金曜日, 1月 28, 2022
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小山登美夫ギャラリーでのVarda Caivano’s個展


Varda Caivano,”Untitled”, 2019, water-based oil paint (gouache and ink) on linen, 90.9 x 57.6 cm (frame: 150.9 x 117.6 cm), ©Varda Caivano, Courtesy of Tomio Koyama Gallery

10月11日から11月9日まで、小山登美夫ギャラリーにて、イギリス・ロンドン在住の画家ヴァルダ・カイバーノの個展が開催されます。カイバーノは1971年ブエノスアイレス生まれ、2000年代初頭よりイギリスを拠点に活動しています。小山登美夫ギャラリーでの4回目の個展となる本展では、最新作を発表します。

彼女の芸術的な実践では、絵画のプロセスそのものが彼女の主な関心事となります。カイヴァーノは、作品のプロセスを重視しながらも、物質性にも注目しています。彼女の作品は、多様な色彩、筆致、豊かな層といった「絵画」の基本的な特徴を中心に構成されています。今回の作品では、作品の中の余白を強調した作品へと絵画の幅を広げました。これまでの整然としたキャンバスの全面に描かれた作品とは異なり、無彩色の空間を強調し、粗い麻の布を使用した作品に挑戦しています。キャンバスの限られた空間から無限の空間を可能にするのが余白です。そのため、作品の余白は、その余白の先にある観客の想像力を刺激します。彼女の作品は、独自のスタイルを保ちながら、様々な表現方法で作品を展開していると言えます。


The Installation view of Varda Caivano’s solo exhibition (2019) ©Varda Caivano, Courtesy of Tomio Koyama Gallery



The Installation view of Varda Caivano’s solo exhibition (2019) ©Varda Caivano, Courtesy of Tomio Koyama Gallery

描かれたものだけに焦点を当ててみても、以前の彼女の作品と完全には変わりません。彼女のテーマは変わらないが、それを効果的に、あるいは多様な方法で表現する方法を変えただけである。カイヴァーノは「プロセス」に焦点を当てているので、物質性も際立っています。彼女の作品における「プロセス」とは何か。それは、どのようなコラージュを作るかというような意思決定と観察の繰り返しかもしれません。また、キャンバスの上で色を合わせることを考えることかもしれません。

その結果、彼女の作品は、物質性、彼女の関心事、時間を含むプロセスの痕跡となる。彼女の時間や関心事の痕跡は、特定の描写(描写)ではないように思われます。カイヴァーノ自身は、作品について以下のように考えています。

“私は絵画を表象というよりも、詩や音楽の文脈の中でのプレゼンテーションのようなものだと考えています。”

(ヴァルダ・カイヴァーノ インタビュー。”想像力をかきたてる無限の絵画”インタビュアー 島田耕太郎『美術手帖』2017年2月号)。

また、2016年より小山登美夫ギャラリーでの4回目の個展となる本展では、最新のペインティング作品9点と、コラージュ、ドローイング、紙に描く作品などの額装作品を新たに展示します。さらに今回の新作では、これまでのシリーズから使用されていた色が変更されています。2016年の日本での個展で展示された前シリーズ「Grey Paintings」ではグレーを中心とした色使いをしていましたが、今回の新作では以前よりも赤や黄色、緑などの鮮やかな色使いが見られるようになっています。

一言で言えば、彼女の作品は、キャンバスの中で停滞しているものではなく、詩や音楽の文脈のような流動的なリズムを持っているようにも見えます。特にフレームと意図的な余白を使った新しい提示方法は、彼女の流動的なテーマを最大限に引き出している。

Varda Caivano’sの個展

DATES:2019年10月11日(金)~11月9日(土)

営業時間 : 午前11時~午後7時
日曜、月曜、祝日はお休みです。
入場無料。

記事を書いた人:Jeongeun Jo
韓国出身、日本在住。東京藝術大学大学院美術研究科を卒業したTRiCERAのメンバーの一人。彼女自身もアーティストとして活動している。

Shinzo Okuokahttps://www.tricera.net/
1992年東京都出身。大学でインド哲学を学んだ後出版社に勤務し、アート雑誌と神社専門誌の副編集長として雑誌及び書籍の企画・編集に携わる。2019年にスタートアップ企業である株式会社TRiCERAに参加、日本初の現代アート専門の越境ECの開発及びアーティストのマネジメント、自社オウンドメディアの立ち上げを担当する。特技は速筆で、雑誌時代には1ヶ月で約150ページを1人で取材・執筆した。

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ARTIST CONNECT – ごりおし伝説 → 予備名

ARTIST CONNECTについて 本企画は、最近TRiCERA ARTに参加された方へインタビューを行い、お話の最後にお知り合いの作家さんを紹介していただく不定期企画。 今回はごりおし伝説さんからご紹介いただいた予備名さんとお話をさせていただきました。 予備名さんと作品について教えてください。 絵を描こうと思ったのは突然でした。過労で倒れて、退職して、しばらく放心状態だったんですが、たまたま手元にipadがあって、そのタイミングで絵を描くことを初めてみました。 最初は見よう見まねでしたが、徐々に他の人の絵を見て描いているうちに、段々と形になってきました。 今までは長いこと音楽をやってきました。ずっと音楽が好きだと思っていたんですが、描いていて、絵の方が好きだということに気づきました。 ちゃんと絵を描き始めて、世に出そうと意識するようになったのはここ1、2年のことです。 デジタル絵がメインだったんですが、最近はアクリル絵や油画を描くことにも興味を持っています。 私の作品には花がよく登場しますが、元々花には興味がありませんでした。 ただ、一つのものからストーリーを考えることが好きで、花言葉がストーリーのヒントになると思い、花言葉をモチーフにした作品を制作するようになりました。 デフォルメされた女の子やイラストっぽい絵を描いてみたこともあります。けれど、「周りから評価されたい」という理由で描いていたこと、自分が純粋な気持ちで描きたいものではないということに気づきました。 自分の作品には一つ一つ物語があるので、作品のストーリーにのめり込んでいってもらえるような、そんな作品を作っていきたいと思っています。 予備名さんの作品一覧はこちら タイトル:It's mine! サイズ:30 X 30 cm | 作品の詳細はこちら “ひまわりの花と、手で表現された鳩の影絵で構成されている。ひまわりの花言葉の一つに「崇拝」があり、鳩は平和の象徴。崇拝の感情を持って平和を目指していこう、というメッセージが込められた作品” TRiCERA ARTに参加しようと思ったきっかけはなんですか。 ずっと自分がくすぶっている感じがして、どう売り込んで行けばいいのか、どうブランディングをしていけばいいのか分からなかったんです。今回紹介いただいたことをきっかけに、このチャンスをものにしたいと感じ、登録させていただきました。 ごりおし伝説さんのインタビュー記事はこちら

画家とキャンバスと向こう側

「画家という位置と、キャンバスという位置と、その向こう側という位置に向けていくつもの層を体感しながら、その向こう側に手を届かせたいというか、向こう側を見てみたい」 キャンバスを切り開き、ステンドグラスや鉱物などをコラージュ的に画面へと配置していく画家 佐々木成美。複数のマテリアルによって重層化した彼女の絵画世界は、本人曰く「あくまでもキャンバスを掘り進める作業」に近いという。 今回、代官山のLOKO GALLERYにて大学院卒業後初となる個展が開催されたことを機に話を聞いてみた。 Tulip, Night Oil on Canvas/Ceramics, 42× 33cm, 2018 まずは今回の個展と作品について簡単に説明して頂けますか? -構成としては、この1年半ほどやってきた中から選りすぐった作品を中心に並べました。大学を出たのが1年半ほど前で、そこからの個展も初めてだったこともあったので。 作品の方は、そもそも「これは彫刻なのか、立体なのか、絵画なのか」とよく言われるんですけど、私の中では絵画として描いてるし、発表していて。これまでずっと絵を描き続けてきて、絵画とは何なのかについて、もう一度自分の中で丁寧に探ってきた期間があって、あまり意識はしていなかったのですけれど、今回はそれが作品とか展示として外に出てきたのかな、という印象です。 編まれた芝 Oil on Canvas/Stone, 50 × 32.5cm, 2018 それは描くという行為そのものをですか? それとコラージュ的要素が目立つ作品だと思うのですが、これもその結果として出てきたものですか? えっと…、キャンバスを切ったりコラージュのように何か組み合わせたりする方向へ決定的に変わったのは2017年ぐらいです。そのタイミングで、実は半年ほどフランスに留学していた時期があって、そこが結構大きな起点になっていて。 そもそも近代の芸術を研究しにいったんですけど、中でも宗教施設にすごく興味が沸いて。向こうはキリスト教の教会もあればイスラムの寺院もあって、それからユダヤ教もあって、色んな情勢からミックスされた施設もあって。そういう所で装飾美術を見ることに興味があったんですけど、いくつか行くうちに何か強烈に、ひとが生きる上で求める、或いは求めざるを得ない精神構造とそれに伴ってくる産物っていうものが、それぞれは当たり前だけどイコールで…ということに夢中になって。描くことというのは、まだ上手く言葉には出来ないんですけど、もしかしたらそういう欲求に近いのかもしれないなと。でも、その欲求が達成されるにはそれだけじゃなくて、なにか違う、こう…自分の手に負えない大きな力が働くように、待たなければいけないというのは、本当によく感じました。それで作品が変わってきたかな。 その結果からキャンバスを切ったりが始まったということですか? -そうですね。具体的に因果関係みたいなのは言葉に出来ていないのですけど、最初は組み合わせることからはじめて、それこそある種の装飾のようにキャンバスを埋めるみたいな行為を、色んな素材で。 素材にもバリエーションがあるようで、それでいて共通項があるようですが。 そうですね、その素材も、一応は自然に近いものを選んでいます。木とか陶器とか、あとはガラスですね、ステンドガラス。そういうものが混ざった状態というか、それはいつもいいわけじゃなくて、全然よくないなと思うこともあるんですけど、その組み合わせをしながら自分で待っているということをしていて。キャンバスを切るようになったのはそれからなんですけど。 それは、その混ざった状態に対しての対処法として? -描いてて待てなくなるというか。どうしようもない、飽和した状態に絵を描いているとなることがあって。で、それをどうにか大きくひっくり返すようなことがしたい…というか、ひっくり返したい欲求を持つときにキャンバスを切るんですけど…。 でも、切るとめちゃくちゃ驚くんですよ、自分でも。自分で切ってるのに(笑)。あ、切っちゃったって。 それでも切ると強いというか、戻れない感じがして。一気に世界が変わってしまったような、それこそ天変地異が起こったなと思うんです。そうした一つの状況が壊れちゃうような、本当に丸きり変わってしまうようなことがあるけれど、でもそれが大きなきっかけになるというか。ゼロになるわけではなくて、こう…、ある形のあったものが壊れて現状回復されつつも違う要素が組み込まれていくし、それによって絵の中の組み換えが活性化してくる。でも、その天変地異的な状況を何とかしていく中で立ち現れてくる絵画というのが、もちろんそれは自分が求めているものだけれど、でも自分が求めている以上に美しかったりする。で、その状態自体が、私はすごくこの世界そのものに似ているなと思うところがあって。世界というのも色んな規模があって、すごく大きなところでいうと宇宙構造に似ていてと思うこともあれば、その問題を縮小して、いまこうして話している対人関係にも世界というものはあるなと。その関係とか在り方っていうのを、私は絵を描く時に分かっていきたいと思う。 コラージュに話が戻しますが、こうした重層性を持たせるのは、意識して? -制作中は意識しないんですけど、確かに私の作品はすごく重なっている、層になっていることが多いし、描いた結果を見てみると「あ、大事なんだな」と思うことは多いですね。というのも、キャンバスって絵を描く前に見ると、白くて壁みたいに見えるんですよ。何か幕というか、何かが隠してある幕のようにも見える。で、その描く時になにを求めているのかというと、多分、私の中ではキャンバスの奥に何かがあるんじゃないかと。 …描く時に触ることがあるんですけど、キャンバスを。白いし何もないし、でもその奥にその何かがあって、何かに繋がるかもしれないと感じる。その奥側に行きたいんだけれども、でもキャンバスっていう壁がすごく厚くて。 そこに行くためのアプローチを続けていくんですけど、そういう時に奥行きっていう構造はすごく重要で。 画家という位置と、キャンバスという位置と、その向こう側という位置に向けていくつもの層を体感しながら、その向こう側に手を届かせたいというか、向こう側を見たい。 だから、ちょっと掘り進めている感じに近い。このキャンバス材を突き破って向こう側に到達したいと思うので、だから結果として重層的にならざるを得ないところはあるかな。 掘りすすめる/重層化させるにあたって、自然に近い素材を選ぶのが重要? -単純に素材との相性もあるんですけど、石とか土にすごい興味があって。…凄く抽象的な言い方ですけど、石とか土のどうにもならない感じというか、どうにもならないけれど、石とかは時間が経っても変わらないようでありながら磨くと姿形を変える、石が石を産むっていうこともあるし、その沢山の可能性というか、意味というか、石にしても木にしても、それぞれが秘めている力がある気がして想像力が膨らみやすいなと。 ガラスについて言えば、使うようになったのも教会を見に行っていた影響なんですけれど、 ステンドグラスってキャンバスみたいに壁に設置されていて、空に向かって立っていて、ステンドグラスの奥側からくる光によって照らされて色彩がこちら側にやってくるっていう、それに何とも言えない情動が湧き上がる仕組みがあるなって思って。 かつ壁画の人に聞いたんですけど、ステンドグラスを切るのってシスターの修行にもなっているらしくて、何かの霊性を秘めながら切ったり貼ったりしていくっていう成り立ちも気になるところで。その機能もそうだし、その背景自体にも意味がある気がして、私の中では特別な素材ですね。 例えば《柔軟なコスモス》等はどこか風景画にも感じられるのですが、そこに先程のたどり着きたいとおっしゃっていた『キャンバスの向こう側』を想定することは可能ですか? -正直、まだ私の言葉ではうまく表現できていなくて。何か凄く…、タッチしたいんだけど何かは分からなくて、明確に私の言葉では言えなくて、便宜上ギャラリーの方から『形而上的なもの』と形容してもらったんですけど、私の中ではまだしっくり来ていなくて でも風景というのはひとつ、的を得ていて…、個展タイトルが「・/♯ La la la la la la...

さめほし新作限定エディションプリントの一般販売を開始いたします

 この度、TRiCERAではさめほし個展entropy開催を記念して、 さめほしによる限定エディションプリントの販売をいたします。   ■ 販売作品 <プリモアート(高精彩出力技術による高品質プリント)> 原画を限りなくオリジナルに近い色再現にて複製する技術によって、 再現される版画作品。飾りやすいサイズでのプリント作品に仕上がります。 「流星群」 (画像は作品イメージとなります) 限定15部販売 額装付 残りわずか 作品サイズ:545 × 727 mm イメージサイズ:445 × 630 mm 作品価格 80,000円 購入はこちらから 「ほしの体温」  (画像は作品イメージとなります) 限定15部販売 額装付 残りわずか 作品サイズ:545× 727 mm イメージサイズ:445 × 547 mm 作品価格 80,000円 購入はこちらから 「肉」 (画像は作品イメージとなります) 限定30部販売 額装付 作品サイズ:545 × 424 mm イメージサイズ:410× 318 mm 作品価格 40,000円 購入はこちらから   <Entropy会場販売作品> 「クリスマスケーキ」 (画像は作品イメージとなります) 限定50部 額装付 残りわずか H 297mm x W 420...

Sean Christopher Wardを知るための6つのポイント

特殊な視覚の効果を利用して平面の絵から、奥行きや動きを表現することができるオプ・アート(op art)。その巨匠達から大きな影響を受けたSean Christopher Wardは、スケッチやデッサンのように見たままを素直に描くのではなく、視覚的な効果を取り入れることで、記憶に大きな印象を残すアート作品を制作している。均一的な塗りが特徴的だが、デジタルプリントでは無く、木製パネルにアクリルで制作されているのが驚きだ。 (Audrey/61cm×61cm/アクリル) 作品詳細はこちらから 1.経歴と活動 Sean Christopher Wardは学際的なアーティスト、デザイナー、ギャラリスト、ミュージシャンであり、オプ・アートの表現を用いながらアニメーションや絵画の制作に力を入れている。世界中に600点以上もの絵画がコレクションされており、ボブ・ディランやエルトン・ジョン、ピクシーズなどの著名人達が個人的にコレクションしていることでも知られている。アートの世界で大きな成功を収めている彼だが、コミュニティを大切にしており「HUE Gallery of Contemporary Art」や「Gallery Nocturnal」というスペースを提供して、世界各地の現代アートの芸術家達と一緒に仕事をしたり、展示をしている。 2.コミュニティを大切にする前向きな捉え方 コミュニティを作ることで閉鎖的な考え方をするのでは無く、常に新しいセンスを取り込んでいきたいという非常に前向きな見方をしており、常に最先端のアートを求める探求心と意欲を感じる。 3.オプ・アートと記憶の表現 人物を描く場合、オードリーヘップバーンやベートーヴェン、アクションスターであるブルース・リーなど世界的な著名人をモチーフにしている。誰でも一度は顔を見たことこのような人物達だ。知名度が高い人物を選んでいるのは理由がある。私達の記憶にある著名人達の記憶も、短い期間ではクリアな情報として捉えているが、長い時間が経ってしまうと、脳の仕組みの関係で徐々に記憶が薄れて、断片的なものへと変化してしまう。しかし全てを忘れてしまうわけでは無く、情報は必ず欠片になって残っていて、そのような記憶の欠片を絵画で表している。「Beethoven」という作品の中では、ストライプの線の太さを変えてベートーヴェンを表現しており、離れて見てみるとベートーヴェンの顔がリアルに浮かび上がってくる。写実的に描くのでは無く、錯覚的なオプ・アートの効果を使って、時間の経過による記憶の曖昧な欠片を表現した作品だ。 (Beethoven/61cm×61cm/アクリル) 作品詳細はこちらから 4.記憶の欠片を残すアート 脳では薄れてしまった記憶を、情報の欠片からもう一度読み込み鮮明な状態に戻すことはできない。でも心は時が経っても精神的に感じた情報を付け加えて、自分の中で新しく形作ることができる。そのような欠片たちが心の中や、Sean Christopher Wardの作品の中に描かれて保存されていくことで、社会を支え続けている。そして社会を支え続けるものは、また誰かの心の中で生き続けていくことになるという想いが作品に込められている。 5.パターンから受ける刺激 人物をメインにした作品以外にも、幾何学模様のようなパターンによる模様が表現されたアート作品がいくつか存在している。その1つが「Are You In or Are You Out」という作品だ。ここでは認識できるパターンが多い程、想像力や創造力の幅が広がるという事柄について言及されている。私達は様々な行動パターンを分析してスポーツで有利に動いたり、身体的なパターンを分析することで病気のリスクを減らすことができる。色のパターンの特徴の1つでもある濃淡を見ているだけで、想像力やモチベーションが上がるという研究結果が実際に出ているそうだ。パターンを研究することで脳は、意識的に良い選択をすることができる。これをSean Christopher Wardは「動物に対する人間の進化のエッジ」と表現。確かに動物にはパターンから学習することはできない。虹色に描かれた背景は日々の様々な行動や思考を表していて、その上に無意識になぞるよう行っているパターン的な行動を幾何学模様のように表現することで、見ている私達が物理的にも心理的にもパターンによる刺激を受けるように工夫されている。 (Are You In or...

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