、我々人間に多くの示唆を与えてきた。そのメッセージはテキストだけでなく、時にはペインティングといった芸術の世界で表現された。  その際、主役となったモチーフは直接的に死を想起させるスカルである。宗教画や歴史画に比べ、地位の低かった静物画はキリスト教的エッセンスを組みこむことで格を高めた。所謂、ヴァニタスである。それから、数百年経過した現在、現存のアーティストの単作品で最高額となるダミアン・ハーストによる立体《神の愛のために》も主題がメメント・モリである。当作品にもスカルは選ばれている。  さて、死を彷彿とさせるための最上のモチーフは、”メメント・モリ”を忘れさった現代人に新たな示唆を与えているのか。本記事ではスカルを扱う作家を数名紹介しよう。 八田大輔/Daisuke Yatsuda 作家の詳細はこちらから Yutaokuda 作家の詳細はこちらから 鈴木潤/Jun Suzuki 作家の詳細はこちらから

富士山と絵画の蜜月関係

 現在の静岡県と山梨県の間に聳える世界遺産「富士山」。  日本一の高さを誇るこの山は古来より、神仙が宿る山として崇められていた。それは、日本一の山であると同時に、圧倒的に美しい稜線を誇っているからに他ならない。また一方で、噴煙を上げる火の山として畏怖の念を抱かせる存在だったことも一つの要因だろう。  さて、周知の通り富士山は日本画でも人気の題材であった。しかし、現在でもただの自然の一部ではなく、一つの山に宗教性、芸術性を見出してきた日本人の自然観や文化観は衰えていないようだ。本記事では富士山を描くアーティストを紹介する。 中島健太/Kenta Nakajima 作家の詳細はこちらから やまゆりの/Yurino Yama 作家の詳細はこちらから 麻生彩花/Ayaka Aso 作家の詳細はこちらから YUKIMI 作家の詳細はこちらから 高橋浩規/Hiroki Takahashi 作家の詳細はこちらから 松崎大輔/Daisuke Kawai 作家の詳細はこちらから 河合眞平/Shinpei Kawai 作家の詳細はこちらから deTaka 作家の詳細はこちらから  同一のモチーフでいえば、富士山以上長い間繰り返し描かれたものはないのではないだろうか。しかし、それでも飽きがこないのは日本画誇る美しき霊峰とアーティストのなせる業なのだろう。

ベッドサイドにもアートを-注目したい立体作品たち-

家のどこにアートを置くか、それはもちろんひとの自由だが、例えばベッドサイドに置いてみるのはどうだろうか。サイドボードの住人といえば時計やライト、メガネや水、もしくは読みかけの本が多いかもしれないが、その寝る時そして起きる時に目に付く場所に作品を置いてみるのも生活の刺激になりはしないだろうか。おはようからおやすみまで、1日をアートではじめ、アートで閉めてみる生活ははいかがだろう? Atsushi Kaneoya 作家の詳細はこちらから 日暮勇一 / Yuichi Higure 作家の詳細はこちらから 南村遊/Yu Namura 作家の詳細はこちらから セリア・デブラ / Celia Debras 作家の詳細はこちらから 小倉真 / Shin Ogura 作家の詳細はこちらから 山本恵海 / Megumi Yamamoto 作家の詳細はこちらから Saeka Komatsu 作家の詳細はこちらから

似顔絵の表裏

 Ikeda ayakoは、自分の感情を肖像画という形でアウトプットする画家です。彼女は色や輪郭といった対象物の細部を表現することを目的としているのではなく、自分の感情や思考、自分自身の中で感じる動きを反映させています。絵画は自己表現のようなもので、彼女の精神を絵画という形でスケッチしているのです。 肖像画の作品が多いようですが、どのような作品なのでしょうか?まずは作品の説明をお願いします。 -作品はその時の気分に左右されるので、いつも描いているテーマが決まっているわけではないのですが、似顔絵を描くことが多いです。ただ、その時の気持ちの表情で似顔絵を描くことが多いです。 小さい頃から絵を描くのが好きで、よく人を描いていました。今でも人を描くのが好きなのは意図的ではないのですが、自分の感情をダイレクトに絵に反映させて表現することを考えた時に、風景や抽象が合わないような気がしました。何となく、自分の感情をダイレクトに表現するにはポートレートが一番いいような気がします。 vivid r_02, 53×45.5cm 作品に描かれている人はランダムな色で描かれていて、リアリズムで描かれているわけではありません。モチーフは架空のものですか? -いや、想像力は自分には合わないので、絵を描くときには原型が決まっています。でも、完成した作品を見た時に、イメージと違うので、原型が役に立っているのかなと思うこともあります。体の各部位の色はイメージを見ながら決めているので、肌の色が緑などランダムな色になっていることもあります。先ほども言いましたが、絵には自分の気持ちが反映されているので、完成した作品を見ると、その時の気持ちが蘇ってきます。作品を制作している間ではなく、絵を描き終えて初めて納得します。 Dedicated to P_07, 19.5×25.4cm もともと絵描きになりたいと思っていたのですか? -いや、でも子供の頃から絵を描くのは好きでした。漫画のようにストーリーを作ることはできないけど、絵は描けるので、美術学校に行こうと思いました。学校の傾向として、体全体を描くように言われましたが、顔の方が面白かったですね。学校では主にイラストレーションの勉強をしていましたが、学んでいくうちに「クライアントの仕事」が苦手になってきました。自分の描きたいものを描きたいと思っていました。 作品にはその時の感情が反映されているとおっしゃっていましたね。でも、モチーフによって描きたいものは変わってくるんですか? -場合にもよりますが、流れがあるわけではないですね。ポートレートを描くのは、何かに追われている時に描くことが多いような気がします。だから、絵を描くことで自分の感情を出しているんだと思います。 去年の秋にスズメを拾って2日くらい一緒に過ごしたんですが、なぜか似顔絵以外のものを描きたいという気持ちになったんです。なので、その時は顔以外のモチーフを描いていました。もしかしたら、これから出会う人や目にするものによって、モチーフは変わるかもしれないし、変わらないかもしれない。