金曜日, 1月 28, 2022
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Sean Christopher Wardを知るための6つのポイント

特殊な視覚の効果を利用して平面の絵から、奥行きや動きを表現することができるオプ・アート(op art)。その巨匠達から大きな影響を受けたSean Christopher Wardは、スケッチやデッサンのように見たままを素直に描くのではなく、視覚的な効果を取り入れることで、記憶に大きな印象を残すアート作品を制作している。均一的な塗りが特徴的だが、デジタルプリントでは無く、木製パネルにアクリルで制作されているのが驚きだ。

(Audrey/61cm×61cm/アクリル)

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1.経歴と活動
Sean Christopher Wardは学際的なアーティスト、デザイナー、ギャラリスト、ミュージシャンであり、オプ・アートの表現を用いながらアニメーションや絵画の制作に力を入れている。世界中に600点以上もの絵画がコレクションされており、ボブ・ディランやエルトン・ジョン、ピクシーズなどの著名人達が個人的にコレクションしていることでも知られている。アートの世界で大きな成功を収めている彼だが、コミュニティを大切にしており「HUE Gallery of Contemporary Art」や「Gallery Nocturnal」というスペースを提供して、世界各地の現代アートの芸術家達と一緒に仕事をしたり、展示をしている。

2.コミュニティを大切にする前向きな捉え方
コミュニティを作ることで閉鎖的な考え方をするのでは無く、常に新しいセンスを取り込んでいきたいという非常に前向きな見方をしており、常に最先端のアートを求める探求心と意欲を感じる。

3.オプ・アートと記憶の表現
人物を描く場合、オードリーヘップバーンやベートーヴェン、アクションスターであるブルース・リーなど世界的な著名人をモチーフにしている。誰でも一度は顔を見たことこのような人物達だ。知名度が高い人物を選んでいるのは理由がある。私達の記憶にある著名人達の記憶も、短い期間ではクリアな情報として捉えているが、長い時間が経ってしまうと、脳の仕組みの関係で徐々に記憶が薄れて、断片的なものへと変化してしまう。しかし全てを忘れてしまうわけでは無く、情報は必ず欠片になって残っていて、そのような記憶の欠片を絵画で表している。「Beethoven」という作品の中では、ストライプの線の太さを変えてベートーヴェンを表現しており、離れて見てみるとベートーヴェンの顔がリアルに浮かび上がってくる。写実的に描くのでは無く、錯覚的なオプ・アートの効果を使って、時間の経過による記憶の曖昧な欠片を表現した作品だ。

(Beethoven/61cm×61cm/アクリル)

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4.記憶の欠片を残すアート
脳では薄れてしまった記憶を、情報の欠片からもう一度読み込み鮮明な状態に戻すことはできない。でも心は時が経っても精神的に感じた情報を付け加えて、自分の中で新しく形作ることができる。そのような欠片たちが心の中や、Sean Christopher Wardの作品の中に描かれて保存されていくことで、社会を支え続けている。そして社会を支え続けるものは、また誰かの心の中で生き続けていくことになるという想いが作品に込められている。

5.パターンから受ける刺激
人物をメインにした作品以外にも、幾何学模様のようなパターンによる模様が表現されたアート作品がいくつか存在している。その1つが「Are You In or Are You Out」という作品だ。ここでは認識できるパターンが多い程、想像力や創造力の幅が広がるという事柄について言及されている。私達は様々な行動パターンを分析してスポーツで有利に動いたり、身体的なパターンを分析することで病気のリスクを減らすことができる。色のパターンの特徴の1つでもある濃淡を見ているだけで、想像力やモチベーションが上がるという研究結果が実際に出ているそうだ。パターンを研究することで脳は、意識的に良い選択をすることができる。これをSean Christopher Wardは「動物に対する人間の進化のエッジ」と表現。確かに動物にはパターンから学習することはできない。虹色に描かれた背景は日々の様々な行動や思考を表していて、その上に無意識になぞるよう行っているパターン的な行動を幾何学模様のように表現することで、見ている私達が物理的にも心理的にもパターンによる刺激を受けるように工夫されている。

(Are You In or Are You Out/45.7cm×61cm/アクリル)

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6.論理的なメッセージ
Sean Christopher Wardの作品からは、科学的な面と心理的な2つの面から照らし合わされたメッセージが伝わってきた。根拠も出しつつ自分の考えを現代アートに取り込んでおり、ビジュアル的な綺麗さだけでは無く、自分の中での記憶の捉え方や日常的なパターンについて考えさせられる点が多くあった。現代アートの最先端を日々探求し続けている彼の、その先のアート作品をこれからもチェックしていきたい。

今回ご紹介の作品はTRiCERAで販売しております。

Manami Yonedahttps://www.tricera.net/
高校で3年間美術コースを受講、その後2年制の専門学校を卒業し、社会人経験を経てフリーランスのライター兼デザイナーとして、各種メディアにてアートや生活に役立つ情報を発信。 アート、健康、福祉、ライフハック、インテリア、の記事を得意領域としている。

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“window”Shimizu Jio(MISA SHIN GALLERYにて)

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寺床まり子|記憶の景色に魅せられて

絵を描くことは寺床まり子にとってライフワークであり、過去現在そして未来へと絶え間なく続く営みだ。幼少期から絵画に親しみ、今日までその道から視線を外さずに今日の立ち位置まで歩んできた。三重県に生まれ、名古屋造形短期大学で洋画を専攻。「多くの素晴らしい画家や先生に出会う過程で、その影響が自分を作家として育ててくれた」と語る。 寺床の洗練された抽象画は、日本のみならず世界の美術界でも高い評価を得ている。自由美術協会に所属しつつ、これまでに埼玉県立近代美術館、東京のギャラリーや、ソウル・Kepcoアートセンターなどで個展を開催し、2022年11月にはニューヨークのArtifactでの個展開催も決定している。また、グループ展参加も多数、米国での発表にアジアのアートフェア参加と精力的な活動を繰り広げる。   作品のテーマを「記憶の色」と説明するように、彼女の絵画は、観る者に人生の心温まる瞬間を思い起こさせる。水、山、空、植物などの自然の色や街の色を、美しい色彩の重なりを巧みに用いて表現していく。それは彼女の個人的な記憶でありながらも、鑑賞者をも、美しいデジャブのような「記憶の風景」に誘い込み魅了する。 アーティスト詳細はこちらから

星へ旅する時代のアートとは

星座の歴史は今から約5,000年前にまで遡るという。 メソポタミアの羊飼が星空を見上げながら、星々を結び作られたというそれは、古くから我々人類が宇宙に漠然と惹かれてきたことの良い証拠だろう。 アートにおいても星空や星座を題材としたものは散見されたが、今やアポロ11号の月面着陸から50年以上。サイエンスの力によって、宇宙の秘密が徐々に解き明かされつつある今、宇宙を題材にした作品もまた変化したのか? 内藤博信/Hironobu Naito 日本人に限らず、また人間の今昔に関わらず、ひとは月に心奪われてきた。内藤は月に憧憬する人間の心情を、岩絵具で叙情性たっぷりに描く。 彼は、ふと見上げた空に月が輝くのを見たときに、自分の生きてきた時を振り返り、心の「静寂」を感じるという。粗めの絵具を用いて描かれる青い月は鑑賞者に穏やかな静寂が訪れるだろう。 作家の詳細はこちらから 椛田ちひろ/Chihiro Kabata 黒色ボールペンでインクジェット紙などの上に不定形なかたちを描くことで知られる椛田。ボールペンの動きは繊細かつ力強く様々な対象を描く。 宇宙に点在する惑星は、観察されるものから人間のイマジネーションの加工を施すことによってアウトプットされてきた。しかし、椛田の「惑星」はとても存在し得ないと思われるような抽象的な形状をしている。しかしその観念的とも言える表現には「見知らぬ」こその未知の魔力潜んでいる。 作家の詳細はこちらから 前川奈緒美/Maegawa Naomi 前川は星の性質、自分の創作を同一化させる。 「星は自身の最期を迎える時に、自身で自分の中枢に向かって物質を破壊し、爆発し、元素を撒き散らし、その存在が消えるらしい。私自身、自分の中枢、わたしを知りたいと想い続け絵画を描いている。」「すべては繋がっている。」と語る前川の作品はエネルギーに満ち満ちているようだ。 オイルバー(油絵の具と蜜蝋で固めた物)や時に自身の手指も筆の代わりに使用し、身体とキャンバスの一体化を図る。 作家の詳細はこちらから 宇宙は言うまでもなく広い。広さが分からないくらいに。科学がいくら育とうと、少なくとも今現在、その全てなど知り得ないかもしれない。しかし、だからこそ、今後も人類最大の浪漫であり続ける宇宙に想いを馳せずにはいられない。

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風景の分解と再統合-加藤公佑インタビュー-

アーティストの詳細はこちらから 「風景の視覚情報を一度分解し、幾何学的な図形に変換する」という加藤公佑。「絵画が生成されるストーリーに興味がある」と語る本人の制作と作品について話を聞いた。 まずは、作品についてお伺いできますか? -基本的に風景をモチーフにしています。ただ風景画を描くのではなくて、そこから視覚情報を分解して、一度幾何学的な模様に置き換えるというプロセスを踏んだ作品を制作しています。参考にしているのは、ローラ・オーウェンスなどですね。風景を描き始めたきっかけは、些細と言うか、まず「大きい作品をつくりたい」と思ったから。そうなれば対象は大きい方が良いし、大きい対象といえば、この世界全体というか、風景かなと。加えて、風景は情報量が多いし、再統合にあたっての解体のしやすさがある。 snowscape, 194×162cm 作品の詳細はこちらから 制作を始めた頃から、風景画を描いていた? -いえ、最初は写実絵画とミニマリズムを組み合わせた作風でした。アイディアとしては、実は安直で(笑)。写実絵画は売れているし、そこに日本的な「詫び・寂び」を構成的に入れた作品であれば売れるだろうと。でも色々と模索する中で「どうせやるんなら、自分の好きな方向を突き詰めよう」と真剣に現代アートの歴史やシーンを学び始めました。都内の美術館を巡ることはもちろん、美術書を読み、知識を含めていった感じでした。ベタな話ですが、西欧のアートシーンの文脈からは影響を受けたと思いますね。今の風景画を描き始めたのは、ちょうど2019年辺りからです。 制作にあたって、重要なのはアイディアや自分の感性ですか? それとも、アートの文脈? -どちらかと言うと伝統を意識しますね。温故知新と言うか、やはり歴史を知らないと新しいものは生み出せないと思うので。古いものを知ってこそ、新しい絵画が描けると思う。自分は画家でありたいし、そうである以上、新しい絵画を創造すると言う、そのコンテキストには乗っていきたいですね。 Awkward Tree, 91×117cm 作品の詳細はこちらから 新しさについて、加藤さんの見解は何でしょう? -「新しさ」とは別の論点かもしれませんが、個人的に、今はキュビスムが面白いと思っていて。あの運動は抽象性が高いですが、私が思うに、キュビスムの本質的な狙いはイメージの再統合にあると思う。その意味では、私がやっている「視覚情報の解体と再統合」と言う絵画の方法論と似ているところがあるのかなと。一回、イメージを崩壊させる。その手法を、また別のイメージで行っているのが自分の絵画かもしれない。 話は変わりますが、そもそもアーティストを志した理由はなんですか? -絵を描くのは好きでしたね。でも得意意識はなかった。特にものすごく褒められた経験もないし。きっかけとしては、多分、高校の美術教師の影響が大きいかもしれないですね。その人はいろいろな美術の本を見せてくれて、その中にジャクソン・ポロックなどもあったのですけど、それに感動した。「絵画ってそもそも何か?」と言う、疑問とか、好奇心に近い感情が原点にあると思う。 Nojima, 91×91cm 作品の詳細はこちらから 今後の活動は、どうされていく考えでしょうか? -2019年から風景画のシリーズを始めて、最近になって改めて考えるのは、自分の関心は絵画が生成されるプロセスに集中しているなということ。反面、ストーリーを見せるメディアとしての絵画についてはどうなのかなと。絵画とは何か、その歴史まで遡って、絵画という存在が生まれるプロセスというストーリーを見せることができる作品を描いていきたいし、そちらの方に興味がありますね。あとは、最も大事だと思うのは、同時代性。現代は検索の時代。S N Sなどプライベートの共有が当たり前のこの時代に、そこからイメージを引っ張って来て自分の絵画に落とし込めたら面白いかな、と。今、この時代だからこそ描ける新し絵画を突き詰めていきたいです。 アーティストの詳細はこちらから

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Keizo Kitajima, TSILCARL VILLAGE ARMENIA (From the series USSR 1991), 1991/2019, Pigment print 66.0×93.0cm Collection of the artist ©KITAJIMA KEIZO 2019年8月28日から11月11日まで、国立新美術館東京では、日本の現代美術作家6名によるグループ展を開催します。展覧会のタイトルは「イメージの物語」。日本の現代美術における文学」。タイトルの通り、日本の現代アートシーンにおける文学的表現に焦点を当てた展覧会です。出展作品には文学的な要素が共通しており、詩のような比喩的な表現がなされています。直接的なメッセージを表現するのではなく、作品の中の時代や場所、人物を想像することを示唆している。 国立新美術館の展覧会公式発表によると、古代ローマの詩人ホラーチェの『アルス・ポエティカ』に由来する、「絵画も詩であるように、詩も詩である」という意味の「Ut pictura poesis」という言葉があります。この言葉は、絵画(視覚芸術)と詩がいかに密接に結びついているかを説明する際によく引用されます。 今回紹介する6人の日本人現代美術家は、1950年代生まれの北島敬三から1980年代生まれのミヤギフトシまで、年齢も様々だ。美術館に入ると、まず第1室を占めるのは、国内外で活躍する田村友一郎氏。部屋全体が「幻覚」をコンセプトにした彼の新作「スカイアイズ」となる。作家は、日本でいう "幻覚 "とは...

ミッドセンチュリーな部屋をつくる、6つのアート作品

1.ミッドセンチュリーとは何か 直接的に訳すと「世紀の半ば」という意味があります。ミッドセンチュリーな部屋とは、1950~1960年代の欧米をイメージしたインテリアのことです。昔から愛されているテーマであり、レトロやノスタルジックのような印象を与えます。モダンさも兼ね備えており、ヴィンテージなインテリアや、当時はそれまでに無かった「新しい素材」として人気だったプラスチックなどの椅子を部屋に取り入れることが多いです。 2.ミッドセンチュリーはアートが不可欠 ミッドセンチュリーな部屋では、壁を飾ることが必要不可欠です。シンプルなデザインや幾何学模様、パブリックパネル、ノスタルジックな印象を与えてくれるアート作品との相性がとても良いという特徴があります。アート作品を飾るうえでレトロな雰囲気を演出するために「木製の額に入れる」という裏技もあります。複数個購入して並べて飾りたいという場合は、同じテイストの作品で統一感を出すのがオススメです。 3.ミッドセンチュリーな部屋をつくる6つのアート作品 3-1.「Space Cloud - 8th Planet」 夕焼けの空でしょうか、もうすぐ夜になってしまう空の移り変わりの色彩が美しく、非常にノスタルジックな雰囲気にさせてくれるアート作品です。自然というモチーフなこともあり、空を覆っている雲のオレンジ色はビンテージさ溢れる木のインテリアによく馴染みます。デジタルプリントによる作品のため、雲などのディテールが細かく映されており、シンプルな部屋の中でも埋もれず目を惹く存在感になります。 3-2.「Lover」 全体的にはベタ塗りでシンプルな構成ですが、顔料を用いており、女性が着ているスカートや隣の植物のような模様の部分が、複雑なモザイク模様になっている面白い作品です。背景にグランジテクスチャのようなかすれた表現があるため、真新しさを感じさせず、レトロな雰囲気にピッタリです。ミッドセンチュリーな空間では、ポスターのようなシンプルなデザインとの親和性が高いため、部屋に導入しても違和感を感じさせません。女性が両目を閉じて凛と立っている様子や落ち着いた配色からは、大人っぽいモダンなテイストも感じ取れます。 3-3.A.I. 美しい幾何学模様が画面いっぱいに描かれているのが特徴的なアート作品です。幾何学模様はシンプルですが、簡単にモダンな空間を演出してくれます。全体的に緑色で描かれており、木のインテリアや、濃いブラウンが多くなりがちなミッドセンチュリーな部屋とも相性が良いです。緑色を微妙に変化させており、その効果でキラキラしているように見えるアクリルの表現もミッドセンチュリーの1つの要素である「新しい素材」の印象を与えます。部屋に存在している質感を偏らせないことで、部屋のインテリアのクオリティも上がります。 3-4.「肖像画3号」 肖像画ですが民族的な独特のタッチで描かれており、マチエールと呼ばれる絵の具の盛り上げを利用した技法が用いられています。民族的な要素は温かく、ヴィンテージな印象を与えやすいため、ミッドセンチュリーの空間をつくるのによく用いられています。顔が大きく描かれたアート作品は部屋に導入するのが難しい一面がありますが、この作品では遠くを見つめた柔らかい表情で描かれているので、威圧感を与えません。それでも気になるという場合は、周りに小さい作品を飾ることで顔の印象を下げることができます。 3-5.「New York City」 ニューヨークのビルを直線を上手く用いながらデザイン的に描いており、ビルをグレーなどの決まりきった色で表すのではなく、カラフルな色を使って表現しているところが珍しい作品です。線だけで見ると幾何学模様のように見えますが、ビルには月や空、向かいにある建物などが反射して写っている様子がユニークに描かれています。欧米であるニューヨークの街並みと、シンプルなデザインのアート作品はミッドセンチュリーとの相性が非常に良いです。 3-6.「Festival 3」 画面いっぱいの鮮やかな赤と黄色がインパクトを与えているアート作品です。「様々な生命のかけらが世界を構成している様子」を描いたという、作者であるHANHYONIのパワフルな感性が発揮されています。部屋を落ち着いたダークトーンで統一することが多いミッドセンチュリー。そこに差し色としてパワフルで鮮やかな印象を与えるアート作品を飾ることで視点を集め、部屋の印象を明るく変えてくれます。2つで1セットの作品になっているため、並べてみたりあえてアシンメトリーにしてみるなど、飾り方も楽しめるでしょう。 おわりに ミッドセンチュリーな部屋は一見難しそうに思えるかもしれませんが、アート作品を壁に飾ることで簡単につくることができます。モダンさも兼ね備えており、性別を問わず長く愛されているテーマです。是非、ヴィンテージ感溢れる温かい空間にアート作品を取り入れてみてください。

アートにおける「青」の物語

私たちの目にうつる生活は、とてつもなく鮮やかだ。 ただ、普段の生活の中、色彩に意識的であるのはアーティストやデザイナーくらいではないか。 ここで一旦、色が我々に与える影響を考えてみよう。例えば赤はアドレナリンの分泌を促進し、黄色はリンパ機能に影響を与えるという。真偽のほどはともかく、色彩がもたらす生理的もしくは心理的機能への影響は、例えば広告などで積極的に応用されている。広告の用途にしたがって、つまりその狙いの違いによって色を使い分けるのだ。 ではアートの世界ではどうだろう? 中でも青は特別と言われ、心理学的には「鎮静」を促すとされるこの色は、例えば印象派の作品では青がよく使われていたし、中世では王族を表す色でもあった。かのイブ・クラインも青に魅せられ、自分だけの色「インターナショナル・クライン・ブルー(IKB)」をも作りだした。青は落ち着きの色であり、高貴の色であるのだ。 もちろんアートにとって色彩は無くてはならないガジェットの一つ。明るさや暗さ、豪華さや清らかさ、特定の色はそれぞれに暗喩するイメージがあり、画家が思い描く世界をアプトプットする重要な手段だ。 日南田の作品もまさにそうだろう。クレヨンとアクリル絵の具、ジェッソをベースに塗り重ねる彼女の作品は、壮大なスケールであることが多く、使用される色は青系統が多い。 作品の詳細はこちらから  ロサンゼルス、トリノ、マイアミ、モンテカルロ、パリなど世界を旅しながら作品を発表してきたアーティストユニット Delta N.Aの作品は、現代人が抱える二項対立がメインのテーマだ。明度の低い青の利用は、うっすらと幻想的な色調、そして思考を促すようなゆったりとした時間へ誘ってくれる。 作品の詳細はこちらから  高橋浩規は日本のデリケートな四季を細やかに描き出すアーティストだ。岩絵具の素材としての美しさを出来るだけ活かすように、色彩の透明感や鮮度を保つことに細心の注意を払っている。岩絵具由来の色彩から紡がれる情緒溢れる画面は、どっしりとした深みのある、けれども決して野暮ったくない仕上がりである。  深みのある青で描かれるもっとも日本的なモチーフの一つ、富士山、そして天の川を自宅の椅子に腰をかけてゆっくりじっくりと、時間をかけて眺めてみるのもいいだろう。 作品の詳細はこちらから アートはモチーフや素材、筆致やコンテクストなど無数の構成要素から成る。しかし、生活と密接な作品を選ぶ際には、色を意識してみることだ。

北欧スタイルな部屋をつくる、6つのアート作品

1.北欧スタイルの特徴 北欧インテリアと言えば、誰もが一度は聞いたことがあるのではないでしょうか?北欧に住む人々の生活に対する考え方を取り入れており、シンプルかつ控えめで芸術的なフォルムのアイテムや、天然素材を大切にした家具が中心のインテリアです。北欧では天候が悪かったり、長く暗い夜でも部屋を明るく見せるために、白色を中心としたインテリアにすることで明るい印象にするという特徴があります。 2.北欧スタイルとアート シンプルな部屋だからこそ、アート作品を飾ることでより北欧らしさを演出することができます。幾何学模様やシンプルなデザインの作品、植物が描かれているアート作品との相性が非常に良いです。明るい印象を部屋に与えてくれる作品を選ぶことがポイントです。白い印象の部屋の中に差し色として、カラフルなアート作品を使うというテクニックもあります。 3.北欧スタイルな部屋をつくる、6つのアート作品 3-1.「HERE WE GO」 デフォルメされた世界観でキャラクターのような動物が描かれている可愛らしい作品です。塗りや線がシンプルかつコミカルな絵柄で描かれており、北欧スタイルの部屋にぴったりです。モチーフが動物の作品は、ナチュラルかつ明るい印象を与えます。写実的な絵よりも、このようなコミカルに描かれた作品は、他のアート作品と併用して飾りやすいというメリットがあります。固い印象にならずに遊び心を持たせた空間になります。遊び心を持たせた方が、リラックスして過ごしやすいというメリットがあります。 3-2.「INSIDE & OUTSIDE" nº 30」 丸い紙に、様々な色の紙を貼ってコラージュしているというユニークな作品です。北欧スタイルでは、丸みを帯びたアイテムとの相性が良いため、部屋全体の丸いインテリアの印象をまとめてくれます。ビビットな色と落ち着いたトーンの色が混ざっていることで、白い部屋の中でも馴染みやすく、差し色の役目もしてくれる便利なアート作品です。このような目立った色が何色か含まれているアート作品は、周りに同じ色のインテリアを何点か置くことで部屋に差し色として馴染ませるというテクニックがあります。 3-3.「Aurora Borealis」 幾何学模様は、芸術的な形を大切にしている北欧インテリアとの相性が良いです。モダンな雰囲気も出しつつ、シンプルで落ち着いた印象を与えてくれます。白と黒の幾何学模様の中に赤、青、緑色がまばらに塗ってあるため、部屋がモノトーンな重いイメージにならないようになっています。このようなアート作品は、性別や年齢を問わず部屋に導入しやすいのでオススメです。1点でも充分に存在感を与えます。 3-4.「Faded Blue to Black with Yellow on the Edges」 美しい青色のグラデーションが描かれています。よく見ると側面には黄色が塗ってあり、光が反射すると背景の壁に黄色が映るという仕掛けがされています。これは白く明るいインテリアが多い部屋にピッタリのギミックです。非常にシンプルな構成で描かれているため、インテリアが多い部屋にも馴染みやすい作品です。複数の作品を飾りたいという場合でも相性が良いため、導入しやすいというメリットがあります。北欧インテリアに多いパターン模様が入ったアイテムのそばに飾っても、引き立ててくれます。 3-5.「Outer Space」 宇宙空間に連れてってもらいたい!という作者の願いから生まれたユニークな作品です。シンプルながらも、均一な塗りでは無く水彩の筆のタッチが残っており、人の手の技を感じる温かさがあります。鳥は木のインテリアとも相性が良いモチーフです。小さめのサイズのため、家具の上に置いて壁に立て掛けるようにして飾っても良いでしょう。そのような飾り方の場合は、近くに植物を置いたり、インテリアとして使える花瓶などを並べて置くとアート作品が部屋から浮かず、部屋に馴染みやすくなります。 3-6.「Donuts」 独特な質感と形が特徴的なアート作品です。背景は殆どが黒色で、少し暗い印象を与えるかもしれませんが、黒いからこそ白い印象の部屋に合うというプラスの面があります。黒色がくすんだようなグランジ風のテクスチャになっているため、白いレンガ調の壁に飾るのもオススメです。カラフルに描かれた様々な丸がポイントの抽象画ですが、シンプルな模様で表されているため導入しやすいです。落ち着いたトーンの、大人っぽい雰囲気の北欧スタイルの部屋にアクセントを与えます。 おわりに 北欧スタイルの部屋は、天候や季節に関わりなく、どんな時にも明るい気持ちでいたい!という北欧の人々の知恵や願いで溢れており、日本に住んでいる私達も同じ願いを持っています。アート作品を導入することで、その願いを叶えてみませんか?

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