金曜日, 1月 28, 2022
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デジタルネイチャー時代のアーティスト:ナカミツキ

アーティストのナカミツキは、iPadなどのデジタルツールを用いて絵画を制作します。
データという複製可能な技術を用いつつも、作品の唯一性にこだわり続ける作家のもつデジタルネイチャー*時代の美学に迫ります。

制作を始めたきっかけはなんでしょうか。

小学生の時にてんかんという病気になり入院していました。てんかんは後天性の脳の病気で、その影響で半身麻痺になったんです。当時は状況が飲み込めず、自分は死ぬのではとも考えていました。だから、自分が生きた記録として、何かを残したいと思っていました。その時は筆を持てなかったので、タブレットを使って、絵日記を描き始めました。それが最初のきっかけです。

それ以降は、音楽をテーマに書いていて、イヤフォンを右耳につけて、JAZZなどの即興的な音楽を聴きながら片手でタブレットで絵を書いていました。紙に描くのは両手が必要ですが、半身麻痺でしたから、片手で持てるタブレットが便利でした。

大学時代から動けるようになり、軽音部やジャズ研に所属して、ギターをしていました。

展覧会に作品を出し始めたのが大学2年生の終わりくらいだったのですが、学内展に出して、そのあとに三菱商事アートゲートプログラムに受かりました。以降は、展覧会にバンバン出していこうと思い、アートの登竜門的な公募展をまとめているサイトがあるのですが、そのサイトの上から下までみて、応募したりしましたね。

現在の制作のテーマについて教えてください。

現在はkEYNOTEという造語をテーマに活動しています。

現在、新しいシリーズとして「Key note」というテーマで制作に取り組んでいます。「Key note」とは、”Key”(鍵)と”Note”(音符)を組み合わせた造語で、視覚的なところに頼らず、「鍵になる音」を捉え、聴覚を中心に形成していくことで、より音楽の深層に迫り、音楽の感じ方について今一度捉え直す作品作りに力を注いでいきたいと考えています。

新型コロナウイルスの感染拡大以前は、音楽のセッション会場に行き、その場で描くという事をやっていたのですが、STAYHOMEになってそれが難しくなってしまいました。
これは、そもそも音楽の中にあるライブ感だったり、その中にある瞬間的なタイムラインを描ければいいなと思って行っていたことです。タブレットというのは場所も時間も選びませんから、瞬間的なアイデアを逃さない方法としても合ってると感じています。

今は自宅で音楽を聴きながら、制作をしています。
ですが、やっぱり環境的な問題は感じます。ライブ会場では、光と音が生でくるものですが、家の中ではそうではありませんから、そういった状況下で絵を描くには想像力が必要です。
結果として、最近は作風が少し変わってきたように思います。
これまでは演奏者の手元にフォーカスしていたり、その瞬間に集中して描いていました。しかし、現在はそれらをこれまで得た知識などから改めて自身の中にイメージする必要があります。その結果として、全体の空気感、音楽に対する世界が自身の中に生まれてくるような感じがしています。

(Color, W 97 x H 130.3 x D 2 cm, Multiple Prints, NAKAMITSUKI, 2021)
 作品詳細はこちらから

影響を受けたもの、自身にとってターニングポイントになっていると思うものはなんでしょうか。

ターニングポイントは病院での生活だったと思います。当時はSNSが流行り出した時で、動画サイトや、サブスクのサービスが少しづつ知名度を得てきていました。さまざまな情報もテレビがつかないので、MixiやTwitterをみて入手していました。
自身の作品や、作家活動については、それらを通した端末文化や、サブカルチャーに大きく影響を受けていると思います。
また、作家としては、アンディー・ウォーホルやアンリ=マティスの作品に影響を受けています。彼らの作品は、自分の見ている世界線と似ているような感覚がありました。  ニューヨークに行って、実際に作品をみたり、スカラーシップに行ったりもしました。
色のセンスが自分とリンクする部分があって尊敬しています。彼らになくて自分にあるものをずっと探しています。
あとは私自身がいわゆるオタクなので、イラストレーターの人たちにも影響を受けましたね。

デジタルとアナログの関係について、絵画制作において、それぞれの利点や弱点をどのように捉えていますか。

アナログで絵を描くということには何千年という文化と美術史がありますが、デジタルはまだ10年くらいの歴史しかない。歴史が浅いから、浸透していないし、メジャーでもないからやはりデジタルでアート作品を描いて発表するというのはやりにくい部分はあります。
漫画やイラストの世界の中では、メジャーなのに現代アートの中ではメジャーではない。今から歴史を作って行かないといけない。
学内展で作品を展示していた時も、なかなかみんな立ち止まってくれないんですよ。その時は、あんまりデジタルがメジャーじゃない事に気づいてなかったんです。
最初は見向きもされませんでしたが、今はコミュニティが発生してきている印象があります。色彩能力を引き出すにはデジタルしかないよねという意見を言ってもらえたりもしました。
しゃべったらなんとかなる事が多いですね。なぜデジタルをアナログにしたいのかで、ひっかかる人は多いみたいですが、私にとっては、アナログもデジタル一緒だったから、特に差がわからなかった。そういう意味ではボーダレスな感じです。だかたデジタルなものを、展示会場というリアルな、アナログな場所に持ってくるならそれはアナログになるよねっていう感覚です。

(Night Shadow, W 97 x H 130.3 x D 2 cm, Multiple Prints, NAKAMITSUKI, 2021)

作品紹介はこちらから

デジタルで絵画を制作し、それを出力。その後データを消すとのことですが、このデータの消去というのは、自身の作品制作においてどのような意味がありますか。

先にも述べた通り、私にとってはアナログとデジタルのボーダーは特にないので、出力するということは制作することの延長で、あくまでオリジナルの移動だと考えています。頭の中にイメージがある時は、それがオリジナルでそれをタブレットで描いたときは、そのデータがオリジナル、出力したらそれがオリジナルになるという感覚です。オリジナルを移動させた時に、元のデータが手元に残るのが気持ち悪いんです。私としては、クローン技術に対する違和感に似ています。オリジナルなものがあって、それが複製され、同じものが増えていくということへの違和感です。

(Believe, W 97 x H 130.3 x D 2 cm, Multiple Prints, NAKAMITSUKI, 2021)

作品紹介はこちらから

6. 次に実現したいと思っている作品のアイデアがあれば教えてください。

立体に挑戦していきたいと考えています。今は無料で立体をデザインできるソフトとかアプリとかもあって、そういうものを使って作り、例えば3Dプリンターなどで、どこにでも出力できるのがいいところですよね。
これまで平面でしかやってこなかったので、立体の基礎を学びたくて、滋賀県立陶芸の森で勉強したりもしています。


※1 メディアアーティスト・落合陽一が提唱した概念で、「コンピュータと非コンピュータリソース親和することで再構築される新たな自然環境」として捉えられる世界像を示す言葉。(https://www.weblio.jp/content/%E3%83%87%E3%82%B8%E3%82%BF%E3%83%AB%E3%83%8D%E3%82%A4%E3%83%81%E3%83%A3%E3%83%BC 2021/09/07閲覧)


NAKAMITSUKI

コンセプト

既存のルールにとらわれない多様な価値観を持ち、生活と共にデジタルネイティブとして育った日常的ツール「iPhone」で制作を行うZ世代のアーティスト。
エモい瞬間に五感を解放し、現代のセンスでPhoneに直感的に描き切る。アートをデータ化することで場所を問わずどこでもも出現することかができ、そして一度作品化された画像はiPadのデータから一切削除される。
この現代的なスピード感は、これまでにない新しいアートの形を生み出している。見慣れた楽器をこれまでにない表現で現わすことで、固定化された鑑賞者の視点を揺さぶる。

経歴

1997年兵庫県生まれ。
2020年京都教育大学教育学部美術領域専攻卒業。
2020年個展開催「エモいは私たちを構成する。」(渋谷ヒカリエ / 東京)。
2019年「三菱商事アート・ゲート・プログラム 奨学生展『アートのちから』」(丸ビルホール / 東京)
2021年「 スマホの方が現実。」(「Shibuya Fashion Week 2021 Spring」渋谷ヒカリエ / 東京)、 「FUGA Dining Exhibition」(FUGA Dining / 東京)、 「ブレイク前夜展」(大丸東京 / 東京)など
グループ展多数参加。

今回紹介の作品はTRiCERAで取り扱っております。


HA.https://www.tricera.net/
“HA.“は「Art in Practice」をテーマに、主にコンテンポラリーアートを対象に展覧会評や、作品評、作家解説などのアートに関する記事やテキストの執筆、編集を手掛けるコンテンツ・ライターユニットである。現代社会において領域横断的に展開される様々なアートの実践に寄り添いながら、アート自体にとっての次の段階を開拓するような活動、視点の発見を、テキストというメディアを通して模索している。

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TRiCERA発のオークションイベント「START」第一弾の出展作家の"なぜSTARTに出展したか"を主軸にしたインタビュー、ならびに新作の紹介を行います。 オークションイベント「START」とは 2021年2月に行われた「START」。アートに携わる様々な人たちを「セレクター」としてゲストに招き、それぞれの視点からアーティストを選び、そしてその魅力を伝える言葉と共に、その作品をオークション形式で販売いたしました。「アートをこれから始める」という方にも分かりやすい設計を行い、またオークションがはじめての方、オンラインではじめてアートを買う方など、様々なひとたちの「スタート」になるような企画となっております。 作家紹介 中島健太 (Kenta Nakajima) 1984年東京都出身。大学で油絵を学ぶ傍ら、3年次にプロデビュー。 「500点以上が完売」となっている中島の絵画は、発表作品の全てが売約となるのみならず、その繊細な技術から日本最大の美術団体である「日展」でも特選を2度受賞した。 「START」に参加したきっかけ アーティスト活動を行う上でアートと日常生活の解離への反抗とその調和を目指しており、アートをまだ手にしたことがない人にもアートをより身近に感じていただきたいと考えています。 同時に、常に今までの概念には無い、枠組みにとらわれないということを心がけており、高橋 紀成さんからTRiCERA ARTが主催するオークションイベント「START」を紹介された時、そのVisionに共感できたことが参加に至った経緯です。 作品一覧はこちら 「START」に出典した作品について 作品名:Soul food サイズ:31.9 × 31.9cm 技法:キャンバスに油彩 「START」では今までアートを購入されたことがない方が参加されるイベントであり、そういった方により身近に感じていただける作品をと思い「Soul food」を出展した。「Soul food」は、まさに日本の"Soul food"であるラーメンを、金箔の背景に描いたものである。このラーメンは半世紀近い歴史があり、ラーメン界のなかでもエネルギッシュな存在として認知されている「ラーメン二郎」をモチーフとしている。 また、背景で使用されている金の歴史は紀元前の昔にまで遡ると言われており、高い耐酸化性をもち他の金属と比較しても錆びにくく、腐食・退色が極めて少なく「不変の輝き」をもつことが特徴である。「Soul food」は、そんな金の背景をコントラストとして「ラーメン二郎」をモチーフとしたラーメンを描くことで、力強さと持続性を表現した作品である。作品は芸能人の方に落札いただきました。 既存作品の紹介 作品名:Salmon roe 作品サイズ:18.5 × 18.5 cm 技法:木製パネルに金粉と油絵   作品価格 200,000円 購入はこちらから 「Salmon roe」はサーモンといくらの鮨がモチーフとなっている。鮨は日本の代表的料理であり、ヘルシーな健康食として全世界に知られており、鮨(スシ)魚が旨いという意味の漢字を組み合わせである。鮨は近年ではSNSなどの広がりで"映える"料理として認知されている。"映える"="可愛い"と捉えられることもあり、"映える"鮨は可愛いと感じられることもある。 この「Salmon roe」はとても可愛い作品である。サーモンは日本でも海外でもとてもメジャーなネタでありこの「Salmon roe」はサーモンの上にいくらがちょこんと乗っている。鮨はネタの鮮度が命であり、鮮度の良い食材を職人の手により最適な方法で料理することで、見た目の味も他の料理とは一線を画しているまさに芸術的料理である。そんな鮨とアート作品は芸術という意味でとても近い存在であり、人々が鮨に惹かれる感覚とアートに惹かれる感覚はとても近いものがあることからこのモチーフを「Salmon roe」という作品とした。 オンラインだと、テクスチャーが分かりずらいので、分かりやすく金箔を使っているところも特徴である。金でコントラストを表現しているが同時に持続力も表している。アートと鮨という芸術作品を組み合わせ、金の背景で"映え"を演出している作品を通じてアートをより身近に感じていただきたい。 展示会などについて 中島健太は9月から12月で高島屋にて個展を実施している。 期間:2021年9月-12月 開催場所:高島屋日本橋店、京都店、横浜店、大阪店 今後の展望に関して 現在、私の飼い猫のミュシャを世界中の名画の中に描く、旅するミュシャというシリーズの絵画に取り組んでいます。ミュシャと住み始めて1年と少し。ミュシャはとても好奇心旺盛で新しいことが大好きなのですが、飼い主としてミュシャのためにできる事は何かと考えた時に真っ先に浮かんだのが、ミュシャを絵画の中で旅をさせてあげる事でした。そんなミュシャと画家だからできる旅、世界中の名画の世界を一緒に旅をしようと思います。国境も、時間も、ジャンルも超えて、いろんなところへいきたいと思っています。   作品一覧はこちら セレクター 私は仕事柄、人の紹介で作家に会わされたり、色々と売り込みをされるのだが、中島健太は最初Web上でたまたま見つけて、現在アニメ化が決定した大ヒット漫画「ブルーピリオド」の作者の山口つばさとの対談インタビュー記事に興味がわき、月刊美術の編集長に紹介してもらって私から会いにいった人物である。 アーティストは人文科学者や哲学者と横並びで、画力以外に「知性」や「洞察力」が必要である!会ってみたら予想通り、日本の旧体質な画壇の中でもがいている、頭の柔らかい知的生命体であった!画風に新しさはないが、人間性は面白い!今どこにいるかより、今どこを見て生きているのかが、人間の品性であり才能であると私は思っているので、以降、彼の行動には注目している!今より10年後に何を産み出すのかを期待させる人物である! 余談だが、私は約1年前に肖像画を依頼したのだが、1年経っても着手もしていなさそうである、、、。コミッションワーク数年待ちのアーティスト、巨匠になる前に今のうちに1枚作品を所蔵することをオススメする~~~(笑) 高橋 紀成 一般社団法人 国際文化都市整備機構(FIACS)理事 (株)風土...

自然現象の可視化、人間の感覚への刺激

赤松 音呂「メテオン」(ミヅマアートギャラリー) 'メテオン'は5月29日から6月29日まで開催中。神奈川を拠点に活動する赤松ネロの作品が、東京・市ヶ谷田町のミヅマアートギャラリーで展示されます。 目に見えない自然現象である地磁気の効果を主に研究している赤松。しかし、この目に見えない現象を、独自の方法論で表現しています。 自然現象を具現化することで、彼の作品は視覚、音、時間、体験を中心とした作品となり、現象学的な体験となる。 本展では、熱気化の原理を利用した「メテオン」と、地磁気の存在によって流動的に回転するインスタレーション作品「チジキグモ」の新作2点を発表します。 赤松 音呂とミヅマアートギャラリーの声明によると、人間は第六感として磁気を感じる可能性があることが近年の研究で明らかになっています。赤松はこの「地磁気」というテーマを作品に取り入れています。 熱の気化の原理や地磁気の影響を可視化した作品でありながら、五感で自由に作品や展示を感じてほしいと考えています。私たちの第六感とは何なのかはわからないかもしれませんが、本能的に何かの現象を感じることがあり、それを第六感としたいと考えています。赤松が扱うテーマを押し付けることはありません。 赤松の自動で動くインスタレーション作品は、微妙な音を出しながら動作します。目や耳といった人間の五感を刺激する作品は、私たちを目覚めさせてくれます。赤松が探求する自然現象を感じることができるかどうかは別として、慌ただしい生活の中ではなかなか感じることのできない「五感で覚醒する」という体験をしてみるのもいいかもしれません。 記事を書いた人:Jeongeun Jo韓国出身、日本在住。東京藝術大学大学院美術研究科を卒業したTRiCERAのメンバーの一人。アーティストとしても活動しています。

“新しい絵を描きたい”

独学で制作している加藤浩介は、美術史や現代の美術シーンを熱心に研究・研究している若者の一人です。彼の作品は、風景を参考にしながら、情景の中にある視覚情報を分解し、幾何学的な図形に変換することで制作されています。絵画の背景にあるストーリーや制作過程に興味を持ち、「そもそも絵画とは何か」という命題を常に念頭に置き、絵画の境界線を押し広げる姿勢を示しています。 まず、あなたの絵について教えてください。 私の作品のモチーフは風景です。ただ風景を描くのではなく、視覚情報を分解して幾何学的なパターンに置き換えています。私はローラ・オーエンスからインスピレーションを得ています。風景画を描くようになったきっかけは、大きな絵を描きたいと思ったからです。対象物は大きければ大きいほど、その対象物の世界全体を表現するのに適しています。また、ランドスケープは情報量が多く、再統合のために分解しやすい。 Nojima, 91×91cm 最初から風景画を描かれていたのですか? いえ、最初はリアリズムとミニマリズムを組み合わせた作品を描いていました。23歳の時に描き始めたんですが、自分の作風はとてもシンプルで、リアリズムの絵は結構売れるから、日本の文化である「侘び寂び」を組み合わせれば売れるんじゃないかと思っていたんです。しかし、いろいろなことを模索しているうちに、自分の好きな形で何かを作った方がいいと思い、現代美術の歴史や情景を勉強し始めました。都内の美術館にもたくさん行きましたし、美術関係の本も読んで知識を得ました。2019年頃から自分のスタイルで風景を描き始めました。 作品を制作する際に大切にしていることは、アートの文脈なのか、それとも自分の考えや気持ちなのか。 新しいものを作るには伝統や歴史を知る必要があると思うので、私は伝統をより重視しています。古いスタイルを知ることで、新しいスタイルの絵画が描けると思います。私は画家でありたいと思うと同時に、新しい絵画を作るという文脈の中にいたいと思っています。 snowscape, 194×162cm 新しさについてはどのようにお考えですか? 新しさとは違う言葉かもしれませんが、キュビスムは面白いと思います。キュビスムは抽象的でありながら、本質的な目的はイメージの再統合だと思うんです。そういう意味では、私の描き方にも似ていると思うのですが、違うイメージでやっているのかもしれません。 そもそもなぜアーティストになろうと思ったのですか? 絵を描くことは好きでしたが、自分に特別な才能があるとは思っていませんでしたし、人から褒められることもありませんでした。きっかけは、高校時代の美術の先生がいろいろな美術の本を見せてくれたことです。その中にジャクソン・ポロックの本があって、感動しました。そもそも絵ってなんだろう」という好奇心が私の原点でした。 Awkward Tree, 91×117cm 今後の予定を教えてください。 2019年から風景シリーズを始めたのですが、私の焦点は制作過程にあることを再認識しました。私は、絵画とは何か、絵画の歴史を物語るようなものを描くことに興味があります。もう一つ重要なのは、同時代性です。今は誰もが何でもネットで検索する時代です。ソーシャルメディアから画像を引っ張ってきて、それを自分の絵の中に入れたら面白いのではないかと思っています。今の時代の良い部分を取り入れながら、今後も絵画を追求していきたいと思っています。

ベッドサイドにもアートを-注目したい立体作品たち-

家のどこにアートを置くか、それはもちろんひとの自由だが、例えばベッドサイドに置いてみるのはどうだろうか。サイドボードの住人といえば時計やライト、メガネや水、もしくは読みかけの本が多いかもしれないが、その寝る時そして起きる時に目に付く場所に作品を置いてみるのも生活の刺激になりはしないだろうか。おはようからおやすみまで、1日をアートではじめ、アートで閉めてみる生活ははいかがだろう? Atsushi Kaneoya 作家の詳細はこちらから 日暮勇一 / Yuichi Higure 南村遊/Yu Minamimura 作家の詳細はこちらから セリア・デブラ / Celia Debras 小倉真 / Shin Ogura 作家の詳細はこちらから 山本恵海 / Megumi Yamamoto 作家の詳細はこちらから Saeka Komatsu 作家の詳細はこちらから

Feature Post

本橋孝祐によるレンチキュラー限定エディションプリントを150部限定で発売。

THE KING OF SILENCE   ¥ 15,000(税抜)   エディション:150サイズ:H420 × W297mm技法:アクリルレンズにレンチキュラープリント額装:オリジナルアクリルフレーム(+ ¥10,000) ※写真のフレームは参考であり、現物ではありません。©︎KOSUKE MOTOHASI/TRiCERA, inc. All Rights Resaved   この度TRiCERAは本橋孝祐による限定エディションプリント《THE KING OF SILENCE》 を150部限定で発売致します。本橋は1989年兵庫県出身。2013年頃からアートワークを開始し、これまで東京やNYで活動を行ってきました。一貫して「現代において生死の問題に取り組むとはどういうことか」と問いを立てる本橋は、制作を通して作品と鑑賞者の対峙によって起こるリレーショナルな化学反応とその意味について探求して来ました。今回はレンチキュラー仕様のプリンティングを行い、三方向から異なる見え方がする工夫を施し、あたかも移ろいやすい現象世界のように常に変化する作品に仕上げました。生と死を直向きに突き詰める本橋の作品に流れる鼓動の一端を、この機会にぜひお楽しみ下さい。           【販売に関する諸注意】(1) 作品はサイン/エディションナンバー入り証明書が付属します。(2) エディションナンバーは選択出来ません。(3) 作品発送は購入より約2週間から1ヶ月のお時間を頂きます。(4)お客様の受取拒否等による再配達に必要な料金はお客様のご負担となります。  

「食べる」を見る。アートにおける食事の話。

「パンさえあれば、ほとんど悲しみは耐えられる」スペインの小説家で『ドン・キホーテ』の著者であるセルバンデスはこう語ったが、パンや白米にそれほどまでに万能薬と言えるかどうかは別にして、確かに食事は、言うまでもなく人間にとってなくてはならない存在だろう。 作品の詳細はこちらから 一食欠けばイライラが募り、一週間も飲まず食わずを続ければ死に至る。一方で「食事」という行為は、人間社会における重要な役割も果たしてきた。 例えば古代ギリシャ最強の軍事国家と目されたスパルタは「共同で食事すること」に重きを置いていた。食事を共にすることが団結力を高めると信じていたからだ。 他にも「食のルール」もある。もちろん個人の好み(例えば「夜は炭水化物を食べない」など)に限らず、例えばイスラーム教では豚肉が、ヒンドゥー教では牛肉を食べることが禁じられているし、あるいは仏教では午前中の食事だけが許された派閥もあるし、宗教によっては食事に厳密なルールを課すこともある。 果たして人間にとって重要であるように見える食物や食事だが、アートの世界ではどうだろうか?人間は、自分たちにとってウェイトの重いこの事柄を、いったいどのように造形化して来ただろうか? 例として絵画で見てみよう。絵画には具象画と抽象画、そしてその中間という、ざっくりしたタイプがある。Airaの場合はその最後の分類になるだろうが、ポップアート的な画面世界のこの作品は、多様な色彩を用いて葡萄をイメージ化し、その果物が元々備えていたフォルムから自由な形状になっている。 作品の詳細はこちらから 「美味しそうな作品」という意味ではどうだろうか。中島健太の描いている寿司は、エロティックに食欲を刺激するリアリズムの手法が使われている。18世紀の文筆家レッシングは『ラオコーン』で「絵画は、適切な瞬間を捉えるべき」と言った。中島の寿司は、まさに職人が握り、客に差し出された瞬間の、つまり、もっとも美味な瞬間を捉えているというべきだろうか。 作品の詳細はこちらから 弁当という食事の形態も興味深い。一般的に、食事とは自宅もしくはレストランで腰を下ろして実地される行為を指す。だが出先で食料調達が困難な場合などは弁当という、ポータブル式の料理形態を用いることが日本や台湾では古くからあった。733カロリーと20gのタンパク質が含有が示されている、Shintakuのペインティングがまさにそうだ。戯れにこれを「誰かが、誰かのために作った弁当」と解釈してみようするとストーリーが見えて来るだろう。こんな風に、喧嘩の翌朝は米だけが箱に詰められているかもしれないし、その反対であればこの作品のように時間と具材がふんだんに使われた弁当に巡り合えるかもしれない。ある意味で弁当は、無言の、食物を介したコミニケーションとも言える。 作品の詳細はこちらから そもそも「食事をする」とはどういうことか。極端なミニマリストと動物は別にして、人間にとっては「食事」と「栄養摂取」は別だ。好きなものを、好きな時に、好きな場所で、好きな方法で食べる。人間固有の快楽。もしくは、人間固有の遊戯かもしれない。 作品の詳細はこちらから 極端に個人の好みやこだわりが反映される「食事」という行為は、ある意味、その人となりを表現する方法だ。一方、アートを買うことは、アーティストの才能やアイディアの買うことでもある。食物や食事を描いている作品を買うことは、それに加えて、そのアーティストの生活を覗き見ることでもあるかもしれない。

デジタルアート専門のアートフェアがフランスで開催

デジタルアート並びに現代アート専門のアートフェア「Contemporary and Digital Art Fair (以下、CADAF) 」は、この度新型コロナウイルスの影響を鑑み、今年の開催をオンラインに切り替えることを発表した。 2019年にスタートした新興フェアであるCADAFはデジタルアートおよび現代アートに特化した唯一のカラーを備えたアートフェア。前回はマイアミとニューヨークで開催されたが、今年は新型コロナウイルスに影響によってオフライン開催を断念、その代わりに2020年6月11日から13日の会期で、パリを拠点にオンライン開催を実施する。 デジタルアートと言えば、明らかにインターネットの成長と伴に開拓されてきたアートの方法あるいは媒体の一つだが、最近ではルーメン賞などの国際賞の登場などその地歩を固めつつある。イニシャルコストの低さやブロックチェーンなど最新技術との相性の良さもアドバンスの一つだろう。 今回、CADAF サイドは約50のアーティスト並びに15のギャラリーの参加を公表しているものの詳細は明らかにしていない。会場となるサイトはホワイトキューブを意識したバーチャルブースとなり、また来場者は無料で入場が可能だと言う。最高責任者のElena Zavelev氏は「デジタルアートの作家の発表のためのプラットフォームはまだ整っていない」と語るが、現況も併せ、同ジャンルの台頭は加速するだろうか。 参照元:https://cadaf.art/

Lazaro Hurtado – ねじれよう! – 私たちの生活のなぞなぞ

「人気が欲しいなら芸術と政治や宗教を一緒にするな」と言う人がいますが、それはナンセンスです。芸術は常に権力者、つまりパトロンのために、そしてパトロンによって利用され、育まれてきたものです。その支持や認知がなければ、芸術作品はそれだけで名声を確立することはできない。アーティストが自分のポリシーや好みを自由に表現することで、好意的に受けられる恩恵を受けることができるようになったのは、歴史的に見ても比較的最近のことです。 今日では、この非常に喚起的な品質のために、現代美術は表現の自由のアイデアで祝われています。実際、私は、アルゼンチンからこのようなアーティストを見つけ、支援するために、自由とインターネットのこの幸運な時代に感謝しています。ラザロ・フルタドの絵画は、理解者には心を開き、カタルシスを与えてくれる。作品とそのタイトル、それらは謎と答えのように連動している。彼のシュールレアリスティックな想像力と芸術的な実現のスキルで、アクリルと段ボールのシンプルなマチエールは、私たちに関係するのに十分以上のものです。 "観客は、作品の内的な性質を解読し、解釈することで、作品を外界に接触させ、創造的な行為に貢献します。" - Marcel Duchamp 皮肉とは、通常は言葉で表現しますが、芸術的な形でもあり、ドライなユーモアと現実をひねり出した表現方法です。皮肉の達人である南米の友人たちは、"私たちは堕落した社会のおかげで十分に練習してきたから、多少の笑いで一日を乗り切ることができるんだ "と言っていました。ラザロ・フルタドの人文主義的で哲学的な絵は濃密で、パンチがあり、まるで美味しいマティーニのようだ。ペンは剣よりも強し」と言われますが、私は付け加えなければなりません。Hurtadoは、人間性の混沌とした自己破壊的な性質を表現しているが、それを受け入れている。 "真の知恵は、人生や自分自身、そして周りの世界を理解していないことに気付いた時に、私たち一人一人に現れる。" - Socrates このアーティストが好きな方は、他にも好きなアーティストがいるかもしれません。... SEGUTOART ALL YOU NEED I$ LOVE by SEGUTOART55 x 45 cm Endika Basaguren The birth of Venus by Endika Basaguren80 x...

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