日曜日, 5月 29, 2022
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「現代の表と裏」START ARTIST vol.5 ~ Tomoni Shintaku

TRiCERA発のオークションイベント「START」第一弾の出展作家の”なぜSTARTに出展したか”を主軸にしたインタビュー、ならびに新作の紹介を行います。

オークションイベント「START」とは

2021年2月に行われた「START」。アートに携わる様々な人たちを「セレクター」としてゲストに招き、それぞれの視点からアーティストを選び、そしてその魅力を伝える言葉と共に、その作品をオークション形式で販売いたしました。「アートをこれから始める」という方にも分かりやすい設計を行い、またオークションがはじめての方、オンラインではじめてアートを買う方など、様々なひとたちの「スタート」になるような企画となっております。


作家紹介

新宅 睦仁 (Tomoni Shintaku)


美術大学を卒業後、調理師専門学校に学んだ経験から、食物をテーマに作品を制作している。牛丼やカップヌードル、コンビニ弁当など、卑近な食べ物を用いて、現代の状況や社会問題をクリティカルに、単純明快かつシニカルに表現することを試みている。近年では、全米、特にロサンゼルスで社会問題となっているホームレスらとハンバーガーを一口ずつかじることで状況を共有する「ONE BITE CHALLENGE」シリーズなど、精力的な活動を続けている。

作品一覧はこちら

「START」に参加したきっかけ

TRiCERAさんからオークションイベントSTARTについてお聞きした時はコンセプトがプライマリーなのにオークション形式で、アート初心者の方に対してのイベントということで新しいなと感じた。コンセプトに共感したとともに、椎名 茂さんからセレクトいただいたこともあり参加させていただきました。

「START」に出典した作品について

作品名:BENTO-May 18, 2018(熱量733kcal、蛋白質20g、脂質32.8g、炭水化物85.7g、塩分1.75g/原材料名:御飯、ウィンナー、ほうれん草とたまご炒め、なすとおくら炒め、にんじん、とうもろこし、おくら、こんにゃく、ブロッコリー、チーズ、ふりかけ(かつお)、サラダ油、しょうゆ、みりん風調味料、ごま

サイズ:35.5 × 45.5cm
技法:キャンバスにアクリル絵具

新宅 睦仁の作品は、全て自身でモチーフの製作・モチーフの5感での体験を経ているというとても趣のある特徴がある。STARTには「BENTO-May 18, 2018…(以下省略)」という作品を出展しているが、タイトルに記載のある、原材料、調味料は、調理師の顔もある新宅 睦仁が全て実際に料理をして一度お弁当にしているものである。料理した後は自身で写真に撮って食べるという一連のプロセスを経ており、まさしく5感全てを使って体現してる。この作品は、その時にしか存在しないはずの弁当をアート作品としてアクリル絵具で再現している。コンビニやECなどで簡単に完成品が手に入る時代に、料理する、写真をとる、食べるという一覧のサイクルが現代の課題でもあるSDGs(持続可能な開発目標)及びミニマリズムを体現しており、あるべき本来の生活に対して疑問を投げかけるような、とても奥行きのある作品である。

既存作品の紹介

作品名:Let’s eat everyone (In 82 people: Lychee Delight, 30 SGD/22 USD, 15/6/2018


作品サイズ:45.5 x 45.5 mm
技法:木製パネル / アクリル絵具

 

作品価格

79,000円 + 税

購入はこちらから

「Let’s eat everyone (In 82 people: Lychee Delight, 30 SGD/22 USD, 15/6/2018)」。作品名の中に実際に食べた日付やモチーフとなったケーキの名前が入っているのが新宅 睦仁の作品の特徴とも言える。この作品はケーキがモチーフのとてもかわいいものであり、一方で富めるものとそうでないものを比喩したものである。表に見えるのはケーキを82人分に分けたピースであり、キャンバスの裏側にはそのケーキが描かれている。富めるものはケーキの原型を留めた状態で楽しめるが、そうでないもののテーブルにはそれがもともとケーキであったのかすらわからない細分化された何かが置かれている。それは貧富の差にも例えられ、現代の壁を作る決定的な要因である情報の格差にも例えられる。キャンバスに描かれたアートとして可愛くもあり、趣もあるとてもおすすめの作品である。

作品一覧はこちら

セレクター

これからは食の時代。食材を美味しそうに表現しているが、その裏にある数々の課題も感じさせられ、奥行きのある作品となっている。

椎名 茂
Digital Entertainment Asset Pte. Ltd.(DEA社)CEO

Masataka Kuwadahttps://www.tricera.net/
アーティスト・マネジメント責任者。LOVEコンテンポラリーアート。

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8月24日から10月12日までタグチファインアート主催。 タグチファインアートでは、この夏から秋にかけて、ドイツ人画家ミヒャエル・テンゲスの個展を開催いたします。テンゲスはレヴァークーゼンを拠点に活動する1952年ドイツ生まれの画家です。作品の一部はケルンのコロンバ美術館やスイスのアーラウ美術館に収蔵されています。ヨーロッパを中心に活動している彼の作品をアジアで見ることができるのは、今回の個展「紙に描かれた絵画 1995-2019」がきっかけです。本展の特徴は、展示されている作品がすべてダンボールに描かれた小品であること。ギャラリーによれば、これらの小さな作品は、他の大きなスケールの作品やキャンバスに描かれた絵画に比べて、あまり注目されていないとのことです。段ボールに描かれた小品は、これまで準備的で断片的な作品とされてきましたが、その小品は、彼の色との実験と葛藤の証拠ともいえるものであり、注目に値するものです。今回の展示では、1995年に制作された旧作から今回の展覧会のために準備された最新作までを紹介します。 テンゲスは、木の板やキャンバスに油絵の具を重ねることで、色の多様性を追求しています。テンゲスは、イメージや形にとらわれることなく、色の配置、コントラスト、構築に主眼を置いていると言います。絵画の基本的な要素とされる色彩や絵の具の物質性の探求に力を注いでいます。 テンゲスは通常、事前にスケッチを用意することはなく、参考となるイメージや計画を持たずに絵を描いています。テンゲスは、ある特定のイメージを持たずに自発的に絵を描きますが、同時にジョット、フラ・アンジェリコ、ボッティチェリ、ゴヤなど、歴史上の他の画家たちが使った色の構成を研究しています。絶え間ない研究から得た知識の蓄積が、躊躇することなく絵を描くことを可能にしているようです。 実際、彼の作品は無計画に作られているというだけで、一気に作られているように見えますが、技術的には、板に色をつけて、乾燥させて、それを何度も繰り返すというプロセスを経ています。このように、彼の絵は美術史における色の使い方の研究としても長い時間をかけて描かれていると考えられます。 彼の作品は高速と低速の両方の特徴を持っているので、私たちはまた、2種類の魅力を感じることができます。第一に、テンゲが躊躇なく絵を描く瞬間のように、私たちの注意を一気に惹きつける。二つ目は、その努力の過程と同じように、私たちを作品の前に長く滞在させてくれること。10月12日までタグチファインアートにて、ゆっくりと作品を楽しむことができます。 Michael Toenges, “Paintings on Paper 1995-2019” 開催日:2019年8月24日(土)~10月12日(土) 2019年8月24日(土)~10月12日(土)営業時間。午後1時~7時日曜・月曜・祝日は休館> 記事を書いた人:Jeongeun Jo韓国出身、日本在住。東京藝術大学大学院美術研究科を卒業したTRiCERAのメンバーの一人。彼女自身もアーティストとして活動している。 

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